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アタシの愛美に手を出すな!〜百合子が初恋した話〜  作者: 碧木美月


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33/48

33.追跡者(後編)



ご、5分……。


あの盗撮女のもとをハケて5分が経った。


とりあえず、泣き声は完全におさまったっぽい。

も、もう大丈夫かな?(謎の女をゆっくりチラッ)




はっーー!




あ、あの盗撮女、ちゃっかり携帯をいじってやがる!


アタシの目を盗んでなにかしようってのか⁉︎

そうは問屋がおろさないぜ!






百合子・サーチ・アイーー!(※注 説明しよう! 百合子は愛美への溢れるLOVEエネルギーを目に一点集中させることで、一時的に視力を10.0に引き上げることができるのだ! これにより、数メートル先の携帯画面など楽勝でハッキリとらえることが可能だ!)






カッッッーー!!!(百合子の両目、ピッカーン!)






さあ、なんの画面を見てやがる?


あ、あれは……!

ついさっき、校門を出た時の愛美の姿ーー!


まさか、写真を削除して証拠隠滅を図るつもりか⁉︎

そうはさせないぜ!






ダダダダダッ、バッーー!(百合子、光速で謎の女に駆け寄り、携帯電話を取り上げっ)






「あああっーー⁉︎」

「……さっき、盗撮なんてしてないって言ったよな。これはどういうことだ?」

「あ、いや、それは、その、えっと……」




……な、なんだ、こいつ。


両手の人差し指の先を合わせてコネコネ回しながら、バレバレのしらばっくれ顔をしてるぞ。


こ、こんなリアクション、二次元の世界以外でホントにするヤツがいるなんて。




……やばい。


面白くてツボりそうだ。




ど、どうしよう。

もっと面白いリアクションを見たくて、ちょっと、ワザと怖がらせたくなってきた。




はっーー!




いやいや、ダメだ!

そんなことしたら、今度こそ取り返しがつかないほど泣き叫ばれちまう!


が、我慢だ。

我慢するんだ、アタシ!



「こんな盗撮をして、なにをしてた?」

「あ、いえ、その……」

「その?」

「い、家で、見てました」

「ほう……それで?」

「……ニヤニヤ、してました」



……はい?


なんじゃ、それ?



「チョットよくわかんねえな。どういうことだ?」

「……可愛い女の子が、好きなんです」

「あん?」

「私……こんな地味でブスだから、自分のことが大嫌いなんです。だから、真逆の可愛い女の子を見ると心が癒されてハッピーになるんです」



は、はあ……。

なんか、たまに聞くパターンのやつだな。


コイツの表情や声のトーンからして、ウソをついてるワケじゃなさそうだ。



「今までは、アイドルの写真やコンサート映像を見てニヤニヤするだけだったんです。でも、凛咲さんを見かけた時、その可憐さに世界がひっくり返るほど衝撃を受けて……イケナイとわかっていながら、ついコッソリ写真を撮るようになってしまったんです」




……なるほど……。




わかるっ。




わかるぞっーー!




なにを隠そう、アタシも愛美に世界をひっくり返された1人だからな!(激しく同意しながらウンウンッ)



「ワケはわかった。だが、イケねえものはイケねえ。お前が撮った凛咲の写真、今ここで削除しろ」

「あ、は……はい(表示中の愛美の写真を削除し、手早くホーム画面に切り替えっ)」



……おい、待て。

ドサクサにまぎれてもう削除完了にするつもりか?


1枚だけじゃねえだろ、テメエが盗撮したのは!






バッーー!(謎の女から再び携帯電話を取り上げっ)






「ああっ、ちょっと!」

「っ…………(百合子、写真一覧をゆっくりスクロールしながらチェック)」



な、なんじゃコレ⁉︎

こいつ、めちゃくちゃ愛美の写真を撮ってやがる!


ふ、ふざけやがって……。

いつの間にこんだけ撮り溜めてたんだ⁉︎




つ、つーか。


こいつ。




愛美以外のヤツも色々と撮ってやがる!



