38.華麗なる刺客(後編)
どういうことだっ?
なぜ、あのフランス野郎がウチのクラスに……!
……そ、それにしても。
なんというセクシーな佇まいなんだ……!
もはや、カラダ中から悩殺的なフェロモンがダダ漏れしている!
そ、それなのにナゼなんだ⁉︎
下品さは一切なく、むしろ気品が漂っている!
……も、もう。
アイツはフランス野郎なんて言葉では収められない。
そう。
アイツは。
アイツはーー!!!
爆裂フェロモン・エレガント野郎だあっっっ!!!
「あ、あの、なにか御用ですか?(クラスの女子A、目をキラキラさせながら尋ねっ)」
「アア……チョット、リンザキマナミサンニアイニキマシタ」
シ〜ン…………。
「えぇぇぇぇーー⁉︎(教室にいる全女子、驚きっ)」
「わ、私……に?(愛美、キョトン)」
「ハイッ(超絶イケメンスマイルッ)」
ザワザワザワッ……!(教室にいる全女子、ウソでしょ? 的に愛美を凝視っ)
……おい。
なんだ、そりゃ。
……………………。
なんだ、そりゃあぁぁぁぁぁぁっっっ⁉︎
ま、愛美に会いに来ただとっ?
いったいぜんたい、どういうことだあぁぁぁ⁉︎
「あっ、えっと……!(愛美、オロオロしながらラブールくんのもとへっ)」
ひゃああああ!
愛美が、爆裂フェロモン・エレガント野郎のトコに行ったあぁぁぁーー!
ダダッ、ダメだよ愛美!
行ったらダメッ!
い、行ったら、がっ、学級委員に、言いつけるんだからねっっっ⁉︎(※注 動揺しすぎて、チクり系優等生になった百合子を愛でてやってください)
「あっ、あの、どういうこと? わ、私に、会いに、来たって……(愛美、赤面&心臓バックバク!)」
「フフッ、キノウイイマシタヨネ? マタオハナシシマショウ、ッテ。ダカラ……アイニキマシタ」
「え、えっと……! とっ、とりあえず、場所を変えようか?(愛美、自分に集まる数多の視線に焦っ)」
「ハイ、マナミトイッショナラドコデモ(ニコッ)」
ドバッコォォォォォォォンッッッーー!!!(※注 ただいま、百合子が机を破壊せんばかりに正拳突きしました)
「ひいぃぃーー!(教室にいる全生徒、ビクウッ)」
シ〜ン…………。
「ゆ、百合、ちゃん……?」
「アレハ、キノウマナミトイッショニイタ……」
出会ってから1日しか経ってねえっつーのに、随分ズケズケとやってくれるじゃねえか……。
この、爆裂フェロモン・エレガント野郎がっーー!(ラブールくんに、眼力ドドォォォンッ!)
「ワワッ……! トテモ、コワイカオデス。マナミ、ハヤクイキマショウ……(ラブールくん、愛美の手を取って走り出しっ)」
「あっ⁉︎ ちょ、ちょっと、ラブールくんっ……!」
って、おぉぉぉぉぉぉいっっっ!!!
ま、待てぇぇぇい!
そうくるっ⁉︎
そういう感じでくるのっ⁉︎
まるで、人目も気にせずその場から強引にヒロインを連れ去る王子系キャラのごとく、愛美の手を引いて行ったぁぁぁ!
くそっ、これは想定外だった……!
今すぐ愛美を追わなけれれば!
だ、だが。
この静まりかえる教室からイキナリ光速で愛美を追いかけると、おそらく不自然に映ってあやしまれてしまう……。
ーーしかしながら。
このまま、愛美を爆裂フェロモン・エレガント野郎と2人きりにするワケにはいかない!
きっと、アレよあれよの内にフランス式の超絶テクニックであんなコトやこんなコトをされてしまう!(注 ただいま、百合子の妄想にはモザイク処理をかけております。ご安心ください)
は、早く追いかけないと見失ってしまうぞ……!
どうすりゃイイッ⁉︎
…………。
いや。
なに言ってんだ、アタシ。
周りにどう思われるかなんて、そんなことはどうでもイイだろ。
アタシがやるべきことは、いつだってタダ1つ。
そう。
それは。
愛美を、変な虫から守ることーー!!!
つーことで!
迷いの吹っ切れた松城百合子、直ちに愛美を追いかけます!
