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アタシの愛美に手を出すな!〜百合子が初恋した話〜  作者: 碧木美月


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34.見つめる先にあるモノ



ふう……。

昼メシ食った後の、このまったりとした心地よさ。



窓からのぞく澄み渡る青空。

その中を歌いながら泳ぐ小鳥たち。

隣りには、優しく穏やかな表情で小説を読む愛美。



はぁぁ……幸せ〜。




「あの、ちょっとイイかな?」




んっ……⁉︎


だ、誰だ?

この至福の時間にわり込んでくるジャマ者は!




「ごめんね、休憩中に。2人とも、ちょっとだけイイかな?」




こ、こいつは……。






いけ てるよねーー!






クラスで一番のモテ男が、アタシと愛美にいったいなんの用だっ?



「さっき職員室に行った時、もとよし先生(=図書委員の顧問)からコレを2人に渡してくれって頼まれてさ」




ピッ……(百合子&愛美、池くんからそれぞれ1枚の紙を受け取りっ)




あん?

なんだコレ、図書委員の年間予定表じゃねえか。



「なんか、予定に一部変更があったから差し替えだってさ」



は〜ん……。

つまり、職員室に行ったらタマタマおつかいを頼まれたっていうワケか。


そりゃまあ、ご苦労なことで。



「あ、ありがとう、池くん」

「どうってことないって。じゃあね!(爽やかスマイルを残して去りっ)」

「あっ……!」




え?




えぇっっっーー⁉︎




な、なんだっ?

今の愛美の「あっ……!」っていう意味深なリアクションは……。


なんか、ちょっと衝撃を受けたような顔だったぞ⁉︎




「っ…………(愛美、恥ずかしそうにうつむきっ)」




ひゃあぁぁぁーー!


ま、愛美が頬を赤く染めてるぅぅぅ!




マ、マジか?

マジでかっ⁉︎


まさか、最後の爽やかスマイルで池のヤツにときめいたとかじゃねえよなっ?


なっ⁉︎


そうだと言ってくれ、愛美ひぃ〜!(泣)




◇◆◇◆◇




ピンポンパンポーン♪(帰りのホームルーム前っ)




……あれから愛美、ずっと池のヤツをチラ見してる。

もう、気になって気になって仕方がないって感じで。



あうぅぅ……。



これはもう、確定なのか?

愛美は池に恋しちゃったということで確定なのか⁉︎



池は、ビジュアルを含めた全てのスペックがSランクという選ばれし勇者。


なおかつ。


人によって当たりを変えることなく、誰とでもフラットに明るく接するという神性格。


ゆえに。

男女問わず、周りからモッテモテ。


そう、つまり。

池は。






アルティメット・リア充野郎ーー!!!






そんなヤツの爽やかスマイルを至近距離からくらえば、恋に落ちるのもおかしくはない。


ぐうぅぅ……。

こ、こんな日が来るなんてえ……(涙目っ)




……いや、でも。




まだ、愛美がアルティメット・リア充野郎に恋をしたと決まったワケじゃない!


こ、ここは様子を見てみよう。


明日になったら、アルティメット・リア充野郎をチラ見しなくなるかもしれない!


よし!

希望を持って明日に向かうんだ、松城百合子ぉ〜!




◇◆◇◆◇




ピンポンパンポーン♪(翌日っ)




ふにゅうぅぅ……。


きょ、今日も愛美がアルティメット・リア充野郎を何回もチラ見してるぅ〜!


チラ見するたびに恥じらう乙女のような顔をして……これはもう、海よりも深い恋に落ちたこと確定だよ〜(泣)




ど、どうすればイイ?




今回は、あくまでも愛美が恋に落ちてしまった側だ。


アルティメット・リア充野郎が愛美にチョッカイを出してるワケじゃないから、変な虫として排除する理由もない。




と……ということは。




今後、恋する愛美をずっと隣りで見ていかなきゃならないのか⁉︎


そ、そんなのツラすぎるよぉぉぉ〜!(机に顔を伏せて号泣っ)






「っーー!(愛美、右手をアゴに添えてピクンッ)」






はっ……!


な、なんだ?

愛美がピクンッてしたぞ⁉︎


そ、その見つめる視線の先にはいったいなにがっ?



……って。






ア、アルティメット・リア充野郎が目の前にいるうぅっっっーー!!!






な、なんだ?

なんの用だっ⁉︎


いよいよ、愛美にチョッカイを出しに来たのかっ?



い、いや……。



愛美の前の席の、消しゴム貸して詐欺野郎(※第4話参照)と話をしてるだけだ。



別に、コッチに用があるワケじゃないのか……?






ふるふるふる…………。






んっーー⁉︎


な、なんだ?

この微細な空気の揺れは……。


ひ、左側のほうから流れてきてる?(愛美をチラッ)






「っっっ…………(愛美、引き続き右手をアゴに添えながら目をふるわせっ)」






まっ、愛美ぃぃぃーー⁉︎


愛美が、目をふるわせながらアルティメット・リア充野郎を見つめてるぅーー!(※注 百合子の感じた微細な空気の揺れとは、愛美の目の揺れであった!)


か、顔までそんなに赤くして……。

もう、トキメキMAXの恋する乙女モードじゃないか!


や、やめてくれ……。

そんな顔、アタシの横で見せないでくれ……!






