始
炎が燃え広がっていた。
辺りがパチパチと音を立て、柱が炎を纏いながら崩れた。
今に燃え崩れそうな木造屋敷の中、数十人は入れそうな広い座敷。
その中心に、古びた着物を着た少年と少女がいた。
両者とも十代後半ほどの容姿。お互い向き合うように立っている。
遠くで地鳴りのような咆哮が聞こえていた。
この世のものとは思えない叫びが響き渡る。
やがて少年は少女の前でなにかを胸に抱き、祈るように目を閉じる。
少女もそれに応じるように、手を重ね合わせ、祈った。
しばらくすると、少女の体が薄くなり始めた。
少女は自分の体を見て驚き、少年に向かい叫んだ。
少年はほんの少し困ったように微笑み、少女に言葉を告げた。
少女の表情が驚愕から苦痛と悲哀に変わる。大粒の涙が少女の頬を伝った。
少女は顔を両手で覆い、その場で泣き崩れる。
少年がその上から覆うように少女を抱き、一言。
「大丈夫。必ず僕が守る」
少女も少年を抱きしめ、必死になにかに抵抗するように叫び続けたが、やがてその姿を消した。
炎がますます激しく燃え上がる。さっきよりずっと大きな咆哮が聞こえてくる。
その瞳に固い決意を秘めて、少年は行く。
そう……
ここから全てが始まった。
<<<<<<<<<<クエスト1:ナニワの冒険>>>>>>>>>>