1.プロローグ
「名前は◻︎◽︎◽︎◻︎、年齢は35歳か...」
「フッ、歳はともかく戦闘力も名前も平凡すぎてつまらんな」
今、俺の目の前には元勇者であり現魔王という悪魔のような存在が佇んでいた。
「どうだ?お前は何の面白味もなく、何の絶望もなかった冒険者としての人生は楽しかったか?」
俺は魔王が言っている事に心当たりがあった。
確かに俺の人生は冒険者として踏み出したは良いものの、その後何処にでもいる低級モンスターを狩ってはギルドから報酬を貰うだけという何の代わり映えの無い毎日を送ってきた。
だから俺は魔王に対してこう答えた
「 魔王、お前の言う通り俺はつまらない人生だった....けどさぁそれってお前に関係あるのか?」
「そう、我には関係あるのだよ」
そう言うと魔王は話を続けた。
「我の人生は波乱の塊だった、今もなお魔王として存在しているからこそ人間に狙われる一方だ」
「だが、我の人生は充実していると我自身胸を張って言い切れる」
「そこで、だ。貴様には我よりも波乱の人生を歩んでもらおうと思ったからこうして貴様の前にわざわざ現れたのだよ」
そこまで聞いて俺は疑問を抱いた、そんな事をして魔王には一体何の得があるんだろうかと.....だから俺はそれを魔王に伝えた。
すると魔王は満面の笑みを浮かべながら
「得ならある、我よりも波乱に満ちた人生など
よっぽどの事がなければ見られない」
「我はそれを見てみたいのだ」
なるほど、得があるのは分かったがもう一つ疑問が残っている。
「なぁ魔王、取り敢えず今の所はどちらにも得があるように聞こえるが肝心な事が分かってないぞ」
「ほぅ、それはなんだ?」
魔王は眉をひそめてこちらを見る
「それは、どうやって俺の人生を波乱に満ちたようにするかって事だ!」
俺はドヤ顔でさも論破するかのような勢いで言葉を
放った。
しかし魔王は冷静に淡々と
「あぁ、その事に関しては何も問題はないぞ
我は最近面白い魔法を覚えたのだ」
「だから何も心配する事はないぞ」
あまりにも淡々と話すから俺は呆気にとられてしまった。
「そ、そっか...じゃあその魔法で」
その瞬間魔王の指先からまばゆい光が放たれた。
「ぐ、ぐうぅぅぅ!」
当たると同時に考えられないような熱気が俺を襲った...!
「ま、まさか俺を騙した...のか」
魔王は冷徹な視線を向けるが何も答えない、その熱気がどんどんと俺を包んでいき意識が飛ぶ寸前で魔王は口を開いた。
「この世界の真実に気づけ」
ーーーーそして俺は意識を失ったーーーー
この物語のタイトルは【若返ったら人間辞めてたんだけど!?】だから略して『若ヤメ』とか考えたんだけど良さそうかなぁ。