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用務員さんの同棲相手は学園で聖女と呼ばれる幼馴染みでした。  作者: あゆう亞悠


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「………だよ……ね」

 明けて翌日の昼休み。


 いつも通りに用務員倉庫で昼食を取っているとノックの音。……やっぱり来たか。

 けど、少し待ってみるがドアが開く様子がない為、箸を置いてドアまで行きゆっくりと開けた。

 そこには、手を後ろで組んで立つ秋沢の姿があった。


「よう秋沢、入んないのか?」

「ん……いいの?」


 俺は返事はしないでその場から一歩横にずれると、秋沢に入るように促す。

 倉庫内に入ったのを見てドアを閉めると、秋沢は開口一番にこう言った。


「ごめんなさい……」

「それは何に対して謝ってるんだ?」

「ここにいるのを姉に勝手に言った事」

「別に謝ることじゃないさ」

「でも……まさか来るなんて思ってなかった」

「まぁ……な。とりあえず、事情を説明してくれないか?」

「うん」


 話を聞くと、秋沢はどうやら以前から俺の名前や別れた事などを香澄から聞いていたらしく、俺が赴任して来た時にすぐ自分の姉の元カレだとわかったらしい。それでどんな人ななのかと思って道具を借りるフリをして話しかけてきたとか。……なるほどね。


 そしてその後、香澄が新しい彼氏と別れたこと、俺のほうが良かったとか言っていたことも聞いた。

 なんだろうな。別にそれを聞いても何も思わなくなったのは、結構吹っ切れてきたんだろうか。

 だとしたら……結のおかげか?

 そう思いながら俺は軽く頬に触れる。


 そして肝心の俺の居場所を何故言ったのかだが、「わからない」だとさ。

 ぶっちゃけると、秋沢が言わない限りはここにいることを香澄に知られる事はなかったはずだ。

 わからないってことはないだろうと思い、再度聞いてみるがほんとにわからないらしく、気が付いたら送っていたらしい。

 表情を見ても、キョトンとしていて本当にわからなそうだった。しかし一瞬だけだが、普段あまり変わる事のない表情が曇ったような気がしたが……気のせいか?


「どしたの? 何か変?」


 おっと、ちょっと顔を見すぎたな。さて、本題だ。


「いや、なんでもない。それで香澄は何の為にきたんだ? 一体こっちまで何の目的が?」

「それ。昨日ハッキリ言ってた。ヨリを戻す気みたい」

「はぁ……。まじかよ……」

「後二日くらいこっちにいるみたい。だからまた来るはず。ヨリ……戻すの?」


 なんでそんな泣きそうな顔に? 仲悪いのか?


「戻るわけないだろ……。けど、来たらちゃんと話すつもりだ。もちろんちゃんと縁を切る為にな」

「そう……。じゃ、じゃあ姉が何か動いたら教えるからメッセのID教えて?」

「いや、それはいい」

「え……」


 考えるまでもない。相手はただの生徒で俺はここで働いてるからな。それ以上踏み込む訳にはいかないからな。

 それにそこから香澄に俺の連絡先がバレるのは避けたい。着信拒否までしといて今更ヨリ戻すとか、そんな馬鹿げた話があるかよ。

 そんな感じのことを秋沢に告げてIDの交換は断った。


「……だよ……ね。うん。わかってた」

「だろ? 香澄に漏れてその事をネタに何か言われてもな。あっ! そうだ……倉庫に来るのもしばらく控えた方がいいかもな。最近入り浸り過ぎだろ? 蛍光灯交換とかでたまに見かけるけど、最近はクラスの女の子とも少しは話せてるみたいだし、あんまこっち来てんの見られるのもマズイんじゃないか?」


 ………あれ? 反応がない?


「………メ?」

「ん? なんだって?」

「ここに来るのも……ダメ?」

「いや、だってなぁ…」

「確かに話す子は増えた。けどそれはここに来るようになったから。だからここは特別で大事。だからここに来れなくなるのは……来れなくなるのは何? え、何これ。わかんない……胸痛い……なんで?」


 秋沢の様子がおかしい。途中から俯いたままになって声がちゃんと聞こえないんだが。


「秋沢?」

「……イヤ。自分でもわからないけど、ここにこれなくなるのはイヤっ!」

「ちょっ!」


 聞いたこともない声で言い放つと、秋沢は倉庫を出ていった。

 見間違いじゃなかったらだけど……もしかして泣いてたか?

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