「……………あ」
アイス買ってきます!
スマホでセットしていたアラームが鳴る。
特にいつも置く場所が決まってるわけでもないから、音がする方に手を伸ばすとすぐに見つかった。
時刻は五時二十分。いつもはここからウダウダして、布団から出るのは四十分くらいだ。
ちなみにここは結の部屋。俺はどこぞのラノベ主人公じゃないから、『あれぇ? ここどこだ? 俺の部屋じゃないぞぉ?』なんて、寝る前の記憶が無くなることなんてない。
だからちゃんと覚えてるんだ。
寝たフリをしたまんまで、そのまま寝ちまったことを。
俺がちゃんと布団で寝てるってことは、結が持ってきて俺を寝かしてくれたんだろう。それはわかるし、ありがたい。
しかし、しかしだな? これは流石に予想外だわ。
《《なんで俺の隣で》》寝てるんだ?
もちろん、起き上がる時に間違って【フニョン】なんてこともしていない。するわけがない。むしろまだ寝っ転がったままで、スマホを取った以外に微動だにしていない。
これは一体どうすればいい?
俺は《《結に抱き締められている》》片腕をどうすればいい? しっかり抱き締められ、しかも胸に挟まっている。
ハッキリ言おう。
俺は今までに二人の女しか知らない。女性に対して失礼な言い方になるかもしれんが、一人目は小さかった。まだ学生だったしな。まぁ、今でも成長はしてないみたいだが……。
そして二人目が元カノの香澄だ。香澄もないわけではないが、大きいとは言えなかった。
そんな中、結のはダントツに大きい。普段の薄着(勘弁してくれ)から[でかいなぁ]とは思っていたが、ここまでとは……。だからこんな経験は初めてだ。まさかこんなに柔らかいものだとは……って違うっ! 相手は学生! あかんっ!
ふぅ……さて、ホントにどうするか。
まだ早いから寝かせといてやりたいが、このまま腕を抜くと確実にスライムみたいになる。つまり絶対起きる。しかも変な声を出して起きる。そんな気がする。
それなら……
「おい、結? 起きろ」
「んん……んにゃ?」
んにゃ? ってなんだおい。普段の【スンッ……】って感じはどこに置いてきた!?
「起きろ。いや、まだ寝てていいけど俺の腕をはなしてくれ。俺はそろそろ起きるから」
「ん〜〜。やだぁ」
おいっ! さらに抱き寄せるな! 腕が埋まる! ってここで狼狽えてもしょうがない。
ここは大人の余裕ってやつをみせてやろう。
「結、胸に俺の腕が挟まってる」
「ん〜?………んっ!?」
その一言で目が覚めたのか、すぐに俺の腕は解放され、結は寝返って俺に背中を向けた。
「あの……おはようございます」
「おう、おはよう。で、なんで隣に?」
「えーっとですね? 晃太おにいちゃんが私の服を掴んで離さないので、仕方なく?」
「……枕まであるのに?」
「…………あ」
こいつ今【あ】って言ったな?
「結?」
「えっとですね? ほら、昔は一緒に寝たりしたじゃないですか? それで……懐かしくなって?」
「昔と今じゃ違うだろうが。俺はもう大人だし、結だって今じゃもう……あ、いや、なんでもない」
あぶねぇ……。変なこと言うとこだった。
さっさと布団からでて準備しよっと。って思ったのに……
ガシッ
あ、掴まれた……。
家に着いたら溶けてました……。
応援お願いします……。