表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アタシの愛美に手を出すな!〜百合子が初恋した話〜  作者: 碧木美月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/48

35.ほろにが⭐︎ランチタイム



キーンコーンカーンコーン♪(昼休憩っ)




よっしゃ、お待ちかねの昼休憩だぜ!

愛美の隣りで昼メシだぁ、フッフ〜ン♪




「まなみちゃん、ちょっとイイ?」

「え? ああ、藍川さん」



あん?

こいつは、藍川さくらじゃねえか(第8話、第14〜17話参照)


久しぶりのご登場だな。

いったいなんの用だ?



「ねえねえ、愛美ちゃんって甘いモノ好き?」

「ああ……うん、好きだよ」

「よかった! じゃあさ、コレを一緒に食べない?(背中の後ろに隠していた箱をジャジャ〜ンッ)」




はっーー!

そ、その箱は……!




「なんと、ビッグ福堂の4色大福だよ!」




や、やっぱりぃぃぃーー!


連日、全国から客が押し寄せる超人気スウィーツ店の4色大福だぁ!




甘さと酸味のベストバランスを極めた完熟イチゴ!


秘伝のタレでじっくりコトコト煮詰められた和栗!


ミルク風味が幸せの絶頂にいざなうショコラ!


コクと爽やかさが奇跡の融合を果たしたチーズ!




見た目はどれも一緒だから、何味に当たるかは食べてみてのお楽しみ。


大の甘党であるアタシが、今もっとも食べたいスウィーツではないかぁ!



「あ、あのビッグ福堂のっ?」

「うん! 実はお母さんの友達がそこで働いててさ、ご厚意でもらっちゃたんだよね〜!」

「す、すごぉい! ゲットするのは至難のわざって言われてるのに」

「へっへ〜! でさ、せっかくだから分け合って食べた方が美味しいと思って。だから、アサミと3人で食べようよ!」

「うん、嬉しい……って、はっーー!」




ズウゥゥゥンッッッ……(百合子、超絶落ち込みっ)




で、ですよね〜。

アタシなんか、誘われるワケないですよね(泣)




「っ…………!(愛美、百合子の絶望具合に焦っ)」

「どうしたの? 愛美ちゃん」

「あ、いや、その……! そ、そうだ、藍川さんっ」

「ん? なぁに?」

「よかったら、もう1人誘って4人で分け合うのはどうかな? 私が言うのもなんだけど、ほら、大福は4種類あるし……」




ピクッーー!(百合子の耳、光速で反応っ)




「ああ……そうだね、それでもイイよ。誰を誘う?」

「え、えっと……ま、松城さんは、どうかな……?」




ま、愛美ひぃぃぃ!

お前ってヤツは……(感動っ)






「どぉええぇぇぇっっっーー⁉︎(さくら、驚愕っ)」






おわあっ!!!

ビ、ビックリしたあ!


毎度おなじみ、藍川さくらのオーバーリアクション芸!



「まままっ、ま、松城、さんっ……⁉︎」

「う、うん」

「っっっ…………!(さくら、百合子をチラッ)」



……お、おい。

あからさまだな。


あからさまにイヤですオーラが伝わってくるぞ、藍川さくら。



「い、いや、でも……! ま、松城さん、甘いモノとか、きっと、お好きでは、ないんじゃ……?」



いや。

あいにくだが。

藍川さくらよ。



アタシは、根っからのスウィーツ女子なんだーー!


この学校で1番といっても過言ではない程にな!



ゴールデンウィークの時に行った鯛焼き屋(※第6話参照)にだって、実は毎週のようにかよってる!


だから、もちろんアタシからの答えはーー。



「べ、別に嫌いじゃねえけど?(素直に好きとは言えず照れっ)」

「へっ、へえぇぇ〜……⁉︎ そ、そう、なん、です、ねぇぇぇ?」

「……んだよ、なんかワリィか⁉︎(照れっpart 2)」

「いっ、いや、そんなワケ、ないですぅ〜! そ、そんな、ワケ……(さくら、ホントに誘うんですか⁉︎ 的に愛美をチラッ)

「あはは……じゃあ、4人で一緒にってことで……イイかな?(苦笑)」

「あ、う、うん……イ、イイ、よ〜?」



すまん、藍川さくら。

ホントは愛美だけを誘いたいのはわかる。


……でも。


どうしても、アタシもビッグ福堂の4色大福が食べたいんだ〜!


そして。


ありがとう、愛美ぃぃぃーー!

