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アタシの愛美に手を出すな!〜百合子が初恋した話〜  作者: 碧木美月


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36.図書室の攻防!



はああ……幸せ。


アタシは今、超特濃のマイナスイオンに包まれてる。

まるで、この世のものとは思えない癒しの空間。


そう。

今、アタシは。




愛美と図書委員活動中なのだーー!




あああ〜、最っ高!


だって、こんな間近に天使様が座ってるんだぞ?

神話の世界にしか登場しないはずなのに、今こうして隣りに座ってるんだぞ?


もう、眩すぎて、尊すぎて、愛おしすぎて……。


結局は。




大大だ〜い好きだあっっっ!




「んっ……⁉︎(愛美、ピクッ)」




あれ?

今、愛美ピクッてした?




「っ……!(愛美、険しい表情っ)」




えっ?

ど、どうした?


なんか、愛美から「ズゴゴゴゴゴッッッ……!」ってドス黒いオーラが見えるんですけどっ⁉︎




「……百合子……様?」




あ、あんっ?

誰だよ。

ちょっと待て、今それどころじゃ……。



って。



ゆ、百合子様……?




どこかで聞き覚えのある声。

そして、アタシを「様」づけで呼ぶヤツ。


も、もしかして……。






「あはっ……やっぱり、百合子様だ♡(屈託のないヴィーナススマイル、発動!)」






で、出たあっっっーー!




こいつはかつて、愛美を盗撮し、そのあと突然の美少女化を遂げた1年B組のひらはなーー!(※第32〜33話参照)




「こんなトコロで百合子様にお逢いできるなんて……嬉しいですっ」



ア、アタシは全然嬉しくないぞ。

つーか、その謎の「様」づけをやめてくれ!




ーーはっ!




な、なんだ?

隣りから感じる、このとてつもないシャープな威圧感は……(おそるおそる愛美をチラ)






「っっっ……!(愛美のドス黒いオーラ、増幅っ)」






ヒ、ヒイィィィーー!

まま、愛美っーー⁉︎


どうしたっ?

なぜか、愛美が超絶お怒りモードなんですけどーー⁉︎



「百合子様、もしかして図書委員なのですか?」

「えっ? お、おう」



い、今そんな話をしてる場合じゃねえんだよ!

早くどっか行ってくんねえかな?



「嬉しいです、百合子様がちょうど委員会活動の日にお逢いできて……普段は図書室に来ることなんてないのに、まるで運命に導かれたようです」






「……んっふふ……そんなワケ、ないじゃんーー?(愛美、鼻で笑いながらボソッ)」






へっ?

な、なんか言った愛美?



「百合子様が委員会活動をされる日って、今後も決まってるんですか?」

「えっ? あ、ああ、まあ……」




「決まってないよっーー!」




おわあっっっ!


ど、どうした愛美⁉︎

急にそんな大声でインしてきてっ?



「今後の活動予定なんて決まってないよ。ダメだよ百合ちゃん、そんないい加減なこと言っちゃ?」



えっ⁉︎

な、なに言ってんだ愛美?


図書委員活動の日は年間予定で決まってるはず……。

しっかり者の愛美がそんなことを忘れるはずがないのに、いったいどうしたんだ?



「ところで……なにか御用ですか? 本の返却とか?(愛美、攻撃的な笑みっ)」

「ああ……ちょっと、英語の参考書を探しに来たんです。でも、目当ての本が先に借りられてて」

「そうですか、それは残念でしたね。では、また別の日に出直されたらよろしいかと」

「そうですね。でも、せっかく滅多に来ない図書室に来たので、もう少しブラっとしていきます。百合子様もいるし……あはっ♡(百合子に向けて、ヴィーナススマイル発射!)」






「ちっっっーー!」






ヒイィィィッ!

い、今っ、愛美が舌打ちしたあぁぁーー⁉︎


そそそっ、そんなバカな!


生きとし生けるものすべてに癒しを与える大天使こと愛美が、舌打ちなんかするはずがない!


……で、でも。

今聞こえたのは、絶対に舌打ちの音だった。


イヤイヤイヤイヤイヤ!

そんなはずがない!


きっと今のは、今日の弁当に入ってたスルメジャーキーが歯と歯の間にはさまって、気持ちわるいから舌の動きで取ろうとしたら鳴っただけだ!


そうだよ、そうに違いない!(※注 いまだかつて、愛美の弁当にスルメジャーキーがインしたことはありません)



「それでは、また……(美輝、ペコリ)」



はあ……。

とりあえず、台風は去った。



で、あとは。



愛美お嬢様のご様子がどうか、ということなんですが……(愛美をチラッ)






ユサユサユサユサユサッーー!!!






ヒイィィィッッッ!


まま、愛美があっ!

