第5話 現地集合だって
それからは日曜の朝まで熱が出て寝込んでいた。
全く食欲もなく頭痛に悩まされた。
スマホのメールによると
僕につけられた指輪は指の血管まで細かな針で刺さっていて、そこから、ヒーローになるための何かの物質が染み出し、48時間は体に異変が発生する。
と、書かれていた。
ヒーローに選ばれると何かと勝手にされるようだ。
そして、ピッタリ48時間後の昼に熱は下がった。
本当にヒーローになったんだろうか?
試しに普段座っているスチール製の椅子を両手でゆっくり引っ張ったら、フニャリと曲がった。
さらに試しにマンションのベランダから飛び降りてみたが、骨折しないどころか、足の裏に怪我すらしなかった。
路上から逆に飛び跳ねたら、3階のベランダにしがみつく事が出来た。
何これ最高じゃん、
こんなにすごい力あったらバイト辞めれるし、
就職しなくても良いかもだな。
と、思っているとスマホにメールが届いた。
『警告』
会社の許可なくパワーを使った場合、守秘義務違反で処分されます。
続いてまたメール着信。
『明日の集合場所が決まりました』
そこには、ギリギリ埼玉ぐらいのほぼ群馬の駅名が書かれていた。
遠っ!
『公共交通を使ってきてください。電車賃は後で精算しますので銀行口座を登録してください』
ヒーローって電車移動なの?
いろいろ思っていたのと違っていた。