アタシの思いを見透かすような、ナイスアシスト!

やっぱり、あなたはアタシの大天使様だぁっ〜!




◇◆◇◆◇




ピンポンパンポーン♪(ランチ準備、完了っ)




え〜。

で……ですね。


アタシと愛美。

そして、藍川さくらと小野寺アサミ。


4人そろって昼メシのスタンバイができたワケなんですが。


いや。

なんというか……。




なんなのっ⁉︎

この超重苦しい雰囲気はっーー!




藍川さくらと小野寺アサミが、おびえる子犬のような顔で背中を丸めてるぞ……!


わ、わかる。

アタシが目の前にいて怖いのはわかる。



でもっ!



別にとって食うワケじゃねし、そこまで萎縮しなくてイイんじゃね⁉︎

も、もっとリラックスしようよ!(汗っ)




……そして。


なにげに。




今日の、アタシの昼メシがヤバいーー!


みんな弁当箱に米とオカズを詰めてきてるのに、アタシだけスーパーで買ったパンなんだ!


しかも。

そのラインナップ。



①天使のホイップクリームロール。

②りんご姫ちゃんのラブリーデニッシュ。



さらに。

飲み物。



大和撫子やまとなでしこさんの抹茶オレ。




…………。




どれも、アタシのイメージとかけ離れたモノばっかりじゃねえかあぁっっっ!




ど、どうする?

愛美にはいつも見られてるから問題ないけど、藍川さくらと小野寺アサミの目がなんか気になる……!


だってほら、2人とも「え……?」みたいにキョトンとしてるんだもん!


イメージなんて気にせず生きてきたのに、なぜだ⁉︎

ここにきて、チョット恥ずいぃぃ!(赤面っ)




はっーー!




そ、そうだ。

今日のラインナップは、たまたまこうなっただけ感を強調すればイイんじゃね⁉︎


くしくも、今日買ったモノには全て2割引きのシールが貼られている。


ホントは思いっきりアタシの好みで買ったけど、あくまで割引きだったからという理由にすり替えるんだ!


よし、そうしよう!



「はぁ……今日は甘ったるいモンばっかだな。まあ、割引きだったからシャア無しに買ってやったけど」






シ〜ン…………。






……え。


待って。




…………。




ど、どういう感じっっっーー⁉︎

なんのリアクションもないんですけどぉ!


なんかこれ、ただアタシが変なヒトリゴト言ったみたいになってね⁉︎


ああ、もう!

穴があったら入りたい〜!(カアァァッ)



「あはは……え、えっと、それじゃあ、みんな、食べよっか?」



ナ、ナイスだぜ、愛美ぃーー!


このどうしようもない空気を切り裂く女神な一言!


そうだよ、とりま早く食べようぜ!

そして、至高の4色大福を楽しむんだ!





シ〜ン…………。






って。



おぉぉぉいっーー!


な、なんか反応しろよ!

藍川さくらに、小野寺アサミぃぃぃ!


愛美の声が聞こえなかったのかっ⁉︎



「じゃ、じゃあ、いっただっきま〜す……(愛美、苦笑いで合掌っ)



はうぅぅ〜!

ま、愛美が強行突破を図ろうとしている!


もうこれ以上、愛美にだけ特攻役を担わせるワケにはいかない!

アタシもフォローするぜ!



「……おい」

「は、はいっーー⁉︎(さくら&アサミ、ビクウッ)」

「いただきますの号令が聞こえなかったのか……? チンタラせずに、さっさと食おうぜっっっ⁉︎(思わず眼力ドォォォン!)」

「ひぎぃぃぃーー! は、はいぃぃっっっ!!!(さくら&アサミ、涙目で合掌っ)」




…………。




……いや。



アタシ。



フォロー。



下手かよ……(自嘲っ)




◇◆◇◆◇




ピンポンパンポーン♪(4人でランチ開始っ)




モグ…………モグ…………。


モグ…………モグ…………。




……ふふ(苦笑っ)


いや。


あのさぁ……。






どういう状況っ⁉︎


これえぇっっっーー!!!





あ、ありえるっ?

女子が4人も集まってランチしてるのに、誰も一言も喋らないとかありえるっ⁉︎


……つーか。


アタシには聞こえるぞ。

藍川さくらに、小野寺アサミよ。


まるで「キュゥゥゥン……」と怯える子犬のような、お前らの心の泣き声が。


そ、そんなに?

そんなにアタシ、怖いっすかぁ〜?(泣っ)




……パクッ。




ん?


