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もう一人の聖女

更新忘れてました!

「今じゃ……なんですか?」


 俺の腕を掴みながらそんな事を聞いてくる。

 いつの間にこっち向いたんだ。

 ってそこじゃない。

 しかも、急に動いたせいなのか結の部屋着が少しズレている。これはよくない。


「おい、服直せって」

「別にいいです。それよりも聞かせてください。今じゃ、なんですか? 昔と何が変わったんですか? 目を、そらさないで下さい……」


 な、なんなんだ一体!?

 なんでそんな必死なんだよ。


「晃太さん……」


 あーもう! わかったよ!


「あーえっとだな? その、今の結は昔と違って、十分女っぽいって言うか、その……色々と目のやり場に困るんだよ」

「そうですか……それはつまり、私を女として意識してるってことですよね? エッチですね」

「んなっ!? お前が言えって言うから言ったのにそれか!?」

「あっ、そうでした。……そっかぁ……ふふっ、ふふふ」


 なんだ? すっげぇニヤニヤし始めたぞ……。てっきり、イヤな顔か「キモッ」とか言われるかと思ったんだが……。

 まぁいいや。


「ほら、答えたんだから俺の腕を解放してくれ。そしてまだ寝るなら自分のベッドに行きな。もう布団片付けるからさ」

「はーい」


 結は返事をして、自分の枕を持って俺の布団から出ていくと、何故か自分のベッドではなく俺の目の前に来た。


「あ、晃太おにいちゃん」

「なんだよ」

「もうちょっと……見ます?」


 そんな事を言いながら顔を赤くして軽く前屈みになり、胸元を軽く引っ張って谷間を見せてきた。


「や、やめなさいっ!」


 顔真っ赤にするくらいならやめればいいのに。

 いやホント、なんなんだよ……。


 その後俺は布団を片付けて、ニュースを見ながら今日の準備。それが終わるとシャワーを浴びる。昨日は風呂入る前に寝ちまったからな。ちなみにちょっとだけ怒られました。お湯がもったいないとね。ちょっと細かくない? あ、いえいえ……ごめんなさい。

 隣からも物音がするから、結もあのまま寝ないで動き始めたんだろう。


 シャワーから出るといつものツナギを着る。

 これでもう準備は完了なのだ。

 時計を見ると六時半。いつもより早いけどそろそろ行くか。昨日の残りもあるし、確か今日はなんかの交換の業者も来るはずだしな。えーっと、なんだったかな? まぁ、行けばわかるか。

 俺はカバンと財布とスマホ持って、テレビを消す。さて、行くか!


「晃太おにいちゃんもう行きます?」


 ん? 結が顔だけ出して聞いてくる。


「あぁ、今日はちょっと早めに行くわ」

「ちょっと待ってて下さい」


 それだけ言って顔を引っ込めた後、少しすると小さな包みとおにぎりを持ってこっちにやって来た。もしかして……


「はい、どうぞ。こっちは朝ごはんに食べて下さい」

「これ、こっちの包みは弁当か?」

「そうです。これで……あのお弁当屋さんには行かなくてもいいですよね?」


 ゾワッ……


 な、なんだ!?


「あ、あぁ。ありがと……な?」

「はいっ。じゃ、いってらっしゃい」

「い、行ってきます……」


 俺が結から弁当を受け取って学校に向かっていると、近付くにつれて徐々に生徒の姿を見るようになってきた。時間的に朝練の生徒だな。

 俺の事はまだそんなに認知されてないのか、近くを歩いてもまだ挨拶される事はない。


 そんな中、俺の目にうつるほとんどの生徒から挨拶されている人がいる。

 回りからは、「やべ、初代聖女さまだ! 挨拶しに行こうぜ!」とか、「ほんと儚い……。守ってあげたい……」や「あぁぁぁ、まじ可愛い。後ろ姿も可愛い。踏まれたい」とか聞こえてくる。おい、なんかヤバいやついるな……。


 そんな称賛を受けている人物は、俺の少し先を歩いていた。

 背中までの黒髪にスラッとしたスタイル。清潔感のある水色のワンピースの上に、白のカーディガンを羽織っている。ワンピースの裾からは細く白い足が伸び、一定の歩幅で学校へと向かいながら、挨拶してくる生徒達一人一人にニコニコと微笑を浮かべながら丁寧に挨拶していた。


 ふむ、俺も挨拶しておくか。


「おはようございまーす」

「はい、おはようございま……って晃太じゃん」


 この学園のもう一人の、儚い聖女と呼ばれる存在。

 それは結の姉である、柚だった。



 いや、儚いとか……笑うわ!



すいませんっ!!

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