39.ときめきイルミネーション(前編)
だあぁぁぁっっっ!
い、急っそげぇぇぇ〜!
数ヶ月に1回のペースで来るゲリラ腹痛により、愛美のそばを離れちまった!
トイレに行かなきゃ漏らしちまうし、こればっかりはどうしようもない〜(泣っ)
この前は、このわずか2分足らずの隙をつかれてロールキャベツくそ野郎に愛美を映画に誘われてしまった……(※第28〜30話参照)
今回も、ヤバい予感がプンプンする!
とにかく早く教室に戻るんだ!
バババッーー!(百合子、教室を前方にとらえっ)
はっっっーー!!!
あ、あれは……。
愛美とロールキャベツくそ野郎が一緒にいるっ!!!
な、なんてことだ……。
またしても、ロールキャベツくそ野郎に隙をつかれてしまった!
教室を離れた時間は前より短縮したはずなのに、テメエはどんだけ仕事が早いんだ⁉︎
つーか、今回はコッチも黙ってないぜ!
どんなゲスいことを吹っかけてんのか知らねえが、その話を今すぐぶっツブしてやる!
フッ…………(愛美と草中くん、わかれて解散っ)
おわっーー!
ふ、2人がもう離れた!
ぐぬぬっ……。
これでは2人がなにを話していたのかわからない!
ど、どうする……?
とりあえず、様子を見るか?
だって、前回はちゃんと愛美から映画に誘われたことを教えてくれたもん。
……いや、でも。
今回もまた教えてくれるとは限らない。
ただの世間話をしていたとは思えないし、やはりこのまま放っておくにはリスクが高すぎる。
ーーなぜなら!
ロールキャベツくそ野郎は、きっとまた愛美をデートに誘っているはずだからだ。
やはり、ここはアタシから愛美に確認するしかない!
よし、訊くぞーー!
「よ、よう(百合子、愛美を呼び止めっ)」
「あっ……百合ちゃん」
だ、大丈夫だ、落ち着けアタシ!
自然な感じでサラッと訊けばイイ!
「いいいっ、いまっ、くっ、草中とっ、なんか……話をしてたぁ?(※注 愛する女の前で、必死に自然な感じを装う百合子を愛でてやってください)
「あ、うん……」
「どっ、どぉんな、こと、か、なぁ〜?(※注 ただいま、百合子の唇は極度の緊張によりプルプルふるえております)」
「そ、それは……ね」
そ、それは……?(生つばゴクリッ)
「……今週のクリスマス、蒼杉森林公園にイルミネーションを見に行こうって……誘われちゃった」
え。
……………………。
えぇぇぇぇぇぇっっっーー⁉︎
ク、クリスマスの、イルミネーションだとっっっ⁉︎
そんなの……。
そんなの、恋人同士にしか許されない犯罪行為じゃねえかっ!(※注 あくまで百合子王国の法律です)
春は、一緒に図書委員をやろうという打診……。
夏は、藍川さくらを利用して花火大会への誘い…。
秋は、芸術の秋とばかりに映画への強制参加……。
ーーそして!
冬は、クリスマスのイルミネーションで攻めてきたってワケか!
くそっ……!
イチイチ季節ごとに理由をつけてアプローチしてきやがって、うっとうしいにも程があるぜ!
……で。
愛美はその誘いを断れず、またOKを出してしまったというオチなんだろ……?(百合子の顔、青ざめっ)
「でもね、今回はちゃんと断ったんだ」
「えっ……」
こ、断った?
……愛美のほうから?
「な、なんで……」
「一緒に行く人が、もういるから……って」
え。
……………………。
えぇぇぇぇぇぇぇっっっーー⁉︎
いっ、一緒に行く人がほかにいるのぉぉぉっっっ⁉︎
な、なんてことだ……。
アタシが知らない内に、ま、まさか……。
まさかーー!
「かかかっ、かっ……彼氏が、できた、とか?」
「へっっっ⁉︎ そ、そんなワケないじゃん!」
え?
ち、違うの……?
「本当は一緒に行く人なんていないの。でも、そう言わないと草中くんが引き下がってくれないと思って」
……よ。
よかったあぁぁぁ!
てっきり彼氏ができたんだと思って、危うく魂が抜けかけたぜ……。
「でもね、一緒に行きたい人は本当にいるんだ」
え。
…………。
待って。
ちょっと、待ってえぇぇぇ!
彼氏はいなくても、ほかに特別な存在がいるってこと⁉︎
「そ、それって……誰?(冷や汗ツ〜っ)」
「っ……(愛美、照れながら百合子を指差しっ)」
「へっ?」
ア、アタ、シーー?
「よかったら、一緒に行かない……? 2人で」
……ひゃ。
ひゃあぁぁぁぁぁぁっっっーー!
ま、愛美にイルミネーションに誘われちゃったあっ!
