表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

最初の出会い

「止めるでござる!!」


私の目の前に現れたのは、現代にいないはずの”忍者”だった___


「何だてめぇ!!」

私を路地裏に連れ込んだ男が、そいつに向かって行った。

ずっと掴まれ続けた肩から重みがなくなり、その場にへたり込む。

逆光で見えずらいが、二人の男が取っ組み合っているのが見える。

「その子に何をする気でござるか!」

「おめぇには関係ねぇよ!!くそコスプレ野郎!!」

男は忍者の恰好をした奴に殴り掛かろうとした。しかし・・・

「遅いでござる」

いつの間にか男の背後に回り込んだそいつは、男を固いコンクリートに思いっきり背負い投げた。

ドッという鈍い音があたりに響いた。その音だけで、屈強な男も骨がやられたであろうと予想ができた。

華奢な体でよくあんな力が出るな、と感心していたらそいつはこっちに近づいてきた

「大丈夫でござるか?」

「に・・・忍者・・・?」




「立てるでござるか?」

「別に平気」

伸ばされてきた手を無視して、私はよろよろと立ち上がった。

「・・・ありがとう」

一応お礼は言っておく。けど、警戒していない訳じゃない。だって明らかに不審者じゃない。コスプレ忍者なんて。

「怪我がなくて何よりでござる!」

顔にマスクがしてあるが、目から笑っているのが分かった。

悪い人ではなさそうだけど、怪しい。

「じゃあ、あたし帰るから」

「あ、あの!!」

「・・・何?」

「実は泊まれる宿を探しているのでござる。どこか良い場所はござらんか?」

あぁ何だそういう事。ある程度予想はついていたけどさ。ハッキリ言えばいいのに。

「ホ別イチゴね」

「”ホ別イチゴ”・・・という宿でござるか?」

「はぁ?ふざけてる?ヤるなら金取るから」

「ヤ、ヤる?!何をやるでござるか?!」

こいつ、おちょっくてる?

それとも本当に知らないだけ?

「あんたここに何しに来たの?」

「修行でござる!!」

修行?意味わかんない。これ以上関わるの面倒くさい。どうせ田舎から来たばっかりの奴でしょ。


・・・あ。

私は重要なことを思い出した。お金がないんだった。

さっき男に路地裏に連れていかれた時、取っ組み合いになってその拍子に財布落としたんだった。

どうしよう。

辺りを見渡すが、それらしき物は見当たらない。

「・・・探し物でござるか?」

「財布。さっきそこに倒れてる男と喧嘩している時に落としたの」

「それは大変でござる!拙者も助太刀致す!」

「良いよ別に。普通のホテルならそこ右曲がったらあるから、帰りなよ」

「それは助かったでござる!なら、財布を見つけた後そこに泊まるとしよう!」

「・・・時間かかるかもだし、無理しなくていいよ」

「拙者、探し物は得意でござるよ。忍法!!探索サーチ・アイの術!!」

「だっさ」


「見つけたでござる!」

そういうとシュッと飛び回り、路地裏のゴミ箱の後ろに隠れた。

「こちらでござろう?」

そいつが立ち上がり、手に何かを持ってこちらに戻ってきた。

「あ、私の・・・」

「よかったでござる!」


これが、こいつとの最初の出会いだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