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[好きだけど嫌いで淋しい]

おはよございます更新ー!

 すっかり隼人と比奈は外野になってしまった。けど、これは聞いておかないと。


「彼氏がいない? なんでいるなんて嘘をついたんだ?」

「……教えないもん」

「教えないって……。それにフラれた理由も初めて聞いたぞ。あの時言ってくれたら俺だって……」

「だって言ってないもん。言えないもん。あの時だって、少し考えてから「わかった。お前がそう言うなら」だけだったじゃん! 言えるわけないじゃん!」

「そ、それは、お前の考えも尊重してだな……」

「それっ! なんでそうなるの? もっと奥までこっちに踏み込んで来てよ! 二人で色々決めたかったよ! そういう所が好きだけど嫌いで淋しかったのに……。元カノさんの事だって、浮気はあり得ないとはおもうけど、晃太にも悪いところあったんじゃないの? 本当にそうだったのか確認したの? 拒否されてても押し掛けてちゃんと話し合いとかしてたら何か変わったんじゃないの? 変に冷めてるところ変わってないじゃん……」

「そ、それは……」

「言い訳しないで! そうやって結の気持ちからも逃げてるんじゃないの!?」


 俺は何も言えなくなってしまう。

 確かに、向こうが悪いみたいな言い方ばかりしてたけど、俺にも落ち度があったのかもしれないな。

 それにしても、柚も知ってたんだな。結の気持ち。逃げ……か。

 でも、彼氏がいるって嘘ついてまで姉妹での同棲を辞めたのは何故だ? その頃は、まだ俺は帰って来てなかったのに。


 だけど今、一番に考えなきゃならないのは柚の事だ。

 まさかこんなに想ってくれていたなんて、俺は分からなかった。幼馴染みの延長でなんとなく……って考えていたのは俺だけで、柚は一人の男として見ていてくれてたんだな。

 ダメだな……ホント。



「ゴメン、言いすぎた……。結局、自分一人で抱えて逃げた私がさ、今頃色々言っても説得力無いよね……。でも、私は……ヴッ」

「いや、俺も悪かったよ……柚?」

「……キモチワルイ」

「は? おい、大丈夫か!?」

「ちょっとトイレ……」


 柚が突然青ざめた顔になり、トイレに向かって歩いて行く。ちょっ! 大丈夫か!?

 そこで、さっきからずっと傍観に徹していた二人が口を開いた。


「比奈、付いていってあげて。俺はタクシー呼ぶから。今日はそのまま天音の部屋に泊まるんだよね?」

「うん、そのつもり。じゃ、ちょっと見てくるね」


 そうして部屋には俺と隼人だけが残された。

 隼人はすぐにタクシーに電話して、それが終わるとこっちを向いてニヤニヤしてくる。


「いやぁ、それにしても青春してたねぇ」

「ほっとけ」

「それでさ、結ちゃんって確か天音の妹さんだよね? 今二人は先に帰すから、 その後別の店でもちろん詳しく聞かせてくれるよね?」

「まぁ、そうなるだろうとは思ったよ……」


 そんな話をしているうちに柚と比奈が帰って来た。少し楽になったのか、柚の顔色は少し良くなってるみたいだ。


「うぅぅ、飲みすぎたぁぁぁ……」

「ピッチャーで頼んでたもんなぁ」

「うっさいわねぇ……」


 そこで柚の隣にいた比奈が隼人の裾を引っ張りながら話し始めた。


「じゃあ隼人、私達はここで帰るね。今日は柚の部屋に泊まるから。色々聞かなきゃなんないこともあるし。ね? 柚?」

「うぅ、比奈が怖い……。ごめんね隼人君。今度また集まろうね」

「そうだね。また今度。とりあえず……頑張って」

「隼人君まで……」


 俺は隼人に。柚は比奈に。別々に一体何を聞かれるんだか……。


「まぁ、気をつけて帰れよ」

「わかってるわよ」

「ならいいけど」


 その後は会計を済ませ、外に出るとちょうどタクシーが来たところだった。

 隼人は比奈と何かを話してる様子。戸締まりはどうとか聞こえてくる。なんか俺と結の会話みたいだな。関係性は違うけど。


 二人が話してる間に、柚をタクシーに乗せておくか。


「柚、先に乗ってな」

「うん」


 そしてタクシーの近くまで来ると、柚がこっちを振り向いて俺の胸にもたれてきた。


「晃太」

「なんだ? ふらつくのか?」


 柚は首を横に振る。そして、


「好きよ」


「え?」


「……あんたの汗の匂い。臭くなんてないから」


 それだけ言うと、俺から離れてタクシーに乗り込んでしまった。声をかけようとしたが、丁度そこで比奈が来た為に、足がとまる。


「じゃあ晃太君またねー! うちの旦那をよろしくー!」

「わかった」

「……じゃあね。晃太」

「あ、あぁ」


 そのまま扉は閉まり、タクシーは走り出した。


 それを見ていると、後ろから隼人が俺の肩を叩く。


「さぁ、次はどこに行こうか?」


今からお昼ご飯をつくります!

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