愛美が、超高速で貧乏ゆすりしてるうぅぅーー!


そそ、そんな……。

貧乏ゆすりとか、愛美がしなさそうなこと不動の1位なはずだろ⁉︎


あ、あんな爆発寸前の火山みてえな顔でユッサユッサして……。


もはや、純白の羽を広げる大天使様から漆黒の堕天使になっちまってる!

い、いったいどうしちまったんだよーうっ!



んっ……?



あ。



開花美輝が、少し離れた場所に座った。


そして。


アタシに向けて、微笑みながらペコリってした。






ドバッコオォォォーーンッッッ!!!






ヒイィィィッッッ!


ま、愛美があぁぁっ!

愛美が、貧乏ゆすりしてる右足の膝を、机に向かって叩きつけるように突き上げたーー!


だだ、大丈夫かっ?

めちゃくちゃ思いきりイってたけど、ほっ、骨が折れたんちゃいますの⁉︎(※注 あまりの困惑に、百合子は人生初の関西弁になっております)



「……百合ちゃんっ」

「はっ、はい⁉︎」

「返却済みの本っ、棚に戻しに行こっか……⁉︎」

「お、おぉう!」



こ、怖い。

怖いよ愛美〜!


早く、純白の羽を広げる癒しの大天使様に戻ってくれ〜!




◇◆◇◆◇




ピンポンパンポーン♪(返却本、棚に戻しっ)



ふうぅぅ……。

本を棚に戻し出して、ようやく愛美の様子が落ち着いてきたぞ。


あの怒りは結局のところ謎だが、愛美がいつもの柔らかさを取り戻したのならヨシとせねば。



「じゃあ、次はアッチだね」

「おう」




ドンッーー!




わわっ、しまった!

棚の死角から出てきた誰かにぶつかっちまった!

やばい、相手が倒れそうだ!






シャラララララララ〜ン♪(※注 ただいま、百合子がぶつかった相手の腕をつかみ胸に抱き寄せました)






ふう、なんとか倒れるのを防いだぜ。



「だ、大丈夫か……って、アレ?」

「あっ、ゆ、百合子様⁉︎ あはっ……♡」




ひ、開花美輝ぃぃぃーー!

なんで、よりにもよって相手がお前なんだあっ⁉︎





「すいません、よそ見しながら歩いてて……」

「あ、いや、別に……」

「でも、よそ見しててよかった」

「えっ?」

「百合子様の胸の中に、こんな風に抱き寄せてもらえるなんて……(ポッ♡)」



な、なに言ってんだコイツーー⁉︎

真っ赤な顔で変なこと言ってんじゃねえよ!




ーーはっっっ!




な、なんだ⁉︎

この背中に感じる超絶まがまがしい気配は……。


ソロ〜ッ(愛美のほうに、おそるおそる振り返りっ)






ズゴゴゴゴゴオォッッッーー!!!(愛美、過去最高のお怒りモードでドオォォォンッ!)






ヒイィィィッッッ!


ま、愛美お嬢様があぁぁぁ!

愛美お嬢様が、魔界のラスボスみたいなオーラをまとわれてるうぅぅぅ!




「あのっさぁ……なにやってんのっ……⁉︎」

「あ、いや、これは……こいつがアタシとぶつかって倒れそうだったから、た、助けた? っていうか……(汗ダッラ〜)」

「ふうぅぅん……」



えっ、マ、マズイっすか?

倒れそうな人を助けたの……マズかったっすか⁉︎



「……んでっ? 2人はいつまでやるつもりかなあ……ソレっっっーー⁉︎」

「ああっ! も、もう必要ないよね〜、こんなこと!(百合子、急いで胸から美輝を引き離しっ)」



ここ、怖ひぃぃぃ〜!


ア、アタシ、そんなにわるいことしたかなあっ⁉︎

ねえ、誰か教えてえぇ〜!



「ありがとうございました、百合子様」

「えっ⁉︎ あ、ああ、別にいいよ。じゃあな」


なんか、よくわかんない。

わかんないけど。


とりあえず、さっきから開花美輝がいたら愛美のご機嫌がよくないような気がする。

なので、サッサと目の前からハケてくれ!



「それでは……(美輝、ペコリ)」



ふうぅぅぅ〜。

やっと去った。


ああ……。


なんか。

なぜ、こんなにしんどいんだろう。

今回の図書委員活動……。




◇◆◇◆◇




ピンポンパンポーン♪(返却本の棚戻し、最終盤っ)




やれやれ、棚に戻す本もあとこの2冊か。

愛美のご機嫌もようやく落ち着いてきたし、とにかく平穏に残りの図書委員活動を送りたい。



「じゃあ、しっかり持っててね? 百合ちゃん」

「おう」



最後の2冊を戻す場所は、脚立が必要な高いトコ。


脚立に上がる愛美。

そして、その脚立を支えるアタシ。


本当なら、愛美のおみ足を至近距離で合法的にじっくり眺められるプレミアムイベント。


でも。


今日は、それを楽しむエネルギーすら残っていない。

魔界のラスボスと化した愛美の圧にやられ、さすがのアタシもクッタクタなのでございます……トホホ。






「っーー!(愛美、視界になにかを捉えてピクッ)」






んっ?

