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第四話

感想評価が欲しゐ

「では、鋼くんの中に眠るV遺伝子を呼び覚ますわ」


サラ先輩は、そう言いながら不思議な道具を取り出した。


細長く、両先端にグリップがついたチューブのような道具だ。


「このグリップの片方を握って。もう片方は私が握るから」


「あ、はい。このグリップを握ればいいんですね?」


サラ先輩は張り詰めた顔で、俺に尋ねてくる。


「この道具を使うと、貴方のV遺伝子が呼び覚まされるわ。準備はいい?」


いつになく緊張しているような顔だ。


「いいも何も、俺にはそうするしかないんでしょう。パパッとやっちゃって下さいよ」


「コホン...確かにそうね。それじゃあ始めましょう」


サラ先輩は、呪文のようなものを詠唱しだした。


「全知全能を司るヴァンパイアの王よ! どうか眷属八条鋼にヴァンパイア様の遺伝子を分けてくだされ! 主人サラが命を保障する!!」


...詠唱が終わり、俺に緑色の光が包み込む。


そうか。この儀式で吸血鬼の王が俺に遺伝子の力を分け与えてくれるのか。


「...なんて道具があったら便利なのにね」


「ないのかよ!?」


ガシャン! と俺はそのチューブを地面に叩きつける。


「あらあら。人の道具を勝手に壊すと器物破損で訴えられるわよ」


「知るか! 毎回毎回何でワンクッションボケを置くんだよ! 読者も飽きてきてるぞ!?」


「メタ発言は関心しないわね。そもそも、こんな小説を読んでくれる暇人にはこれくらいがちょうどいいんじゃないかしら?」


「メタ発言を越えて読者すら馬鹿にしはじめたな!?」


そのチューブは、東急ハン○で売ってた1280円のエキスパンダーだそうだ。


...筋トレに使うような道具で遺伝子を継承されたら、ヴァンパイアの王もたまったもんじゃないよな。


「...何遊んでんだよばーか」


「こっちの台詞なんだがな!!!」


「何遊んでるのよ貴方たち。はやく鋼くんの能力を引き出しましょう。私は遊んでる暇なんてないと思うわよ?」


「...理不尽だ。理不尽すぎる....理不尽に違いない...」


なんかもう帰りたい...


全速力でおうちに帰りたい...


「じゃあ次こそ真面目にやるわよ。この誓約書を書いて、貴方の血で指紋印鑑を押せばいいのよ」


「なるほど。でも俺書くもの持ってきてないんですけど?」


「このボールペン使っていいわよ」


サラ先輩が俺にペンを差し出す。


「あ、ありがとうございます。借りますね」


意外に準備がいいじゃないかサラ先輩。


「さて、まずは自分の名前と生年月日か」


カチッ!


ビリッ!


泣きそうになった。


「うぎゃあああいってえええええ!?」


......皆さんご存知、ノックしたら電流が流れるペンだった。


「何遊んでるのよ鋼くん! いい加減にしなさいよ?」


「サラ先輩が数々のトラップをしかけて俺を苦しめようとするからでしょう!?」


「何言ってるのよ。私は眷属を大事にする主人で有名なのよ? そんなことするわけないじゃない」


「...俺は怒ったぞーーー!!!」


今なら怒りのみで金髪の戦士になれそうだった。






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「ふう...終わったぁ...」


誓約書を書き終え、なんとか契約は終了した。


現在は隠れ家から家への帰路だ。


「しっかし、サラ先輩があんなにお茶目な人だったとはなぁ...」


ぶっちゃけ、見た目の印象からクールな人だと思っていた。


まさか、ドッキリとか、イジりとか、そんなのをする人だとは思っていなかった。


「はあー...吸血鬼かぁ...」


今更ながら、サラ先輩が吸血鬼で、自分も吸血鬼になってしまったなど、にわかに信じられない。


あの日から、ずーっと長い夢を見ているのだろうか。


俺はこれから、サラ先輩の為に殺し合いをしなければならないのに、まるで実感が湧かないのだ。


帰ったら、溜まったラノベを消化するか...と思った矢先。


「お前から、氷の蒼姫の匂いがする」


危ないおっさんがわけの分からない謳い文句を言い、俺に接近してきた。


身長は190cmはあるであろう体格と、髭の生えた危ない目つき。


代表的なヤクザ顔というのはこんな顔をいうのだろう。


「こ、氷の蒼姫? 匂い? 人違いじゃ...」


ないですか? と言おうとした瞬間、おっさんは俺に渾身の右ストレートを放ってきた。


まるで大砲のような速さで、物凄い威力のパンチだった。


あまりの衝撃に、俺は壁まで吹っ飛び、凄い量の血が口から出てきた。


「カハッ...!!!」


空気を求めても、腹が痛んで呼吸ができない。


こんなの普通の人間のパンチではありえない。


ボクサーに転向することを薦める。


最近のヤクザはこんなに凄いパンチ力を持っているのか。


と、絶体絶命のピンチなのに悠長なことを考えていると、サラ先輩の一言が思い浮かんだ。


「基礎的な体術は吸血鬼になれば常人の1000倍は越える」


そうか。コイツはおそらく半吸血鬼人なんだろう。


そして、純粋な吸血鬼であるサラ先輩の眷属である俺を殺そうとしているのであろう。


...そうか。全てがつながった。


俺が○○組とかいうところからピンポイントで恨まれるようなことは思い当たらない。


通り魔という可能性もあるが、そういう類の人は刃物や銃器で殺すのではないだろうか。


でも、今の仮説なら全ての疑問が氷解する。


そうか......俺はこれから殺されるのか。


そう察した瞬間でも、俺は生きる為に戦おう、とか、サラ先輩の役に立とう、とか思わなかった。


死ぬ恐怖ですらも感じない。


最後に。人生の去り際に思う最後の願い。


「......サラ先輩の胸、揉みたかったなぁ~」


我ながらかなりの下種だと思う。


本当に心からそう思う。


自分が死んだら、妹はどう思うのかな。


泣いたり、強がったりするのかな。


いつも喧嘩ばっかりだったけど、こんなときだと妹がとても懐かしく思える。


半吸血鬼人のおっさんは、俺のところまで詰めてきて、パンチの構えをすでにとっていた。


「あぁ......死んだなこれは。つまらない人生だった...」


と、目を瞑る瞬間、おっさんが凍った。


「......は?」


そう。物理的な意味で、おっさんが、人が氷漬けになったのだ。


「ふう。間に合ったわ」


「サラ先輩? どうしてここに...」


目の前には、涼しい顔をしたサラ先輩が立っていた。


今のはサラ先輩がやったのだろうか。


「鋼くん。今のは能力ですら使えないただの雑魚よ? あんなのに一々やられてたら私の眷属は務まらないわよ?」


「んなこと言われたって...不意打ちですよ? 初めての戦闘なのに無茶言い過ぎですって...」


俺が弱音を吐くと、悪戯な笑みを浮かべて、俺にこういった。


「そうね。貴方が私の力を越えられたら、私の胸を揉んでもいいわよ?」


叶わないなぁ、と思った。


「そうですね。明日から能力を使う練習をしますよ...」


「頑張ってね。鋼くん」


もっと強くなって、おっぱいを揉もう。


明日からは修行だ。主に、おっぱいを揉むための。





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