あれ?

なんでアタシ、自分の指なんか食ってんだ?


……って。






な、なにぃぃぃーー⁉︎




もう、アタシのパンがないぃっっっーー!






し、しまった……!

この居心地のわるさをまぎらわそうと、無意識のうちに食べるペースが超高速になっちまってた!


ど、どうするっ?

愛美たち3人は、まだ半分も食べてないぞ!


デザートの4色大福に行き着くには、まだまだ時間がかかる……。

このあと、いったいどうやってやり過ごす⁉︎




はっーー!




そ、そうだっ。

大和撫子さんの抹茶オレッ!

まだ、あなたがいらっしゃるではないですかぁ!




ズゴゴゴゴッッッ(百合子、大和撫子さんの抹茶オレを吸いっ)




…………。






からぁぁぁ〜(泣っ)






な、なんてことだ……。

アタシにはもう、残された武器がないぃぃ〜!


ど、どうする?

どうするっつったって、どうするっ⁉︎




…………。




ね、寝る?

机に伏せて、寝る?




……いや、ダメだ!

それじゃあ愛美になにかあった時、すぐ気づけない!


じゃ、じゃあ、えっと……。


そ、そうだ!


大和撫子さんの抹茶オレがまだ残ってるかのように見せかけ、飲んでるフリしてやり過ごす?


……いや、それもダメだっ。


だって、さっき「ズゴゴゴゴッッッ」って音を立てて吸っちまったもん!

あれでもう、飲み切ったことはバレバレだ!




え〜……。


結論。

これは、もう。




ジッと待つしかない(チーン)




アレコレ考えたって仕方ない。

ここはいさぎよく、3人が食べ終えるのを待とう……(遠い目っ)




モグ…………モグ…………。


モグ…………モグ…………。




か、考えるな。

なにも考えず無になるんだ!


できる。

アタシならできるぞ!(腕組み&足組みっ)




モグ…………モグ…………。


モグ…………モグ…………。




モグ…………モグ…………。


モグ…………モグ…………。




…………遅い。

食べるペースが、全然あがらないぃぃ〜!


愛美はもう終盤だが、藍川さくらと小野寺アサミはまだ半分近く残ってるぞ!


スズメの一口みてえにチマチマ食べやがって……。

アタシがいたら、そんなに食欲減退するんすか⁉︎


こんなんじゃ、昼休憩が終わっちまうぜ〜!




「ヒキュンっっっ!(さくら&アサミ、百合子と目が合ってカラダがピックウンッ!)」




え?




「ク、クゥゥンっ……(さくら&アサミ、怯えレベルMAXで箸を持つ手がふるえっ)」




…………。




ま。





待ってっっっーー!


ふ、ふるえないでぇっ!


お願いだから、ふるえないでぇぇぇ!!!




はあぁぁ……こ、こりゃもうダメだ。

アタシがいる限り、コイツらは恐怖のドン底から抜け出せないらしい。


これじゃあ、このあとの4色大福も味がわかんねえぞコイツら。




…………。




ハケようーー。




これはもう、アタシがハケるしかない。

こんな状態で4色大福を食べさせるのは、さすがに気の毒だ。


ホントは、なにがなんでも食べたい。

愛美の隣りで、至高のスウィーツを一緒に食べたい!


でも。

私には聞こえるんだ。




『あ、ああ……どうか、そんな怯えた顔でワタシタチを食べないでーー?』




……っていう、4色大福のふるえる悲しみの声が!(※注 甘いモノが好きすぎて、スウィーツの声が聞こえるようになった女。それが百合子です)



すまん、愛美。

せっかくアタシも誘い入れてくれたのに。


アタシは、ここで退場させていただくぜーー(泣っ)



「……なんか、」

「っ…………?(愛美&さくら&アサミ、ピクッ)」

「やっぱ、アタシ抜けるわ」

「えっーー⁉︎(愛美&さくら&アサミ、驚きっ)」

「昼メシ、甘ったるいモンばっかりだったからな。これ以上甘いモンはいらねえわ」

「えっ? チョ、チョット、ま、松城さん……⁉︎(愛美、困惑っ)」

「つーワケで、4色大福は3人で食べてくれ」

「そ、そうなの? ざ、残念だな……イ、イイの?」



おい。

とか言いながら。


顔がメッチャ嬉しそうだぞ、藍川さくら。


……ま。

でも。


ようやく恐怖から解放されたその表情を見ると、なにも言えなくなっちまうぜ。



「ああ、好きにしろ。お前ら3人で楽しんで食え(ガタッと席立ちっ)」

「ゆ、ゆりっ……! あっ、ま、松城さん……!」



すまねえ、愛美。


そして。


さらば、ビッグ福堂の4色大福っ……。

またいつか、逢う日までーー!(号泣っ)




