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恋する短歌 -1-
ほんわかと あなたの零す 甘い息 寒い空へと 溶けて消える
追いつけず 悔しがる君 年の差で 毎年ずっと 続くといい
見上げてた 母の肩すら 目の下に、あなたと同じ 視世界楽し
つつまれる グラデーションに 帰る頃 肩が近付く 影が重なる
追い駆ける あなたの背中 いつまでも 追いつかない まだ届かない
抱き締めたい 気持ち押さえて 声かける 見えてない振り 気付かない振り
真後ろに 感じる気配 慣れた者 触れるは禁忌 縋るもタブー
笑う君 無邪気な態度 弾む声 いつも傍には 知らない人
昔はね ああだったよね こうだった 懐かしいけど 恥ずかしいかも
台所 刻むリズムと 香る炎 オレガノ、セージ、バジルにセサミ
擦れ違う 一瞬の幸せ 溜め息が 零れ落ちる 涙も落ちる
たのしみは みかんの白線 残さずに 粒をぱくりと 君と食む
※恋する短歌 というタイトルで、だいぶ前に自費出版で発行した作品です。(一部未発表の短歌もあります)




