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『第六十二話 ダンジョン攻略戦in教会(Ⅰ)』

 階段を見つけたという連絡を受けて、俺たちは地下に足を踏み入れた。

 教会の地下は薄暗く、石作りの通路が左右に伸びている。


【気配察知】を活用しながら進んでいると、あるドアを開いたところで空気が一変した。

「なっ……」

「どうやらこの先は一筋縄ではいかないみたいだね。教会の闇の片鱗がこれか……」


 ダイマスが唸る。

 目の前に広がっていたのは、冒険者時代に何度か潜ったことのあるダンジョンだった。


 ダンジョンは一言で表すと迷宮で、宝箱などがあることもある。

 その代わりに罠などが仕掛けられていることもあり、冒険者の死亡率はもちろん一位だ。

 ダンジョンは地下深くまで続いていることもあり、深いほど良い宝物が出る傾向にある。


「どういうこと?」

「ダンジョンって入るときに入場料を払うんだ。それが教会の収入の一環なんだろう」

「本来は国に届けなきゃいけないんだけど……この様子じゃ怪しいね」


 本来は入場料の二割を管理料として国に払わなきゃいけないのだが、その場合はこのように建物と繋がっているということはない。

 つまり国に認知されていない入り口か、そもそも国に届けられていないかの二択である。


「ダイマス、お前の能力で全体像を把握できないか?」

「少し待ってください……分析が終わりました。このダンジョンは二階層までですね」


 多くのダンジョンは二階層か三階層までで終わる。

 たまに十階層を超えるものもあるが、そういったダンジョンはすべからく人気だ。

 人の気配が見えない時点で察してはいたが……どうやら凡庸なダンジョンのようである。


「マスナン司教と皇妃は二階層か!?」

「はい。この場所から一番離れた場所に気配があります。つまりこのダンジョンは……」


 そこまで言ったところで、奥から三体のゴブリンが走ってきた。

 一番前にいたべネック団長が二体を斬り、残りの一体に後衛のアリアが魔法を突き刺す。

 無言の連携であった。


「こうなったら最速で攻略するぞ。早く王都に行かないと占領されてしまう!」


 べネック団長の言葉に即発されたかのようにして、連絡石が低い音を立てる。

 そこから流れてきたのは、王都がリーデン帝国軍四万あまりに囲まれたという報告だった。


 ついに始まってしまったのか。


 予想よりも数日早かったし、俺たちは未だにアマ村の近くにいるから加勢できない。

 まさに最悪といえた。

 俺たちに出来ることといえば、このダンジョンを早く攻略することくらいだろうか。


「べネック団長、本当に早く攻略しないとマズイです! 指示を!」

「分かった。ちょっと待て」


 頭を抱えながら返事をしたべネック団長が眼前を見やる。

 目の前で通路は三つに分かれており、その先に何があるのかは薄暗くて見えない。


「通路が三つか……。ティッセとダイマスは左、イリナとアリアは真ん中、私は右に行くぞ」

「分かりました……って何だ!?」


 左の通路に向かおうとしたとき、上空から何かが近づいてくる気配を察知した。

 しかし上を見ても煉瓦で作られた天井があるだけで、何かが飛んでくる姿は見えない。


「避けなさい!」


 アリアの声が響いたのとほぼ同時に、イリナに向けて【ホーリー・ライト】が突き刺さった。

 これは……あの大司教の……。


「どういうことだ!? どうしてダンジョンの一階層でホワイトバード・シャドウが!?」

「目が青いということは従魔ですね。教会関係者で思い当たる人物はただ一人……」

「イルマス教の大司教、ローザン=ピックだけだな」


 ダイマスの言葉を引き継ぐと、イリナが顔を険しくして天井を睨みつけた。

 そして剣を何もない空間に向けて一閃すると、ホワイトバード・シャドウが姿を見せる。

 翼からは血が出ているから、イリナが斬ったのだろう。


 姿が見えないホワイトバード・シャドウを斬れるなんて……これはすごい。

 イリナは本当に頼りになるな。


「私を殺そうとした理由は……耳がいいからね。翼の音でどこを飛んでいるか分かるから」

「確かにアマ村のパーティーのときも、遠くで喧嘩していた子供の声が聞こえてたもんな」


 あれには驚いたものだ。

 ギルドマスターに指示されて、斥候の役割をしていた俺も聞き取れなかったのだから。

 まさかイリナが聞こえているとは思わなかった。


「ティッセ。とどめを刺しなさい」

「俺か……。まあいいけど。火焔流二閃、【焔斬】」


 炎の魔力を通した魔剣で突き刺すと、ホワイトバード・シャドウは光に包まれて消滅した。

 ダンジョン内では魔物の死骸は残らないからな。


「それにしても……どうしてローザン大司教の従魔がダンジョン内にいるんだ?」

「今はいいです。早く攻略しますよ!」


 俺の言葉で、弾かれたように全員が通路に視線を向けた。

 ここからは別行動となるため、お互いに助け合うということが出来ない。

 いつもよりも連携が大事になる。


「これより攻略を開始する。全員生きて合流するぞ! それじゃ……状況開始!」

「「「「はい!」」」」


 べネック団長の号令とともに、俺たちは分かれてそれぞれの通路に向かった。

 ヘルシミ王国の王都が占領されるまで、あと二日と六時間。

 第三騎士団はダンジョンの攻略を開始したのだった。


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