そんなの、行くに決まってんでしょうがぁ〜!!!(歓喜っ)
「べ、別に暇だからイイけど?」
「ホントにっ? やったあ、嬉しい! クリスマスデートだね!」
「デ、デートっ……⁉︎」
「あっ……!(愛美、自分の発言に思わず赤面っ)」
ま、愛美と一緒にクリスマスデートだなんて……。
ああっ!
なんという素晴らしきクリスマスプレゼント!
神様、ありがとうございますぅぅぅ〜!
「じゃ、じゃあ、また待ち合わせの時間とか場所を決めようね!」
タタタッ……!(愛美、あまりの照れ具合に耐えきれず先に教室へと戻りっ)
あ、愛美!
……って。
行っちゃった。
ど、どうしたんだろ。
アタシ、なんか変なことでも言ったっけ?(※注 みなさんお気づきのとおり、百合子の鈍感さはワールドクラスです)
まっ、そんなことより。
アタシも早く愛美の隣りに戻らなければ〜!
ふっふ〜ん♪
「あの……百合子様っ」
ひぎいっーー!(百合子、背後からの声にビクウッ)
…………。
ゆ、百合子様って。
まさか。
お前は……!(おそるおそる後ろを振り向きっ)
「おはようございます……あはっ♡(美輝、ヴィーナススマイル発射!)」
で、出たあぁぁぁっっっ!
1年B組の、開花美輝っーー!(※第32〜33、36話参照)
せっかくウルトラハッピーな気持ちでいたのに、いったいなんの用だ⁉︎
「あの……ちょっと、イイですか?」
よ、よくない!
お前といたら、なぜかいつも愛美のご機嫌がわるくなるんだよ!
幸いにも愛美は教室に入ったが、いつお前の匂いを嗅ぎつけてここに舞い戻るかわからない!
「ちょ、ちょっと忙しいんだけど?」
「あっ……! 1分だけでイイんです、ダメですか?」
うぐっ……!
絶妙に断りにくいラインで攻めてきやがって……。
だが、1分ですら長い。
すまんがキッパリ断る!
「無理だ、じゃあな」
「だ、だったら、50秒!」
ね、粘るうっ!
でも、コッチだって負けねえぞ!
「だから無理だ、じゃあな!」
「そ、それなら、45秒!」
き、きざんで粘るうぅぅぅ!
お前は、ひきわり納豆か!
「無理なもんは無理だ! じゃあなっ!」
「では……40秒も、無理なのですかっーー⁉︎(涙目&声ふるえっ)」
えぇぇぇぇぇっっっ⁉︎
な、泣き始めたあっ!
女の最終兵器、涙を解放してきたあぁぁぁ!
ちょ、ちょっと待って!
なんかこれ、アタシがわるいことしたみたいになってね⁉︎
あぁぁ……ったく!
世話の焼けるヤツだぜ!
「30秒で話せ、イイな!」
「あ、あはっ……♡」
ゴシゴシ……(美輝、涙をふきふきっ)
「では、手短にお伝えします! あ、あの、百合子様……今週のクリスマス、私と一緒に蒼杉森林公園のイルミネーションに行きませんかっ⁉︎」
な、なにぃぃぃぃぃぃ⁉︎
お前と一緒にだとぉぉぉ⁉︎
そんなメンドクセーこと、無理に決まってんだろ!
それに、アタシはすでに愛美と約束済みだ!
「す、すまんが断る。その件については、すでに先約がいるんだ」
「えっ……⁉︎ 先約って、まさか……彼氏さんが?」
「ア、アホか! んなワケねえだろ! ちょっと……ダチと行くだけだっ」
「で、では、私もご一緒させてもらえないですか?」
「ええっ⁉︎ い、いや、ダメだ!」
「な、なぜですか?」
「それは……ちょっと、特別なんだよ、そのダチは!」
「とく、べつ……」
フッーー(美輝の脳裏に、愛美の顔が浮かびっ)
「……それって、凛咲さんですか?」
「えっ⁉︎ いや、別に……誰だってイイだろ!」
「っ…………」
「てゆーか、もう30秒経ったから! じゃあな!」
ダダダッーー!(百合子、ダッシュで教室に戻りっ)
ふぃぃぃ〜。
強制的に終了してやったぜ。
あのまま粘られたら、どうなることかわかったもんじゃねえ。
とりあえず、愛美に現場を見られずに済んでよかった……(百合子、席に座りっ)
「ねえ、百合ちゃん」
「あん?」
「なんか……今、誰かと話してたーー?」
「えええっっっ⁉︎(ドッキリーン⭐︎)」
「いや、ちょっと背中がゾワゾワッてしたから……」
「べ、別に、誰とも話してねえよ⁉︎(声ふるえっ)」
「そっか。う〜ん、じゃあ気のせいかな?」
お、おそるべし。
愛美の感知レーダー……(汗ダッラ〜)
ーーなんとか愛美のご機嫌を損ねずカワした百合子。
果たして、当日はどうなるのか⁉︎(次回へ続くっ)




