プロローグ
強い日差しを瞼に感じ、目を開ける。そうすると目の前にごつごつとした岩の天井が目に入る。自転時計を確認すると時刻は午前6時2分。いつも通りの起床だ。
現在住んでいるのはとある洞窟の中。これは二週間ほど前住処を探してしたとき偶然見つけた物件だ。もちろん家賃はタダ。10畳はあるであろうなかなかのスペースの中に手作りの家具が置かれている。なかなかの優良物件だ。
葉っぱで作ったベットから体を起こし、自作の家具の間を通り抜け入り口へ向かう。そして大きめの葉で作った簡易なドアに耳を当てる。どうやら近くに大型の生物はいないようだ。そしてすぐさまドアを開けすぐに閉める。これは開けっ放しにしておくと小型の生物が家の中に侵入してくることがあるからだ。実際前にドアを閉め忘れたときはひどい目にあった。晩飯を何とか調達してやっとの思いで家に帰ったら、自分のベットに望まない先客がいたのである。あれは正直思い出したくない。
ドアを開けると目の前に小さな川が流れている。これが現在の俺のライフラインだ。この川がなかったら今頃干からびてアスファルトの上でひっくり返っている蛙のようになっていたと思う。まあ、不幸中の幸いというやつだ。俺はその川の水を両手ですくい顔にかける。ルーティンになりつつある朝の日課だ。まだ寝ぼけ眼のままだった顔面に冷水をぶっかけたたき起こし、枕(正確には上着のなかに藁を詰めたもの)の傍らにいつも置いてある黒縁の眼鏡をかける。そしてレンズの湾曲で上がった視力であたりを見渡す。この辺りは高台になっているため回りがよく見渡せる。
空には大きな影。鳥ではない。遠くの草原に見える大きな影。像でも熊でもない。それらはこの世界に住まう者たち。この世界では人間は支配者ではない。なぜならこの世界は
恐竜たちの支配する約6500万年前の地球。白亜紀の世界なのだから。
白亜紀デイズプロローグを読んでいただきありがとうございます。これからもよろしくお願いします。