真峠家にて
暑いですね。熱中症に気をつけてください!
八月最初の日曜日。
世間は夏休みの真っ最中。俺も休みなんだぜ? 望んで休んでるわけじゃないがなっ!
ってなわけで、地元に帰って来たハートブレイクな俺は、ブレークタイムする為にまっすぐに実家に向かう。ちなみにブレークタイムの使い方があってるのかはわからない。
今日帰ることは事前に伝えてあるから、親も家にいるって言ってたな。飯あるかな?
そうそう、向こうの部屋にあった荷物も全て送ってある。……着払いで。
ちなみに部屋にあったあの女絡みの物は全て売り払った。
さて、久しぶりの我が家だ。二年ぶりか?
「ただいまー」
「「「「おかえりー」」」」
おかしい。声が多い。うちには父さんと母さんと愛しの妹しかいないはずなんだが……。
気のせいか? さて、もう一度。
「たっだいまぁー!」
「「「「おっかえりぃー!」」」」
あぁもうわかった。この悪ノリは絶対そうだ。
リビングへと続くドアを開くと、そこには俺の両親の他にも後二人いた。
ちなみに妹はいなかった。夏休みだしな、遊びにでも行ってんだろうな。
さて、
「なんでここに柚と柚のお袋さんがいるんだ?」
「やほー! 晃太おひさ! そしてどんまいっ! あはははは 」
「あらやだ晃太くん。[柚のお袋さん]じゃなくって、《《お義母さん》》か、[日菜子さん]でもいいのよ?」
なんでだよ。つか柚笑いすぎ。
「いや、いいから質問に答えてくれ」
「いやぁ、あんたの親からアタシの親に連絡きて色々頼まれてね。そのついでに顔見に来たのよ」
「頼み事? 父さん母さん、なんのことだ?」
天音母娘の反対側に座る両親に目を向けると、父さんがどこぞの司令官みたいなポーズをして言った。
「知りたいか? 晃太よ」
「いや、かっこつけなくていいから。その変な柄のシャツで台無しだから」
なんだその柄。
見たこともないような動物が手招きしてて、その上に[へい!かもん!]って印字してある。
ダセェ。
「これは彩那がプレゼントしてくれた服だ」
「最高だ。ナイスセンス。超最高」
【真峠 彩那】今年小五の妹。年が離れてるせいもあるのか超可愛い。
はやく会いたい。
「それで、柚ちゃんに頼んだのはお前の次の仕事先だ」
「仕事? なんでまた。まぁ、探す手間がないのは楽だけど。で、決まったのか? 履歴書もなんも書いてないけど」
「もちろん! あんたは盆明けからうちの学校の用務員になってもらうわ。履歴書はいらないわよ。うちらの高校の時の教頭覚えてる? その教頭が赴任してきて、今校長やってるの。頼んでみたらオッケーだって」
「まじか……。散々説教された記憶しかないのによくオッケーだしたな」
「まぁ、人柄じゃない? いたずらはするけど、悪さはしなかったじゃない?」
「そういうもんかね。……ん? そいえばお前の学校遠くなかったか? 確か、通うために部屋借りてるって言ってたよな? 俺がここから通うのキツくね?」
俺がそこまで言うと四人ともニヤニヤし始めた。なんだ?
そこで初めて母さんが口を開いた。
「誰がここから通わせるっていったかしら?」
「は?」
「晃太、いつからお前の部屋があると勘違いしていた?」
いや、勘違いも何も二階に俺の部屋あるだろうが。
……ちょっと待てよ。そいえば俺が送った荷物がどこにも見当たらない。
自分で運ぶから玄関に置いといてくれって、言ったはずだが……。
嫌な予感がして階段を上がり、自分の部屋があった場所にむかう。すると扉には木製の【あやなのへ〜や♪】って表札がぶら下がっていた。手作りかな? 上手上手。後で褒めないと。
……じゃないっ! ここは俺の部屋だったはずだ!
覚悟を決めて扉を開くと、そこはぬいぐるみと様々なパステルカラーで彩られたメルヘンルームだった。
俺はそっと閉じて下に降りた。
「見たか? 目は大丈夫か?」
「父さん……。大丈夫だ。少しチカチカするけど」
「うむ。父さんもそうなった」
「ってそうじゃない! 俺の部屋は? 送った荷物は?」
「あぁ、それは日菜子さんから説明してもらおう」
柚のお袋さんから?
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