「あぁぁ〜、くそっ! 腹が痛てえ! トイレだ!(※注 周りにどう思われてもイイとか言いながら、トイレに行く体でちゃっかり自然な感じを装う女子。それが百合子です)
ダダダッーー!(百合子、光速で愛美を追いかけっ)
「…………へっ?(教室にいる全生徒、状況がつかめずポカ〜ンッ)」
◇◆◇◆◇
ピンポンパンポーン♪(百合子、廊下に移動っ)
ま、愛美はどこだ⁉︎
……って。
ヤ、ヤバい!
もう2人がいない!
いったいどこに行ったんだ⁉︎(廊下を懸命に捜索っ)
……………………。
い、いない……。
どこにもいないぞぉぉぉ〜!
くそっ、すぐに教室を出ることを迷った時間が長すぎたんだ……。
だが、今さらそんなことを言ったって仕方がない。
とにかく、2人が行きそうな場所を考えるんだ!
2人が行きそうな場所。
2人が、行きそうな場所ーー。
……そうだ。
きっと、あそこなら!
◇◆◇◆◇
ピンポンパンポーン♪(百合子、図書室に移動っ)
昨日、爆裂フェロモン・エレガント野郎は愛美の借りてた小説が好きだと言っていた。
静かに話すなら打ってつけの場所だし、愛美も本が好きだから話のネタに困らない。
だから、きっと図書室に来ているはず!
ウロウロウロッ……(図書室内を懸命に捜索っ)
い、いない。
そんな……。
愛美、いったい、どこなんだーー。
◇◆◇◆◇
ピンポンパンポーン♪(その頃、愛美とラブールくんはっ……)
「はぁ、はぁ……! ちょ、ちょっと、ラブールくん、どこまで行くの……⁉︎」
「モウスコシ……ココデス!」
「えっ? こ、ここって……校舎、裏……?」
「ハイ。ココナラ、ダレニモジャマサレルコトハアリマセン。サア、モウスコシオクへ……」
「あっ……!」
スタスタスタッ……(ラブールくん、愛美の手を引いてさらに奥へっ)
「アア……ヤット、シズカナバショデフタリキリニナレマシタネ(軽く息を切らしながら、ニコッ)」
「えっ……? そ、それって、どういう……」
「キノウデアッタトキカラ、ズットマナミノコトヲオモッテイマシタ。カレンナマナミノカオガ、アタマカラハナレナカッタノデスーー(ラブールくん、真剣な目で愛美を見つめっ)」
「っーー!(愛美、ドッキリーン&息が詰まりっ)」
「……キノウデアッタバカリデスガ、ワタシハカクシンシタノデス」
「へっ……?」
「マナミハ、ワタシノウンメイノヒトダトーー」
「えっ…………?」
「ワタシハ、ウツクシイニホンブンカガヨウショウキカラダイスキデシタ。イツカニホンニイッテミタイ……ソノイッシンデニホンゴヲマナビ、キガツケバ、ヨミカキヤハナスコトヲマスターシテイタノデス」
「は、はぁ……」
「ソシテ、ネンガンカナイニホンニキテスグ、マナミトデアッタ。ソシテ、ヒトメミタシュンカンニ、ワタシハコイニオチタノデス」
「こ、恋っ……⁉︎」
「ワタシハ、ジブンノキモチニスナオデイタイーー」
「っ…………」
ダンッ!!!(ラブールくん、愛美に壁ドン発動っ)
「っっっーー!」
「……サイショハ、ホントニオハナシダケヲスルツモリデシタ。シカシ……マナミノテヲトッテハシルウチニ、ソレダケジャオサマラナイキモチガ、アフレダシテシマッタノデス」
「へっ⁉︎ そ、それって、どういう……」
「イマスグ、マナミノスベテガホシイーー」
「◯¥◇♯@♫⭐︎っっっ⁉︎⁉︎⁉︎」
「マナミ……アイシテイマス(ラブールくんの唇が、愛美の唇にスゥゥゥ……)」
「っ! っ! っ! ダ、ダ、ダ、ダ、ダメッ……!(愛美、必死にラブールくんを押し返しっ)」
「ッ…………クッ!」
ガシィッッッ!!!(ラブールくん、押し返してくる愛美の両手の手首をつかみっ)
「やっ……⁉︎ は、離してっ……(カアァァァ)」
「……ムリデス。ナゼナラ、コノテハイマ、シンノウンメイニヨッテツナガレタカラデス。モウニドト、ハナレルコトハアリマセン」
「ひぇっ、ひぇっ、ひぇっ……!(愛美、甘いフレーズの連打に頭&目がグルングルンッ!)」
「アア、マナミ……アイシテイマスーー(再びラブールくんの唇が、愛美の唇にスウゥゥゥ……)」
チュッ…………♡♡♡♡♡
「(ッ……マナミノクチビル、トテモカタイ。ソウカ……キット、キンチョウシテイルノデスネ? ダイジョウブ、スグニホグシテアゲマスーー)」
チュウゥゥゥ…………。
「(アレ? ゼンゼンヤワラカクナラナイ。テユウカ……ナンカ、メッチャカタクナイ? コレーー)」
フワッ…………(ラブールくん、違和感を感じてゆっくり目を開けっ)
「(エッ? ナ、ナニ、コレ……マナミノクチビル、コンナカタチデ、コンナイロダッタッケ⁉︎)」
「ーー残念だったなあ」
「っっっーー!!!(愛美、ピクンッ)」
「ッッッーー!!!(ラブールくん、ビクウッ)」
「そいつは誰の唇でもなく……アタシの握り拳だっっっーー!!!」
「ナッ………!(ラブールくん、唇を離して声のした右横を向きっ)」
「……よう、イケメン王子」
ズウゥゥ……ンッッッ!(百合子、登場っーー!)
