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『第百四十六話 ギルドマスターの真実(ハル視点)』

 冒険者ギルドの三階。

 ギルドマスターは自身が担当する建物に自分の部屋を持っている。


 ここに何か手がかりがあるかもしれない。

 そう思って部屋に入ると、ほとんど家具のない殺風景な部屋が目に入った。


「何ですかね、この部屋」


 寝れればいいと思っているのか、机とベッドが一つずつしかない。

 カーテンも閉じられている。

 明かりを確保するためカーテンを開けると、机の下の引き出しが目についた。


「あれ」


 もしかして。

 何やら鍵みたいなのもかけられているし、ここに手がかりが入っているだろう。

 そう思った私は階下に戻り、ギルドマスターの服のポケットから鍵を拝借。

 引き出しを開けた。


「これじゃまるで泥棒ね」


 自嘲しながら引き出しの中を見た私は絶句するしかなかった。

 山積みになった紙。

 綺麗に整えられたそれは間違いなく便箋だった。


「何なの、この人!?」


 しかもティッセが私に書いたのであろう手紙だ。

 一通だけではなく何通も保管されていたが、付与されているはずのお金はない。

 つまり、あのギルドマスターはティッセから預かったお金を横領していたのだ。


 とんでもないな。

 横領犯のギルドマスターが一番ヤバいが、ティッセもちゃんと確認しろよ。

 私は大きなため息をついた。


「そして私が送った手紙も受け取るだけ受け取って、ティッセには渡してないと」


 底の方には私が送った催促の手紙。

 それにしても、ご丁寧に証拠を保管しておいてくれて助かった。

 心置きなくギルドマスターに復讐できる。


「ふふっ……」


 ちゃんとお金を送ってくれていれば、私があんなに苦労することはなかった。

 ちゃんと確認していなかったティッセも悪いが、最も憎いのはギルドマスターだ。

 裁きを下すしかない。


「さあ邪神さん、作戦を立てましょうか。ギルドマスターを破滅させる作戦を」

「リョウカイ」


 まず、ギルドマスターを操るにはこの冒険者ギルドから出させるしかない。

 職員の中に魔力の流れに強い人が絶対いる。

 あるいは魔道具が存在しているだろう。


 こちらはバレたら即討伐対象なので、なるべくリスクは低くしておきたいところ。

 つまり外出させるしかない。

 ところがだ。


 ギルドマスターという役職がここで大きな障害となる。

 奴を外出させるには、ドラゴンのような天災級の怪物を出さないといけない。

 そんなの私には無理だ。

 邪神の力をもってしても、さすがにそれは不可能である。


「ちっ、どうしようかしら」

「カベ」


 思わず舌打ちをしつつ考えていると、邪神が重々しく呟いた。

 普段からあんまり饒舌ではない邪神だが、その中でもとりわけ短い単語だな。

 カベ……壁?

 壁を見てみると、暗闇では気づかなかった書類が貼られていた。


「ギルドマスター規約?」


 調べてみると、どうやらギルドマスターの仕事について書かれているようだ。

 この中で使えそうなのは依頼についてだ。

 明らかに依頼の難易度と報酬が釣り合わない場合は、マスターが直々に出る。


 これを使うしかない。

 上手く操ることができれば報酬も不要になるし、バレるリスクも低いからな。


「よし、依頼を出すか。邪神さんその時は頼むよ」

「リョウカイ」


 私は証拠として手紙を数枚ポケットに入れて、部屋を後にした。

 その足でギルドマスターのところに戻る。


「ギルドマスター?」

「ふぁ!?」


 私が激しめに揺らすと、ギルドマスターは大声を出して飛び起きた。

 耳が壊れるわ!


「うるさいですね。突然地面に転がって……どうしたんですか?」

「最近寝不足でな。心配かけてすまない」

「あっ、そうですかー」


 相手が眠ければ眠いほど魔力が少なくて済む魔法、【スリープ】。

 これ、私はしっかりと操れるのだろうか。


少しでも面白いと思ってくださったら。

また、連載頑張れ!と思ってくださったら、ぜひ感想や評価をお願いします!

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