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用務員さんの同棲相手は学園で聖女と呼ばれる幼馴染みでした。  作者: あゆう亞悠


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「放っておくから……」

こーしんっ!

 あれから秋沢が戻って来ることはなく、その後の休み時間や放課後になっても来ることはなかった。

 多分泣いてたよな。やっちまったかな? もしここが心の拠り所になってたんだとしたら、それを取り上げた事になるか……。

 よし、後でちゃんと話そう。頻繁に来るのはマズイけど、たまになら大丈夫だろう。念のため、あの強面校長と柚にも言っておくか。なんか変な噂が立ってから遅いしな。ちょっとサポートでもしてもらうか。


 そんな事を自分の中で決めながら鞄に荷物を詰める。後は鍵をかけて帰るだけだ。

 鞄を肩にかけ鍵を手に持って倉庫の外に出て、しっかり施錠したのを確認して歩きだす。今日は道具の手入れがあったりしていつもより少し遅くなったせいか、目にうつる生徒の数もまばらだった。残ってるのは部活動の生徒くらいだろう。後はイチャコラしてるカップルか……。たまに見かけるけどスルーしてる。盛り上がって度を越しそうな時だけ、大きな音をだして気づかせる。そんなん家でやれ! 家で!!


 さて、今夜のつまみでも買って帰りますかね……「こ〜うちゃんっ♪」……はぁ、もう来たか。


 校門を出て少し歩いた所で声をかけられる。振り返ると、そこには脇道から出てきた香澄と秋沢がいた。


「……なんだ?」

「なんだってなによぉ。昨日『またね』って言ったじゃない」

「まぁ、確かに。ただ早いなって思ってな」

「早く話したいこともあったしね。それにこっちにそんなに長くいれないし、いたくないし……」


 こっちにいたくない? 何かあるのか? まぁどうでもいいか。


「そうか。俺もちゃんと聞きたい事もあったし、丁度いいか……」

「聞きたいこと? なんだろ。まぁいっか! じゃあどこか喫茶店にでもいこっか♪」


 そうして俺達三人は上に秋沢の家があるというコンビニの近くの駅の裏にある喫茶店に入った。

 席は俺が一人で、向かいに姉妹で並んで座っている。ちなみに秋沢は一度も口を開いていない。


「それで話ってなんだ?」

「先にこうちゃんが聞きたいこと教えて?」

「それは秋沢がいるからちょっとな。つか、なんで連れてきた?」

「妹だもん。別にいいでしょ? それにちょっと思うところがあってね……。それで真澄がいて聞けないなら当ててあげよっか? ずばり!

 なんでいきなりフラれたのか? 理由はあるのか? いつから他の男と? こんなところじゃない? 」

「わかってんじゃねーか」

「だってそれしかないもん。それにね、今あげた疑問の答えは一つだけだしね」

「なんだよ」


 俺が聞き返すと香澄は目の前に置かれたコーヒーを一口すすり、砂糖を足してからもう一口飲むとカップを置いて話し出した。


「あのね? こうちゃんが悪いんだよ? あたしを放っておくから……」


 は? 香澄は……こいつは何を言ってんだ?


「こうちゃんがあたしを放っておいて色々してるから寂しくなっちゃったの。だからそんな時に側にいてくれた人に頼っちゃったのかなぁ。 あ、もう別れたんだけどね」


 いや、放っておくって……あの時の俺の状況を理解してないのか!? あんな状況でも前と変わらずにしろと!? いや、ちょっと待て。まじかよ……。


「それであたしからの話なんだけど、もう一度やり直さない? お願い、やっぱりあたしにはこうちゃんじゃなきゃダメなの。どうかなぁ? ダメ? あっ! なんならあたしと真澄の二人と一緒に付き合う? この子まだ自覚してないけど、こうちゃんの事好きだと思うよ? ほら、胸も大きいし。それならどう?」

「っ!!」

「は? 何言ってんだ。秋沢が俺を? んなわけねーだろ。ただの用務員と生徒だっつーの。つーかお前、それ正気で言ってるのか?」


 おい、ちょっと待て。いくらなんでも話の内容が酷すぎる。冗談で言ってるんだよな? ほら、隣見てみろよ。秋沢も顔真っ赤にして怒ってるじゃねーか……。





おうえんしてねー!

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