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メアリ・シラユキ
冷たい風が透き通る秋空に吹く頃
朝露が煌めく午前5時
master…
1人のドールが口を開いた
メアリ、キミのmasterはまだ来ないよ
店の支配人レオが開店準備の為
2階から降りてきた
master…
ドールは儚げに1点を見つめて
masterと繰り返す
レオはため息混じりに呟く
キミのmasterはまだ来ないよ
ドールの名はメアリ・シラユキ
純白のフリルいっぱいのお洋服に身を包み
頭には大きな純白のボンネット
ボンネットには大きなリボンとビジューがついている
メアリはmasterをずっと待ち続けていた
masterとはドールの持ち主のことで
持ち主に選ばれたドールは
持ち主が死ぬまで仕えることになっている
master…
またメアリが呟いた
レオはメアリの目の前に立ち
同じ目線で優しく話しかける
メアリ、君を選ぶmasterは
どんな人だろうね?
優しい人だったらいいね?
そう言って微笑んだ
メアリの目も少し微笑んだ気がした
朝風が冷たい菊月の頃
ゆっくりと暖かい朝日が登る




