文化祭で劇をすることになった。
コロナ休みも終わって私達はまた学校に通い始めた。
この時期にやっと新学期なんて最初は変な印象を受けたけど、今はそう言うふうには思わない。夏休みがなくなってしまうなんて話もあってそれは嫌だなぁと思うけど、完全になくなるのはともかくとして、今まではずっと休みだったんだから授業の内容を考えれば仕方ないとも思う。
今日は授業をしながらも9月にある文化祭の出し物を決定する日である。
最初は誰も意見を出さなくて学級委員長がすごく困っていたけど、それでもなんとか文化祭の出し物が決まった。
役柄はくじ引きで女が男をやったり男が女をやったりする場合もある。これはクラスの大柄な男子の一人ががすごく嫌がり、他の男子が便乗する感じで最初から役者組を決めてその役者組の中でくじをすると言うことになった。
脚本、監督、小道具などを決めていく。私は家庭科部なのもあって服を作る係になることが出来た。
役者になりたいって言う人はあんまりいなくて、文化祭実行委員やクラスのお調子者、また見栄えのしそうな人が選ばれていく。
同じ家庭科部で私がちょっといいなって思ってる鈴谷くんは小柄で少し可愛い感じなので役者という役割を押し付けられてしまっていた。本人は服装係やりたかったみたいなのに。でも確かに女役もやるかもしれない役者になるんだったら、現在くんでも女装でも似合いそうな人、舞台で映える人がやるべきだろう。もちろん全然似合わない人が女役になってもその人がエンターテイメント性があれは断然ありだと思うけど。
それにしても押し付けられたと言ったけど別に強制されたわけじゃないのに引き受けるなんて弦くん押しに弱いなぁ。お人好しだし。そんなところも好きなんだけど。
「は〜女役になったらどうしよう…。それでなくてもセリフ多い役とか」
「鈴谷なら主要人物でもイケるって。多分」
「ってか失礼かもだけど、女役結構似合いそうだよな」
「嬉しくない…」
そんなやり取りをして友人にからかわれる相田くん。そんな姿もかっこよくて、可愛い。マスク姿でもその愛くるしさは失われない…。
そんなことを思ってる私に里亜が話しかけてきた。
「ねぇ、瑠衣お互いに衣装係になれてよかったね」
「うん。まだまだ先だけど文化祭楽しみだね」
私は笑顔でそう言った。