「ゆ……百合、ちゃん……」
「ナ、ナゼ、アナタガ……⁉︎」
「自分の気持ちに素直でいたいってのは理解できる。アタシもそうだからな……だが、それは自分さえよければイイという考えと紙一重だ。今のお前の場合、後者のほうに見えるぜーー?」
「ッ!(ラブールくん、ハッとして胸がズキッ)」
「それに……」
ブンッーー!(百合子、ラブールくんの唇を受け止めた右手の握り拳を振りおろし、ラブールくんの手を愛美の手首から切り離しっ)
「アッ……⁉︎」
「こんな簡単に離れちまう手なんて……真の運命によってつながれてなんかねえだろ」
「ウゥゥ……(ラブールくん、がっくり)」
「てめえは、こんなことをしにココへ来たんじゃねえだろ。まずはしっかり本分を果たせ。嫁探しは、それからでも遅くねえだろ」
「…………(ラブールくん、ぐぅの音も出ずっ)」
「つーワケで、コイツは連れて帰る。じゃあな」
スッ……(百合子、愛美の左手首をつかんで教室に向かって歩き出しっ)
「あっ、ゆ、百合ちゃん……!」
ふいぃぃぃ……。
なんとか間に合ってよかったぜ(汗っ)
いやはや、ホンットに心臓によくないから!
こういうのっ!
スタスタスタ…………ピタッ(愛美、校舎裏の角を曲がった所で足を止めっ)
「あん? ど、どうした?」
「なんで……ココにいるって、わかったの?」
「えっ? そ、それは……なんとなく」
「そう、なんだ……」
ウソ。
ホントは直感的にココだとわかった。
純粋に話すことだけが目的なら、場所はやっぱり図書室一択で決まりのはずだ。
だけど。
そこにいなかったということは、爆裂フェロモン・エレガント野郎には不純な気持ちが入り混じっているんだと即座に気づいた。
その不純な気持ちを吐き出すために、人目を離れた好都合な場所ーー。
それを考えた時、きっと校舎裏だとピンときたんだ。
……とは言いつつ。
愛美の姿を実際に確認するまでは、ドッキドキだったけどな(肩の力が抜け、グッタリ)
「ありがとう……守ってくれて」
「べ、別になんてことねえよ。気にすんな」
そう。
愛美さえ無事なら、アタシはそれで十分なんだよ。
「……ねえ、百合ちゃん」
「ん?」
「もしかしたら……私の運命の人は、百合ちゃんなのかなーー?」
「……へっ?」
「だって、真の運命でつながれた手なら……離れないんでしょ?」
「あっ……!(百合子、愛美の左手首をつかんだままだと気づいて赤面っ)」
スッ…………(愛美、自分の左手首をつかむ百合子の手に右手をそっと乗せっ)
「……離しちゃダメだよ? ずっとーー(だって、私の運命の人はあなたであってほしいから……的なウルウル瞳で、エンジェル上目づかいっ♡」
ドボフンッッッーー!(※注 百合子の頭の中が爆発しました)
「な、なぁんてね、冗談だよっ! あ、あれ……? 百合ちゃん? ねえ、百合ちゃんーー⁉︎」
ーーその時、百合子が一足先に昇天していたのは言うまでもない。




