転校生②
こんにちはらーゆです。
思い出にスターチスをの二話目です。
この話まではあまり展開が進んでいませんが、ゆるりとお楽しみください!
放課後、快翔と有美は街に出ていた。
「へぇー、ここがスカイツリーかぁ。写真で見るよりもやっぱりおおきいね。」
快翔達は墨田区内に住んでおり、高校から徒歩20分圏内の場所にスカイツリーがある。
「やっぱり有美もそう思うのか。」
「やっぱりって?」
「俺らからするとさ、スカイツリーなんてもう日常の風景みたいなもんなんだよ。静岡県とか山梨県に住んでる人達が富士山に登らないのと同じで、そこまで特別感ないって感じ。痛っ、」
すると、歩きスマホをしていた歩行者と快翔がぶつかる。
「あ、ごめんなさい。」
歩行者からの返事はない。
「快翔くん、大丈夫?にしても無視するのは人としてひどいね。」
「まぁ、一定数そういう人はいるからしょうがないよ。」
「快翔くんがいいなら私は全然いいよ。」
そんな会話をしながら、2人はスカイツリー内にあるスイーツショップを目指していた。
「有美はどんなスイーツ食べたい?」
「んー、抹茶系統が食べたいかも。」
「俺もあんまりここのスイーツとか詳しくないから、案内板でも見るか。」
エレベーターで階を登った先に、案内板が見えたので、それを見るとどうやら少し歩いた先にお目当ての店はあるらしい。
「お、あっちにありそうだな。」
「そうっぽいね。てか、あれじゃない?」
有美が人差し指をさした方向には和を感じる看板が立てられてある。
「案内板の名前と同じだしそれだな。」
店の名前は茶々屋。扉を開けると、チリンチリンと風鈴が入店の合図を告げる。スカイツリー内とは思えない程の木造建築風な内装が施されている。
「いらっしゃいませー!」
短髪の背格好がしっかりした男性が言う。大学生くらいだろうか。
「ご注文はいかがなさいますか?」
現代まで千利休が生きていたらどんな内装にしてるのだろうかと思いながら快翔は注文をする。
「抹茶ソフトクリーム2つ店内でお願いします。」
メニュー表を指さし、店員さんに告げる。1つ250円。コンビニエンスストアで売っているくらいの大きさで抹茶味となると、何かと金欠な学生にはありがたい価格だ。
「抹茶ソフトクリーム2つで500円です。」
財布から500円玉を取り出し、木で作られたカルトンに置く。細部にまでこだわっているようだ。
「500円でお願いします。」
「500円ちょうどですね。あちらの席にてお待ちください。」
快翔達が案内されたのは2人席。
「あ、さっきの分の代金払うよ。」
席に着くなり有美が言う。
「いや、いいよ。ここは俺が出すよ。引越し祝いも兼ねてね。」
「そっか。ありがとう。」
「お待たせしました。抹茶ソフトクリーム2つです。ごゆっくりどうぞ。」
さっきレジ対応してくれた店員さんがソフトクリームを持ってくる。ガラガラという程空いている訳ではないのに、ちょっと話しただけで持ってくるなんてどれだけの身体能力と思考盗聴力があるのだろうかと思いながら快翔はソフトクリームを受け取る。
「うん、美味いな。」
「ね、美味しい。」
茶々屋のソフトクリームは宇治抹茶をふんだんに使われており、一部の抹茶好きには有名な店なのだ。
「これ食べ終わったらどうする?」
ふと、快翔が思い出したかのように尋ねる。
「時間も時間だし、帰ろっか。」
時計の針は18時を指していた。
「そうだな。」
こうして、ソフトクリームを食べ終えた2人は帰路に着くのだった。
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時刻は22時。快翔が暇を持て余しており、風呂にでも入ろうとしていた時だった。ピロンとスマホの通知音がした。メールの送り主は有美だ。
「今日はありがとう。また連れてってね!」
「こちらこそ。次行く時はちゃんと2人でどこ行くか決めてから行こうか。」
「いいね!そーいば、宿題って出てたっけ?」
そこで、快翔はふと、2時間目の終わり際に終わってない人は終わらせておくようにと言われた物があったのを思い出し、勉強道具を取り出す。
「教科書85ページの問7を終わってない人は宿題だってさ」
「げ。私終わってないや。写真くだされー!」
転校生の有美にとって、教科書はまだ持っていないため、授業外の教科書必須の課題は迷惑なものだ。
快翔は課題部分を写真に撮り、有美に送る。
「ありがとうー!それじゃ私は課題終わったら寝るので!おやすみ。」
課題にどれほど時間がかかるのかは分からないが、高校生がこの時間帯に寝ようとするなど健康優良児そのものだ。
「おやすみ。」
やり取りを一通り終えた快翔はスマホを置き、課題を終わらせ、風呂に入り、そのまま寝たのだった。
次回からは展開を進ませる予定ですので、今後ともお願いします!