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KIDS! ~小学生達の道草異世界冒険譚~  作者: あぎょう
クエスト1 ナニワの冒険
31/196

間1

 月明かりに照らされた広い草原の中。悠々と歩く一人の男がいた。

 頭の頂点からつま先まで、その身を赤一色に包む少年。

 残酷非道にして、純粋無垢。

 真紅の少年。管理人(ラカス)

 彼は、村から離れる方向へ、草原の遥か先に向かって歩いていた。

 足を炎に変えて空を舞うことは簡単だが、必要以上に体力を消費してしまう。

 それに


「たまには夜道の散歩も悪かねぇな……」


 だれにでもいうなく呟いて、視界の悪い闇の中を、悠々自適に歩き続けた。

 そこで、思い出したように


「……そういやぁ。フレイムビート。回収してねぇな……シチ面どくせぇ」


 だるそうにつぶやく。

 ジュウに投げ飛ばされたバイク。フレイムビートには、自動倒立機能がある。着地と同時に走り始め、今もこの領域(エリア)のどこかを走り回っているはずだった。

 めんどくさそうに頭をガシガシと掻いていると、

 ピー、ピー、ピー、

 管理人(ラカス)の親指と小指の指輪の水晶が強く赤い光を放ち、短い電子音を鳴らす。すると、彼は受話器の真似事をするように、親指と小指を立てて耳の傍に構えた。


 《おいっすー! エンくん。ご機嫌いかがー?》


 親指の指輪から、陽気な声が放たれる。男子とも女子ともとれる、あどけない子供の声だった。

 管理人(ラカス)---エンは顔をしかめて


「さっきまではすげぇ機嫌よかったんだけどよぉ。わけあってバイクをなくしちまってよ。だんだん不機嫌モードだぜ」

 《それならちょーどいーよー! 今新型バイクが完せーしたとこー! そっちに送るよー!》

「マジか !? さすが仕事はえーな!」

 

 しかめっ面を切り替えて、明るい表情を見せた。

 

《よーぼーどーり。駆どー音を抑えて、速度も二割増しにしといたからねー》

「おお。ありがてぇぜ。キーンって音。うるさくてしゃぁねぇかったからな。じゃぁよろしくな! フウ!」

 

 と言って構えを解くと、ブツリと音声が途切れ、指輪の光りが消えた。


「廃棄処分もできて一石二鳥だな。ホントちょうどいいぜ(・・・・・・)

 

そう、つぶやいて、さらに歩き続ける。



 30分後。

 ラマッカ族の村から15キロ程離れた所まで到達した。森は地平線の上にわずかな輪郭を残すばかり。『保守派』がこしらえた集落が、豆粒ほどの大きさに見える。

 そして、歩みを止めるエン。


「この辺かな」


 と言って、片ひざを地面についた。その右手は、真っ赤に燃える炎が灯されていた。


「カッカッカ。それにしても、ホント面白くなってきやがった。まさか、()()()()()()がやってくるとはなぁ………次逢う時が、楽しみだ」


 ニヤリと笑って


「それではさらば。ラマッカ族の諸君」


 ふざけた様子で言い放ち、右手を大地に打ちつける。

 そして、残酷非道にして、純粋無垢な微笑みを浮べた。


「俺という存在、死んでも忘れんな(・・・・・・・・)


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