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【天音 結の決意③】

あ、あついですね……

 ……ふぁぁぁぁ! いっちゃったぁぁぁ!

 しかもこんな人前でぇぇぇぇ! は、恥ずかしい……。


 私が熱くなった顔を冷ましながら俯いていると、和臣さんが声をかけてくれた。


「結ちゃんありがとう。嬉しいよ。それで……それは本心からかな? 同情とかからだと長くは持たないよ?」

「あ、あの、本心……です。ホントずっと前からその……スキ……です」

「そっか、なら……有華、日菜子ちゃん。手筈通りに」


 え? 手筈?


「そうね、未来の娘の為に全力でいくわ」

「わかったわ。業者の方に連絡しないと」

「俺は書類手続きの方をやってしまうか」


 え? え? 何? 何の話!?


「ちょ、ちょっと三人ともなんの話してるの!?」


 戸惑う私の代わりにおねぇちゃんが聞いてくれた。

 それに答えたのは、私のお母さん。


「あぁ、説明が足りなかったわね。実はね、結が晃太くんを好きだったら、一緒に住んでもらおうと思ってたの。晃太くんのおじいちゃんのアパート覚えてる? あそこでね」


「「へっ?」」


「ほら柚も、結をあんたの部屋から通わせるって言った時に『一緒だと彼氏出来たら呼べなぁーい』って言ってたから丁度いいじゃない。それにしてもホントにいたとはねぇ〜」

「あ、いや、それはその……」

「もし、柚が好きだったらそのままで、アパートには私と結で住もうかな?って考えてたしね? ちなみに、どっちも好きだったら三人で暮らしてもらう予定だったわ! 」

「あ、そうなんだ……。そっか、三人でって案もあったんだ……って、どっちもダメって選択はなかったの!?」

「ん〜柚はちょっと自信なかったけど、結はねぇ……。」

「そうだな、結ちゃんはなぁ……。GWとか長期休みの時とかに、ウチの前で晃太の部屋を見る結ちゃんをよく見てたからなぁ。何度も」


 そんなことを和臣さんも言う。

 うわぁ……見られてたのぉぉぉ……。帰って来てないか気になってただけなのに……。

 ってちょっと待って……え? 一緒に住むのっ!?


「あ、あの、一緒に住むって?」


 私は思わず有華さんに聞いしまった。


「ん? そのままの意味よ。今のあの子はね、きっとたまに会うくらいじゃダメなのよ。うちの人と同じで馬鹿で鈍感で朴念人「おぃぃ……」なの。だから……同棲してオトしちゃいなさい!」


「んぇっ!?」


 おとっ! オトすって! えぇぇぇぇ!?


 そこからは全てが早かった。

 なんでも来週には帰って来るみたいで、アパートの手続きに引っ越しや、まさかの壁のくり貫きでの部屋を繋げる工事。それがたったの三日で終わり。きっと事前に決めていたんだろうなぁ……。

 大人って……すごい。

 そしてあの日、おにぃちゃんが私と一緒に住む部屋に戸惑ったような顔をしてやって来た。

 私の顔、覚えててくれてたかな? ちゃんと出迎えられたかな?



 ――そんな事があって、今は私の目の前で眠ってる私の一番好きな人。


「まだ……辛いの?」


 髪を撫でながらそんな事を聞いてみても返事はない。

 寝てるもんね。


 一緒に暮らしてみてわかったことがあるの。

 ちょっとだらしない所とかあるのもわかっちゃったけど、やっぱり好き。もっと好きになる。

 それに、ホントに鈍感。わざと? って位に。

 後は……無意識に私と近づくのを避けてる感じがしてちょっと寂しい。これは元カノさんのせいなのかな……。


 けど諦めない。

 絶対意識させて、好きにさせてみせるから!



 そのためには……とりあえず隣の部屋から布団を持ってきて、近くの床にひく。そこに横にしてあげて毛布をかけてあげる。

 そして、ベッドから自分の枕を持ってきて隣に置く。その後は、力の抜けてる手を取って私の服の裾を掴ませる。よしっ。


 えっと……これは不可抗力なの。私はベッドで寝ようとしたけど、服を掴まれて動けなかったの。だからここで寝るしかないの。

 胸の中で自分にそんな言い訳をして……おやすみなさい。


「ふふっ、あったかいなぁ……」






あぅ……溶ける……

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