愛、
僕は大きく悩まず旅に出た。
旅で見つけた1つの答え。
"普通"とは、生まれたら死ぬ。
残りは全て所詮概念。
これだけだと思った。
答えを見つける前。
旅に出るきっかけになった小さな話。
僕はオスの三毛猫。
4つ子の3番目。
両目の色が違うから3匹の兄弟から嫌われた。
太陽は真上。
雲がアクセントを付けるよく晴れた日。
毛の上を優しく撫でるぬくもりある風。
気候は皆平等に、与えてくれた。
「気持ち悪ぅい!」兄猫は舌を出す。
「こっち見ないで?普通じゃないんだから」姉猫はそっぽを向く。
「みんな、そんな目してないぜ!普通じゃないのお前だけだぞ?」弟猫が横に来て兄と姉を顎で示し賛同。
でも僕は、兄弟の笑顔を見ると幸せな気持ちになる。
「なんだよ!!」睨みつけてくる。
「あっち行って?」尻尾で示す。
「トンビに食われちまえよ!」空を見回す。
「あなたたち!!いい加減にしなさい!!」
「行こーぜ」
「うん」
「ほんとのことじゃん」
お母さんだけは平等に接し平等に育ててくれる。
「目が開いた時に私は名前をつけるの。あなたを一番最初に名付けた」
「そうなの?」
「嫌な思いをさせてしまったらごめんなさい。でもあなたの目の色は私は好き。よく見せて」
顔が近付く。
「やっぱりとってもきれい。空のような青色と小麦のような黄色」
目を小さくさせヒゲをこちらへ向けた。
「あの子たちはまだ経験が少なすぎる」
そう言いながら兄弟たちに視線を。
視線を辿りお母さんの見ている兄弟に視線を合わせる。
温かくなりつつある太陽がまだ少し寒いからお母さんの身体にくっつく。
3匹は戯れたり、オレンジ色の蝶を追いかけている。
「あなたのような両目の色が違うことは当たり前に起きている。小さな世界しか知らないからあの言葉しか出せない。まだ子どもだから許せることはあるけれど大人になったら通用しないし、間違っていれば子どもであろうと私は怒る」
尻尾で感情を露わに。
「お母さんも両目は同じ色だけど、僕のこと嫌じゃないの?」
「私の親。あなたのおばあちゃんは飼い猫で両目が違う色なの。だからというのもおかしな話だけど理解がある。両目の色が違うだけで生きてく上ではな〜んの問題もない。普通って言って、自分自身の経験の乏しさと無知さ加減を自慢してるだけよ。気にすることないわ」
尻尾でゆっくり背中を撫でてくれた。
「でも、僕はお兄ちゃんもお姉ちゃんも弟も好きだよ?嫌いじゃない」
「アイズ。あなたは優しい猫ね」
太陽よりも温かく感じた体に直接響く言葉に、身体を火照らせ前足をもぞもぞ。
優しくおでこを舐められる。
「アイズ。旅に出てみなさい」
そう言われ突き放されたように思ったが、お母さんから愛されていると信じてその日の内に旅に出た。
「いってきます」
いってらっしゃい。
ぬくもりある天気の下、天気よりぬくもりある笑顔で返事をしてくれた。
兄弟たちは、その場に居ない。
でも嫌な思いをさせてしまってたなら仕方ないよね。
それでもやっぱり、ちょっとだけなんでかな。
心が痛い。
最後までお読み頂き、本当にありがとうございます。
まだまだ魅力に欠けると思っています。
読者様の正直な、お気持ちで大丈夫です。
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