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【完結】大天使、悪魔のお見合いを阻止せよ!?〜地獄の王がお見合いを断ろうとしたら、大天使に婚約者が爆誕!〜  作者: 久茉莉himari


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22/25

【22】舞踏会で最初に壊れたは、お父様でした。〜王は跪き、軍師はロマンティックを武器にする〜

一方、舞踏会の会場の一角。

ルチアーノの父親と、"サラ"のいる豪華なテーブルでは――


父親は、冷や汗か脂汗かもわからない汗を額に浮かべ、

何とか話題を捻り出していた。


"サラ"は、まだ二十歳とは思えない完璧なマナーで、

時折、菓子を口にし、白ワインを飲む。


そうして、

父親の話に、絶えず微笑みを浮かべ、頷く。


ただ、それだけ。


それだけなのに、

父親は、"サラ"から目が離せなかった。


"サラ"が、ゆっくりと瞬きをする。


それが、まるでスローモーションのように見え、

父親は、"サラ"の紫色の瞳に吸い寄せられる。


"サラ"が、

自分の話にクスリと笑ってくれる。


もう、それだけで、

胸の高鳴りを抑えられない。


父親は、赤くなったり青くなったりしながら、

必死に威厳を保つのが、精一杯だった。


――わしは一体、どうしてしまったのだ……!?

息子の婚約者より、若い女性に……?

まさか……!

いや……

そんなはずは、断じてないわ……!


そう、自分に言い聞かせていると、

"サラ"が舞踏会の会場を見て、

つまらなそうに、小さく息を吐いた。


それは、

他人から見れば、ほんの一呼吸。


だが、父親は、

"つまらない"と確信した。


素早く、口を開く。


「サラ殿……何か?」


"サラ"が、

ゆっくりと視線を、父親に戻す。


その、流れるような視線。

父親は、思わず額に手を当てた。


「あら、伯爵こそ、どうかなさいました?」


"サラ"の、

鈴の音のように澄んだ声は、甘ったるい。


「い、いや……わしは……」


額に手を当てたまま、

しどろもどろになっていると、

"サラ"は、いたずらっぽい笑顔を浮かべた。


「舞踏会は、再開されませんの?

私、デビュタントを終えたばかりの舞踏会なので、

楽しみにしておりましたの」


父親が、そのままの姿勢で、息を呑む。


そして、

パッと顔を上げた。


「そうか……!

それは、失礼!

では、再開させよう!

おお……我が息子、ルチアーノが、

わしのために婚約者殿と二重奏をしてくれるのだ!

その後、すぐにでも!」


"サラ"が、

花の咲いたような笑顔になる。


「まあ、素敵!

ルチアーノ様の演奏を、

お聞きできるなんて!」


その時――


ルチアーノの父親に、

どうしようもない苛立ちが、

腹の底から、湧き上がった。


――ルチアーノの演奏が、そんなにも楽しみか……!?

わしと、こうして話しておる栄誉よりも……!?

いや……

サラ殿に非はない。

ルチアーノも、咎められるものではない。

だが、癪に障る!

なぜだ……?

わしは、何を取り乱しておる……!?


すると、

"サラ"が、ふわりと立ち上がった。


「では、

ルチアーノ様のお支度もございますでしょうから、

私、失礼いたします」


"サラ"が、

優雅にお辞儀をし、

一歩、踏み出す。


――引き留めなければ……!


その瞬間、

父親の口から出た言葉は――


「わしと、約束をしろ!」


――最悪じゃ……!

わしは、何を言っとるのだ……!


若さに任せた初恋の失敗のような、

分別を失った自分への後悔が、

一気に押し寄せる。


"サラ"が、

チラリと父親を見る。


紫色の瞳が、

キラキラと光っていた。


そこには、

軽蔑の色は一切なく、

父親は、胸を撫で下ろす。


"サラ"は、

柔らかく微笑む。


「まあ、どんな?」


「いや……失礼……。

わしは……その……」


ふと、

薔薇の香水の香りが、近づく。


「いいわ」


"サラ"の、甘ったるい声。


「あなたが、

エドワード3世になる覚悟が、

あるおつもりなら」


驚きに、

目を見張った次の瞬間、

父親の顔は、

噴き出しそうなほど、赤く染まった。


「なんと……!

サラ殿……

自らを、アリス・ペラーズだと……!?」


「さあ……どうなさるの? 伯爵。

老いらくの恋といわれる覚悟は、

おあり?」


父親が、

スッと椅子から立ち、

"サラ"の前に跪く。


そして、

左手を差し出した。


「どうか一曲、

ダンスの約束を」


どよめきが、

渦を巻く中で、

父親の聴覚だけが、遠ざかっていく。


心臓の鼓動が、

うるさくて。


そして、

"サラ"は――


父親の左手の上に、

そっと右手を乗せて、言った。


「喜んで」


その間――

わずか、15分。



 


ロクシーの控室の大型テレビ。

その前で、

ルチアーノが顔を真っ赤にしながら、

声を張り上げていた。


「うおおぉーーー!!

お父様を、落としたーーー!!」


ロクシーが、

ニヤリと笑う。


「さすが、イレイナだよね〜!

まあ、まじないも使ってるんだろうけど」


「それでも!」


ルチアーノが、

ガバッとロクシーに向かって振り返る。


「あのお父様に、まじないを掛けても……!

跪かせるなんて!

それは、心を動かさないと!」


ロクシーが、

グラスに残った白ワインを、

グビッと飲み干すと、言い切った。


「そこよ! そこ!

イレイナは、

あんたの親父に、

恋のまじないなんて掛けてない!

操り人形にする方が,

よっぽど簡単!

でもね,

あんたの親父が,

自分から“落ちる”ように,

最低限のまじないだけで,

“仕掛けた”の!」


ルチアーノが、

掠れた声で訊く。


「……つ、つまり……?」


「心から恋に落ちたら……

どうなる……?」


ロクシーの、

低い問いに、

ルチアーノの視線が、

ルシアンに向く。


ルシアンは、

守る位置を保ち続け、

アンジュの穏やかな時間を見つめている。

それ以上、

何も必要としていないかのように。


震えを帯びた声で、

ルチアーノは、

ゆっくりと言葉を紡ぐ。


「じ、自分で、

完璧な甘みのロイヤルミルクティーを淹れて……。

馬鹿みたいに詳細な,

アイスチョコレートラテの注文をする……!」


ロクシーが、

高らかに答える。


「その通り!

今のあんたの親父は,

恋に浮かれた中学生!

私たちの演奏とダンスで,

そのフニャフニャな心を,

ロマンティックで刺す!」


「ロマンティックで刺す……!!

ロクシー先生、天才ですか!?」


ルチアーノが、

燕尾服から,

パッとネタ帳を取り出し,

ロクシーの言葉をメモする。


すると――

コンコン,

と控えめなノックの音と共に,

「伯爵がお呼びです」という声がした。

ここまでお読み下さり、ありがとうございます(^^)

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