表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕と二人の幼馴染と、恋、時々部活  作者: なか たつとし
13/13

13.帰り道と全体練習

 アカペラチーム結成後の帰り道は少し明るい雰囲気が流れる。

「リョウ君、よかったね。」

ユリがとても明るい声で言う。

「本当だよ。僕、もう泣きそう。」

これからはみんなが一緒にいる。そのことでうれし涙がこぼれる。

「まあ、村山も笑顔だったしね。」

マリが言った。

「でも、村山よりリョウ君の方が好き。」

二人が声をそろえる。


 そうだ、未だに彼は知らないのだ。僕たち三人で週末、とても素敵な時間を過ごしたこと。


 それもそうか、大丈夫か。あの男なら。こっちには、いつでも相手にできるマリもいるし、ユリも僕のことを良くわかっている。これからも続けていいんだ。

 僕はそう思った。


 今日は素敵な帰り道を過ごす。一つ悩みの種が消えたからだろうか。とてもうれしい。

 今日はいつもよりも早く、マリと別れるレンタルビデオ屋の前に来ていた。


「じゃあね、また明日ね。」

 マリは大きく手を振った。



 僕は二人と別れて、いつものように予備校へ行った。今日は数学。とても面白い授業。授業の予習もこれで完璧だ。

前原先生も明るい雰囲気の僕を見て気にかけてきた。

「どうした。明るいぞ。こんな軽い生徒だったんだな。」

前原先生の的確な指摘に僕は嬉しい。

「部活入ることに決めたんです。合唱部で。」

「おお、それは素晴らしいよ。良かったな。やっぱり高校一年のこの時期、部活も楽しんでおいてほしいのがやはり予備校の願いだな。だからこうして映像授業で、都合のいい時間に来てもらっている。大丈夫、部活やってても合格できるから。」

 それは素敵なアドバイスだった。良かった。


 翌日は、合唱部の全体練習だった。改めて、楽譜を開いて、説明を受ける。

 この合唱部はコンクールと文化祭の中で行われる演奏会、そして、夏の定期演奏会に向けて準備をしているようだ。現在は夏の定期演奏会に向けて準備している。例年、一学期の期末試験後から一学期最後の週末にホールを借りて実施しているようだ。

 つまり、7月の2、3週目前後だ。ここで3年生が引退して、新しい、戦力で、秋、コンクールに臨むようだ。

 というわけで、夏の演奏会に向けての練習が始まった。

 僕は、音を取るのが他のメンバーよりも早いようで、他のパートの音も聞いて合わせることができた。ソプラノの方からユリと、マリの声も聞こえてくる。

 狩野さんも僕の表情を見るなり、頷いている。練習を指揮しているのは三年生の指揮者の方である。一年生を前にしてても、求めてくるのは一緒のようだ。


 すると突然、ドアが開く。

「お疲れ様です。」皆が頭を下げる。そこにいたのは隣のクラスの担任で、音楽の宮島先生だった。

「お疲れ様。それでは、ここからは私が練習を行いますね。」

 宮島先生も女性の方で、芦川先生よりも年上、50歳くらいだが、年齢の割には若く見える肌つやが自慢のようだ。好きなことをやっている人はこんなにも美しいのか。

「一年生のみんな見学に来てくれてありがとう、そして、入部してくれた子もいると聞いています。ありがとうございます。合唱部顧問の宮島です。一年三組の担任なので、わかるかもですが。」


ここからは、宮島先生の指揮が始まった。迫力あふれる指揮。

とても、印象がいい。楽しいことをするのが好きな先生なのだろう。

 ユリも、マリも、そして合唱部のみんなの表情も変わっていく。


 やがて今日の練習が終わると、宮島先生の目が笑顔になって、挨拶をする。

「どう、中島君、宮島先生の練習と、そして、初めての本格的な全体練習は。」

狩野さんが笑顔で聞いてきた。

「とても楽しいです。」

「うん、恵愛の事情は後藤から聞いたよ。とてもつらかったな。何かあればこれからもいつでも言ってくれ。」

狩野さんは真剣な目をしていた。

 ここにいていいんだと強く思う。


 よし、頑張ろうと心に決めて、僕は演奏会までこのメンバーで、頑張ることにした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