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用務員さんの同棲相手は学園で聖女と呼ばれる幼馴染みでした。  作者: あゆう亞悠


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〖一番の伏兵〗

「ちょっと二人とも。私がこいつの目を塞いでる間に早く体勢直しなさいよ。下着とか見えてるわよ」

「ひゃあっ」

「……もっと見る?」

「見ねぇよ」


 俺の目を両手で塞いだままの状態で柚が二人に注意すると、結の慌てたような声と秋沢の訳分からんセリフと一緒に、ガサゴソと衣擦れとソファーの軋む音が聞こえた。

 やがてその音も収まると、柚の手が目から離れて俺の視界に光が入ってきた。


 そしてそこからは柚のお説教タイムである。


「二人とも。好きなのはわかるけどやり過ぎよ。もしさっきのドアノブの音が私じゃなくて他の人だったら、晃太は仕事に来れなくなるかも知れないのよ? それでもいいの?」

「う、ごめんなさい……」

「それはいや」

「そうでしょう? ならもっと気をつけなさい」

「「はい」」


 さすが教師。怒ると怖いのな。

 俺はその好きに弁当食べるか……「晃太!」

 げっ、俺にも飛んできたし。


「あんたもよ。さっきも言ったけど、ちゃんと断ることをしなさい。変な噂が立てば、この子達だって影で色々言われるんだから」

「へーい」

「まったく……。そういえばここに来た目的忘れてたわ。修学旅行中のあんたの仕事よ」

「あーそうだったな。つか、そんな特別やることってあるのか?」



 引き継ぎの時に前任者から一年通しての流れは聞いてたけど、修学旅行中にやることなんて特に何も聞いてないんだけどな。



「それが今年はあるのよ。校舎内の生徒が使ってる机と椅子を総入れ替えするらしいわよ。もう古いから新品にするんだって。はいこれ、その書類」


 そう言う柚から書類を受け取ってパラパラと中身を見る。えーっと……まじか!?

 約六百人分プラス予備の机と椅子の交換かよ。一応業者も入るみたいだけど……。

 はぁ、今から気が滅入るな。


「まぁ、頑張ってね。私は三年生の授業があるから修学旅行行かないし、コーヒーくらいは差し入れしてあげるから」

「お菓子もよろしく」

「気が向いたらね~」


 それだけ告げると柚は再び食事に戻った。ソファーに視線を向けると、結と秋沢は大人しく弁当を食べている。何やら、


『天音先輩、あれは何?』

『一番の伏兵かもしれません』

『油断大敵』

『ですね』


 とか聞こえてくるけど、ゲームの話か? まぁ、仲良くなったならそれはそれでいいんだが。



 昼の騒動の後は特に何も無く、いつも通りの

 作業をこなして来月の作業をかんがえては憂鬱になりながら帰宅する。

 そしてこれはその日の夕飯の会話だ。



「あ、そういえば今日の弁当の中身さ、めずらしく俺と結の別々だったんだな」

「え? 一緒ですよ? 配置とか仕切りとカップを変えたくらいですね」

「あ、そうなの? なんでまた?」

「だって同じにして行って、秋沢さんに見られたら同棲が「同居な」むぅ……《《同棲》》!が、バレちゃうじゃないですか?」

「あぁ、確かに……ん? もしかして結は最初から倉庫に来るつもりだった?」


 そんな俺の問いに対して結はにっこりと笑うと立ち上がり、何故か俺の隣に腰を下ろすと俺の左腕を取りギュウと抱きしめる。そうなればもちろん結の胸に腕が沈む。

 そして──


「当たり前じゃないですか。ライバルがいるのに、それを放っておくほど私は甘くないですよ? というわけで、晃太さんの腕を捕まえてしまったので私の腕は使えなくなりました。アーンしてくださいな?」


 結が隣で小さな口を開けて軽く舌を出して俺を見上げてくる。


 これ、どうしよ……。



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