今、愛美がピクッてしたぞ。


それに、なんだ?

まるで見つけた獲物に飛びかかるタイミングを狙っているような、その目は……。




シャシャッーー!




おわあっ!

愛美が、超高速で残り2冊の本を棚に戻した!




キラーンッ!!!




なんだっ?

そして、今度は愛美の目が一瞬カッて光ったぞ⁉︎






「わあっーー⭐︎」






え?

わ、わあっ?




……って。




な、なにいぃぃっっっーー⁉︎

愛美がこっちに向かって倒れてくるぞーー!


ど、どういうことだっ?

バランスを崩す要素、ゼロなはずですけどっ⁉︎


だ、だが!

今はそんなことより、倒れてくる愛美を受け止めなければ!






シャラララララララ〜ン♪(※注 ただいま、百合子が愛美を優しくもガッツリ抱き止めました)






ーードサッ(百合子、愛美を受け止めて尻もちっ)






っつつ……。

と、とりあえず、受け止め成功。




「ゆ、百合子様っ……⁉︎」




え?

百合子様?


って。




で、出たあぁぁーー!

本日3回目の再々登場、開花美輝ぃぃぃーー!




な、なんでこうもタイミングよくお前がいるんだっ⁉︎






「……よし。あのに見せつけたうえで、私の感触に上書き完了っ(ボソっ)」






はいいっ?

こっちはこっちで、愛美がなんか呟いたぞ⁉︎

いったい、なにがどうなってるんだこの状況ーー!



「お、お2人とも大丈夫ですか⁉︎」

「うん、大丈夫! だから、安心してこの場を離れていいよ!」



ヒ、ヒイィィィ!

心配する開花美輝に、愛美が食い気味に返したーー!



「あ、そ、そう、です、か……?(美輝、おびえる目で百合子をチラッ)」



ウンウンウンッ!(百合子、激しくうなずきっ)



ぶ、ぶるってる。

開花美輝も、愛美のただならぬ圧にぶるってるぞ。


とにかく、お前は1秒でも早くハケてくれ!

愛美お嬢様は、それを望んでいらっしゃる!



「で、では、私はこれで……」



ふいぃぃぃ〜……。

な、なんかよくわかんねえけど、とりあえず再び台風は去った。


……んで。




アタシの胸の中には、引き続き愛美お嬢様がうずまっておられるのですがっーー⁉︎




フワフワ、やわらか、イイにほひ……。




はっ!

や、やばい!


これではまた、愛美の前でだらしなく鼻血を出してしまう!(第7話参照)


今は恍惚こうこつにひたるよりも、愛美の安否を確認せねば!



「お、おい、大丈夫か?」

「はうぅぅ……(愛美、百合子の胸に顔をうずめながらキュン⭐︎)」




っっっーー!(ドッキーンッ!)




「大丈夫じゃ……ない」

「な、なに?」

「色々と……大丈夫じゃ、ない」




え。


えええええっーー⁉︎


い、色々とおぉっっっ⁉︎




マ、マジでかっ?

ちゃんと受け止めたはずなのに、カラダを激しく打ちつけたのか⁉︎



「ど、どこか痛いのかっ?」

「……うん」

「ど、どこだっ?」

「……ここ(百合子の胸を、人差し指でツンっ)」




ハ。


ハアアアアア〜ンッッッ!


ダ、ダメェ、愛美ひぃぃぃ!

そんなところツンってされたら、ア、アタシは〜!




……って。


バ、バッカやろう!

なに快楽の楽園にフライトしかけてんだ、アタシは!


ま、愛美は胸が痛いと言ってるんだぞ⁉︎

今すぐに適切な処置をほどこさなければ!



「む、胸が痛むのか? どんな痛みだっ?」

「……チクン、って……」

「ほ、保健室に行くかっ?」

「……ううん、ここでいい」

「えっ?」

()()が、私の保健室だからーー」



へっ?

そ、それって、どういう……。






ドサッ…… (愛美、百合子に全体重をかけて押し倒しっ)






「え……?」

「あと1分……あと1分だけ、このまま休んでもいいですか? 先生せんせぇーー(つむった両目にうっすら涙を浮かべながら、右手で百合子の左手をエンジェル握りっ♡)」




ドボフンッッッーー!(※注 百合子の頭の中が爆発しました)




ーーその後、百合子が昇天したのは言うまでもない。






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