10
このお話の部分は、ディスタンスSSオークを読んでくださるとわかるとおもいます。
くどくなると思って、オークとの会話はここではかきませんでした。
金曜日の終業後、とにかくそのままオークのところへかけこんだ。オークの会社は近所だが、オークを捕まえなきゃと気が急いた。慣れない松葉杖もこのときばかりは上手く使いこなせたと思う。汗だくだったけどな。
オークは俺がいきなり来ても驚いた風ではなかった。
オークにルルちゃんの話をあれこれ説明すると、ようやく頭の中が整理できた。
俺のやるべきことがはっきりしたからだ。
「わかった!勉強する。それからまた話してみるよ」
「あのさ、お前、テルーちゃんのこと、本気なんだよな?」
いつになくオークが声をおとして聞いてきた。
「どうなるかはわからないけど真面目に考えてるつもりだよ」
ルルちゃんに会いたい、会って色んなことを話したい、それが恋情かとうかは俺もまだわからないけれど、イマココで疎遠になるのだけは嫌だというのははっきりしている。
「そうか、それならいいんだけどよ。まわりを見ることも忘れないでくれよ?」
「ん?」
オークがため息をつきながら頭をガシガシしている。
「まぁ、俺も悪かったけどさ、ちょっとお前、真っ直ぐすぎだろう?」
オークがいうには、どうやらオークの従妹の公香さんが俺を憎からず思ってくれているらしい。
うちのシステムに興味を持っているらしいとオークから聞いて、飛び込みで営業させてもらったところ、公香さんのお父さんの専務に気に入ってもらえたのだ。その専務と何度か会ってはいたが、その間に、公香さんに色々話をしていたようで、そのうちに興味を持ってでオークに探りを入れていたらしい。ただ、公香さんがはっきりといっているわけではないので推測に過ぎないが、とオークはいった。
いやいや、ちょっと、何でそんなことに?
「だって、お前、フリーだろが?」
「た、確かにフリーだけどさ、今はそんな気分じゃ、ない…」
「俺が知るか!
だけど、お前、今、足の治療につきあってもらってるんだよな
それがどういうことかわからんわけでもないだろう?
俺がいうのもなんだけど、公ちゃんもいい子なんだよ。だから、その気がないのならはっきりしておいてくれ」
「……わかった
でも、一応、責任を感じることはないと断ってたんだけどおしきられて、明日、再診のあとランチに付き合うことになった…
だけど、何で俺?
そもそも接点なんてなかったよな?」
「おやっさんの刷り込みと一目惚れだろうな」
「はぁ?一目惚れの要素なかったぞ?ずっこけて骨折なんて情けないところしか見せてないしな」
「俺に言うな。どっちにしたって本気になられる前にストップかけてくれよ?傷は浅いうちがいい。よもや仏心だしてうやむやにしようなんて思うなよ」
なんてこった。
俺はいつもはっきりしない態度で逃げ切ってきたので、オークの言葉がグサグサささる。俺の行動もお見通しだってことだ。
「わかった…後のフォローは頼む……」
「おぅ」