◇◆◇◆◇




ピンポンパンポーン♪(翌日の昼休憩っ)




あうぅぅ……。


ダメだ。

昨日から、ビッグ福堂の4色大福のことが頭から離れない。


やっぱ、自分ファーストを貫いて食べたほうがよかったかなあ……(ガクゥ〜ン)



「ねえ、百合ちゃん」

「わっ! はは、はいっ?(背すじシャキーンっ)」

「よかったらコレ、一緒に食べない?」



へ?

コ、コレは……イチゴ大福?



「百合ちゃん、昨日一緒に4色大福を食べれなかったでしょ? コンビニのだから、ビッグ福堂みたいなプレミアム感はないけど……でも、2人で食べたらきっと美味しいと思って」



っ…………!(感動でジ〜ンッ)



「昨日はみんな1個ずつ好きなのを取って食べたんだけど、最後に残ったのがイチゴだったの。ラスイチは3人で分けようって藍川さんが言ってくれたんだけど、小野寺さんと2人で食べてもらったんだ」

「え? な、なんで?」

「だって……ホントは、百合ちゃんが食べるはずだったはずのイチゴだから。百合ちゃんナシでは、食べれないよ」



ま、愛美ぃぃ〜!

お前ってヤツは……お前ってヤツはぁ!




サクッ……(愛美、備え付けの菓子切りでイチゴ大福を半分に分けっ)



「はい、半分コだよ」

「あ……イ、イイのか?」

「もちろん! そのために買ったんだよ?」

「えっと、じゃ、じゃあ、遠慮なく……」

「へへ……それじゃあ、いただきますっ」




パクッ……(百合子&愛美、半分コのイチゴ大福を互いに一口で食べっ)




っ…………。


う。


美味ぁぁぁぁぁぁい!




イチゴのみずみずしさとか、爽やかな甘さとか、そんなんじゃなくて……。


愛美の気持ちと、愛美と半分コってのが、何よりも最高の旨味成分だぜぇ!(感涙っ)



「うん、おいひぃ。百合ちゃんは……どう?」

「……う、うまひに、決まってんだろっ」

「ふふ、よかった」






ゴクンッ……。






…………。




美味かった。




ホントに、美味かった。




なんか、優しい気持ちになれるというか……。




そんな味だった。




……ありがとう、愛美ーー。






「百合ちゃん」

「ん……?」



な、なんだ?

愛美、ニコニコしてるぞ。



「私ね、百合ちゃんが美味しそうにお昼ご飯やデザートを食べてる顔……大好きなんだ」

「はっ、はあ……⁉︎」

「だって、ホントに幸せそうに食べるだもん。あと……それがね、すっごく可愛いんだ」

「な、なに言ってんだっ? つーか、勝手に人の顔、そんな風に見んなつっーの!(カアァァァ)」

「あはは、ゴメンね。あ……そうだ!」

「っ?」

「今度、私が4色大福をつくってこようか?」




え。




えええぇぇぇ〜⁉︎

ま、愛美の手作り4色大福ぅっっっ⁉︎




そ、そんなの……。




そんなのっっっ!




そんなの幸せすぎて、食べた瞬間にゴートゥーヘヴンだぜえっ!!!




「い、いや、別に、そんなの、ワリぃから……」




はうぅぅぅ!


バ、バッカやろう!


アタシのバッカやろうーー!


なんでそこは、素直にお願いしますって言えないんだぁ〜!



「ふふ……それは、お願いしますってことでイイのかな?」

「へ、へっ?」

「だって、そう顔に書いてあるように見えるよ?」

「っっっーー!(百合子、真っ赤に染まった両頬を手でパチンと覆いっ)」

「あははっ……ゴメンね。からかうつもりじゃなかったんだよ? でも……」



で、でも……?(恥ずかしくて涙目っ)



「そんな可愛い顔がもっと見たいから……私、がんばって作るねっ(もう! 真っ昼間からこんなにキュンキュンさせて……午後の授業が頭に入らなかったら責任とってよね? 的なエンジェルスマイルでニコッ♡)」




ドボフンッッッーー!(※注 百合子の頭の中が爆発しました)




ーーその後、百合子が昇天したのは言うまでもない。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