(仮)①
☆「あと4試合で開幕からの連続試合安打のプロ野球記録に並びそうですが、やはり『舞水ひろや』選手の記録は意識されますか?」
numbersのインタビューに答えながら、いつも必ずちらつく『舞水ひろや』の名前が気持ちをイラつかせる。
「そうですね。偉大な『舞水ひろや』さんの記録ですので、ずっと頭から離れることなく、ここ数試合は打席に入らせてもらっています。」
たった7年‥‥‥‥。
‥‥‥‥たった7年しかプロに在籍していなかった選手が、いつも、いつも、いつも、いつも、オレの目の前をちらつきやがる。
鬱陶しい。
鬱陶しい。
鬱陶しい。
鬱陶しい。
鬱陶しい。
鬱陶しい。
鬱陶しい。
鬱陶しい。
鬱陶しい。
鬱陶しい。
本当に鬱陶しい‥‥‥‥心底、消えてほしいと願う。
だが、消えない。
あの言葉がいまも鼓膜にこびりついて離れない。
まだ高校球児だった頃、テレビで観た『舞水ひろや』。
お立ち台に立ち、ヒーローインタビューに答えるその声。
忘れられるはずがない。
「天才」だと思ってやってきた‥‥‥‥オレは。
周りもオレを「天才」だと称賛してくれていた‥‥
‥‥幼少の頃から。
なのに‥‥‥‥
「‥‥『天才』じゃないですよ?なんか『天才』って、努力してないみたいじゃないですか(笑)。天賦の才に恵まれてたら、27でルーキーなはずないじゃないですか(笑)。ぼく、ちゃんと努力してますからね??(笑)。」
観客の笑い声と歓声に混じって、オレの歯ぎしりする音が聴こえた。
消えない‥‥‥‥消したくても。
忘れられない‥‥‥‥あれほどの辛酸の味を。
忘れられるはずがない‥‥‥‥あの時から。
これから先も、ずっと‥‥‥‥。
‥‥‥‥消えない‥‥‥‥心を裂かれた
深い、深い、深い、深い、深い‥‥‥‥傷が。
①(仮)