なるほど……そうか。



愛美を盗撮し始めたことをキッカケに、美少女を撮りたいという欲求が自制できなくなったんだな?


どんだけ美少女フェチなんだ、この変態盗撮女!




パパパパパッ……(百合子、愛美の写真を全削除っ)




「あ、あああっ……!」

「ほらよ、返す」

「ふにゅう……(ショボン)」

「もう2度と、凛咲を盗撮したりすんじゃねえぞ」

「は、はい…………あ、あれ?」

「あん?」

「ほ、ほかのの写真は消さないんですか?」

「別に。お前の好きにしろ」

「……な、なんで、ですか?」



ふん。

そんなの、愛美以外のヤツなんてどうでもいいからに決まってんだろ。


……って。

そんなこと言えねえけど。



「そいつは……凛咲は、ちょっと特別なだけだ」

「と、特別?」

「ほかのヤツはかんかつ外だ。削除するかどうかは、お前の良心に任せる」

「っ…………」



はん、すっかりおとなしくなったな。

一時はどうなるかと思ったぜ。






……つーか。




こいつ。






泣き顔マジックでしおらしげに見えるからか?

自分のこと地味でブスとか言ってたけど……。






カチャッーー(百合子、謎の女のメガネを外しっ)


「へっ……⁉︎」




ササッーー(百合子、謎の女のパッツン前髪を斜めに流しっ)


「あっ、ちょ、ちょっ……⁉︎」




ピッーー(百合子、謎の女の髪ゴムを外して、おさげがファサッ)


「は、はわわぁ……!」






……うん。


やっぱ、そうだよな。






「お前」

「は、はい……⁉︎」

「実は、可愛いんじゃね?」

「…………へっ?」

「地味でブスとか自分で言ってたけど。つーか、そこら辺のアイドルなんかより、よっぽどイケてんだろ」

「え? えっ……? えええっっっーー⁉︎」



まっ。

愛美の足元には遠く及ばないけどな。



「他人のツラ見てニヤニヤすんのもいいけど、もっと自分にも目を向けたら今より人生楽しくなるかもな」

「っ…………」

「じゃあな、もうワルさすんじゃねえぞ」



ふう、これで一件落着。


あ……そういえば。

あの盗撮女の名前をくの忘れてた。


ま、いっか。


根はワルそうじゃなかったし、なんたってこのアタシが直々にビビらせたんだから再犯はないだろう。


なにはともあれ。


これで大丈夫ですぞ、愛美お嬢様〜!

この百合子、今日もいい仕事をいたしました!

ああ、どうか今晩の夢に出てきて褒めてくだされ〜!




◇◆◇◆◇




ピンポンパンポーン♪(翌週、月曜日の朝っ)




ふぁぁぁ〜あ。


……眠い。


今日からまた1週間か。

超絶にダルいぜ。



でも。



アタシには愛美がいるもんねっ〜!

ま・な・み・の・と・な・り・で、1っ週か〜ん!


ああっ、早く愛美に会いたいな〜。

フッフッ〜ン♪






「……百合子様ーー」






っっっーー!


……あ、あん?


ゆ、百合子、さま?






「あはっ……(前方で謎の美少女がニコッ♡)」






はぇ?

だ、誰だこいつ……?




つーか。




な、なんだっ?

百合子様ってえぇっっっ⁉︎




「私のこと……わかりますか?(上目づかいでモジモジしながら、両手の人差し指の先を合わせてコネコネ)」



いや、知らんっ。

こんなヤツいたっけ……⁉︎




はっーー!




ま、待て……。

三次元の世界で初めて見た、この両手の人差し指を合わせてコネコネする仕草……。


ま、まさか、こいつ……⁉︎




「愛美……あっ、いや、り、凛咲を撮ってたヤツ?」

「……はい。1年B組の、ひらはなって言います」




え。




…………。







えええっーー⁉︎






や、やっぱ、あの変態盗撮女っ⁉︎


メガネもしてねえし、髪型もオシャレなセミロングになって……。


か、完璧な美少女に変身してるじゃねえかっ!