「あ……あの、池くん……!(愛美、席立ちっ)」






ひゃあぁぁぁーー!


つ、ついに愛美がアルティメット・リア充野郎に声をかけたあっっっ!



「ん? なに?(消しゴム貸して詐欺野郎と話を終えた池くん、愛美のほうを向きっ)」

「あ、え、えっと……(愛美、超絶モジモジっ)」



な、なんだっ?

なにを言うつもりだ、愛美っ⁉︎



「あ、あの……こんなこと、急に言うのは失礼なのはわかってる。でも、自分の気持ちをこれ以上おさえるのはもう無理で……だから、つ、伝えても、イイかな?(愛美、決意の表情で池くんを見つめっ)」

「えっ? あ、ああ……うん」




こ。


これは。




…………。






告白だあぁぁっっっっっっーー!!!






愛美は、アルティメット・リア充野郎に告白するつもりだあっっっ!






ま、待って!

ちょっと、待って!


は、早すぎんっ?

昨日の今日で、もう告白とか早すぎんっっっ⁉︎



っていうか!



こんな可憐な妖精の少女から告白されて、断るヤツなんていない!


こ、このままだと、愛美がほかのヤツのモノになっちゃうっーー!






「あ、あのね、実は……」






わあぁぁっっっ!


ダッ、ダメッッッッッッーー!


そ、それ以上、言っちゃダメエッッッーー!!!




そっ、それ以上言ったら、け、警察に、言っちゃうんだからねっ⁉︎(※注 混乱が過ぎて、思考回路が小学生化した百合子を微笑ましくでてやってください)






「実はっ……!」






あぁぁぁぁぁぁーー!



あ、あぁぁぁぁぁぁっっっーー!!!






「実はねっーー!」






フッ…………(百合子、現実逃避のため気絶モードのスイッチオンッ!)






「実はっ、池くんの首のホクロから……ご、5ミリくらいの、毛が生えてるのぉーー!」






「…………へっ?(百合子&池くん、ポカ〜ン)」






「ゴ、ゴメン……私、視力いいから、そういうの、よく見えちゃって……」

「っっっーー!(池くん、首のホクロを触りっ&ジョリっとした感触に愕然っ)

「き、きっと、あえてそうしてるんだよねっ⁉︎ なのに、もし気づいてないだけだったらどうしようとか、余計な心配しちゃって……ホ、ホントに、ゴメン!」

「あっ、いや、あえて、というか、なんと、いうか……! ええっと、おお、教えてくれて、ありがとう〜!(池くん、顔を真っ赤にして教室の外へピュ〜ッ!)」






シ〜ン…………。






「……はぁぁぁ……(愛美、グッタリしながらノドのつかえが取れたように安堵の表情で椅子に座りっ)」






……え?



 



………………。






毛?






こ、告白じゃなくて。






…………毛?






………………。






よ、よかったあぁっっっ〜!!!(歓喜っ)




なんだよ!

てっきり告白かと思ったたら、けっ、毛かよっ!


昨日、アルティメット・リア充野郎の爽やかスマイルを至近距離でくらった時の「あっ……!」は、ホクロの毛を発見して動揺しただけなんだな⁉︎


あんなにアルティメット・リア充野郎をチラ見してたのも、それが理由だったのか……。


もう、それならそうと言ってくれたらイイのに!


正直、この世の終わりに片足を突っ込んじまったぜ!




……え。


でも。


待って。


ちょっと、待って。




ホクロから生えた5ミリの毛を見つけるって……。

愛美さん、どんだけ視力イイんすかっ⁉︎


まさか、超希少種の視力 2.0……とか?




………………。




や、ヤバいぃぃーー!




そんなキレッキレの視力で隣りの席から見られたら、毛穴の奥まで丸わかりじゃねえかあぁぁ!(百合子、両頬を手で隠しっ)




あわわっ、だ、大丈夫かなっ?


アタシも変なトコから毛とか生えてねえよなっ⁉︎


つーか、アタシの肌、大丈夫かなっ⁉︎


ま、毎日ちゃんと顔を洗ってるし大丈夫だよなっ?


それに、週1回は母親の高級美容液をコッソリ使ってるし……(※注 愛美に恋してしっかりスキンケア。それが百合子です)


あうぅぅ、は、恥ずかしい〜!



「お、おい……!」

「ん……? な、なぁに? 百合ちゃん」

「ア、アタシにも、ちゃんと言えよっ?」

「え? な、なにを?」

「そ、その……へ、変な毛が生えてたりとか、は、肌の汚れとか、あったりしたら……!」



だって、もし気をつかって黙認されたまま取り返しのつかないヒドい状態になるのはイヤだもん!


アタシは、愛美の隣りで常にキレイでいたい〜!




「……ふふっ」




へっ?


わ、笑われた……?


もしかして、すでに変な毛やお肌の汚れが……?(ガ〜ン)




「大丈夫だよ」

「え……?」

「百合ちゃんの顔、すごく……キレイ」

「っっっ…………⁉︎」

「私は、百合ちゃんのそのキレイな顔が……とっても、大好きだよ(たとえ変な毛が生えてたりお肌が汚れてても、あなただったら気にならないんだよ? 的に目を細めたエンジェルスマイルでニコッ♡)




ドボフンッッッーー!(※注 百合子の頭の中が爆発しました)




ーーその後、百合子が昇天したのは言うまでもない。






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