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タブラの人狼  作者: 三沢ゆう
0日目
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第1話 ・・・『玄関前の段ボール』

 -0日-


 俺の名前は高原優斗(たかはらゆうと)23歳の大人(ニート)だ。今は何をしているかって?当たり前だろう。ゲームとオタク三昧だ。俺は今の生活に満足しているし、この平和な日常を誰にも邪魔されたくない。面倒事はまっぴら御免だ。


 まあ、そうは言っても来年にでも大学受験をするか就職するかで悩んではいる。この年齢にもなってする悩みではないけどな。


 親は共働きで忙しく、一人暮らしのような生活をしていると、親の給料だけでこれからも生きていけばいいのではないかと思ってしまう。さすがにそれはまずいかもしれないが、親は俺が自ら決めるのを期待しているようだ。


 そのようなある日。俺はコンビニにカップ麺を買いに家を出た。


「あれ、なんだこれは」


 なぜか玄関前にそれほど大きくない段ボールが置いてある。


 何か頼んだ覚えはないのにな。そもそも段ボールに伝票のようなシールも貼られていない。どうしようかな。このままここに放置しておくわけにもいかないし、一応中身を見ないとどうにもならないな。


 と思い、俺はカッターで段ボールを開けた。中には一台のスマホが入っていた。


 しかし、何か変だ。


 ネットか何かでスマホを頼んだとすると、箱の中に入ってないと不自然ではないかな。


 中古である可能性もあるが、プチプチみたいな緩衝材もなく、スマホだけ入っている。電源を入れてみるしかないなと思い、仕方なく電源ボタンを押した。


「あれ、電源入ってんじゃん」


 液晶画面には次のように表示されていた。


【タブラの人狼に参加しますか……? (12/17) 】

  生存時 10億円

 [YES/NO]


 なんじゃこりゃ……。


 タブラの人狼?初めて聞く名前だ。しかも10億ってなんのことやらわからない。


 俺は一瞬戸惑ったが、少し考えてみるとこれって単にゲームアプリなんじゃないかなと思った。


 確かに、ゲームマネーとかだったら10億円って別に不思議でもなんでもない。もしくは新しく発売されるゲームかもしれない。


 よく見るとこの機種は5千円くらいの安いスマホだった。


 まさか、宣伝目的で5千円のスマホをばらまいたのかな…?


「最近のゲーム会社って怖いなー」


 うん。これなら納得がいく。このスマホを初期化して中古で売っぱらっちゃえばカップ麺20個くらいは買えるんじゃないかな。


 俺は考えるのをやめ、ゲーム会社からのプレゼントであると思うことにした。


ふと、当初の目的を思い出した。


「いけない。」


 早くコンビニに行ってこよう。俺はスマホを家の中に置き、コンビニに向かった。


 ……


 コンビニでポテチとカップ麺を買って帰ってきた俺はパソコンでゲームをした。


 最近麻雀ゲームにハマっているが、どうも実際に卓を囲んでやるのとは全く違う。インターネットで見知らぬ人としても相手が見えないから相手の癖や目の動きなどが見えないからである。そうなるとネットの麻雀は所詮運ゲーにしかならないのだ。


「クッソ、またやられた。こんなのやってられるか。あーあーつまんない」


 独りでぶつぶつ言いながら、先ほど家の前においてあったスマホに目をやった。


「確か、新作のゲームだったっけ?暇つぶしにやってみようかな。」


 俺はスマホの電源ボタンを押した。そうすると、先ほどとは若干数字が変わていた。


【タブラの人狼に参加しますか……? (15/17) 】

  生存時 10億円

 [YES/NO]


「3人増えたのか…。」


 確か2時間くらい前には12人だったな。


 2時間で3人増えるってやる人少なすぎるのではないかと思ったが、こんな怪しいボタンを押す人ってそうそういないに違いない。


 まあ、当たり前だろう。多分参加希望してからキャンセルもできるシステムだろうし、すでに何人か待ちきれずにキャンセルしたのかもしれない。


 やってみる前に一応調べてみるか……。


 俺はグーグル先生に訊いてみようとした。


 ネットで「タブラの人狼」と検索してみると検索結果が思ったより多い。


 この会社の独自のゲームではなく、昔からあるボードゲームみたいだった。日本では「汝は人狼なりや?」と翻訳されているらしく、かの有名なマフィアゲームを元にして作られたゲームらしい。


「ほほー、なかなか面白そうだな。」


 マフィアゲームと違って村人だけじゃなく、様々な役職がある。特にこの人々と話し合って正体を暴くとかが気に入った。


 一応やってみるかと思っているうちに、参加人数が16人になっていた。


 ラッキー。


 待たずにできると思い、俺はすぐYESボタンを押した。


 その瞬間、画面が消えた。あれ?バッテリー切れかなおかしいなと思った途端。


「バタンッ!!」


 急にドアが開く。


 そこにはサングラスをつけた黒服の人が大勢入ってきて俺を抑えようとした。


「なんじゃこりゃ!!……。」

 と叫ぼうとしたが、すぐに彼らに抑えられ、俺は気を失った。


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