てゆーか。

なんでこいつ、アタシの名前を知ってんだ⁉︎



……って。



そっか。

アタシは学校最強のヤンキーに仕立て上げられてるんだった、知らねえヤツはいねえか。



「私、今まで自分に自信がなくて、自分のことが大嫌いでした。きっと、その価値観はこの先も変わらないと思ってた……」



え?

な、なんか語り出したんですけど。



「でも、それじゃダメだよって神様が用意してくれたように、私は百合子様に出逢ってしまった。そして、生まれ変われたんです。新しい、私にーー」




……うん。


よくわかんねえ。


わかんねえけど。


とりあえず。


なんか、アタシ。




崇拝されてるーー⁉︎




「思い出すたびに胸がキュン……ってドキドキして、止まらないんです。百合子様が私のメガネをさっそうと外し、頭を優しくなでるように前髪をワシャワシャして、地味なおさげから解放するように髪ゴムを取ってくれた、あの時のことーー」




や、やばい。

あんなの深い意味なんて全然なかったのに、なんかメチャクチャ美化されてるぞ⁉︎



「百合子様」

「あ、あんっ?」

「あの時みたいに、今の私も……可愛いと、思ってくれますかーー?」

「は、はあっ⁉︎」

「っ…………(美輝、潤む目で唇をキュッ)」

「い、いや、まあ、そりゃ……可愛いんじゃ、ね?」

「あはっ……(目を一段と潤ませながらニコッ♡)」



いや。

ちょっと、待って。


なんか……。

なんというか。


ど、どういう展開っ?

これっ⁉︎



「もう、アイドルやほかのに自分の憧れを重ねるようなことはしません。これからは、ちゃんと自分に目を向けて生きていこうと思います」



は、はあ。

そりゃ、けっこうなことで。

どうぞご自由にやってください。



「あの……」



あ、あん?

まだなんかあんのか?

は、早く解放してくれ!






「これからも……私を見ててくださいね、百合子様!(じゃなきゃ、すぐにガス欠して元の私に戻っちゃうんだからね⁉︎ 的なヴィーナススマイルでニコッ♡)」






タタタッ……!(美輝、照れ顔でB組の教室に駆け込みっ!)






な。


なっ。


…………。




なぁにいぃぃぃぃぃぃっっっっっっーー⁉︎






ど、どういうこと?

最後の、どういうことっ?

ちょ、ちょっと、意味わかんないんですけどぉ⁉︎



うーん……。


よし。



なかったことにしよう。

今の出来事は、なかったことにしよう。

そして、忘れよう。


うん、それがいい!






はっーー!(ゾクゾクゥ!)






な、なんだっ⁉︎

この背中に感じるまがまがしい圧は……。






ズゴゴゴゴゴッ……!(百合子の後ろに、ただならぬオーラをまとった愛美がドォォォンッ!)






おわああっっっ!

ま、愛美いぃぃぃーー⁉︎



「……おはよう、百合ちゃん(ニコッ)」

「お、おうっ……!」



な、なんだ?

愛美、なんか怒ってね?


いつものエンジェルスマイルじゃないんですけどぉ⁉︎



「今の……誰?」

「えっ? ああ、B組の開花美輝ってヤツらしい」

「ふ〜ん……可愛い、だね」



ど、どうした?

どうした愛美さんっ⁉︎


なんで?

なんでそんなに怖いんすかあっ⁉︎



「なんか百合ちゃんのこと、百合子様……って、言ってたね」

「えっ⁉︎ そ、そう……だったっけ?」

「うん! 言ってたよ?(ニコッ)」



ひいいいいっ!

だ、だから、なんでそんなに怒ってんすか⁉︎


笑ってるのに!

笑ってるのに怖いんですけどぉ⁉︎



「あと……あの、元々はメガネをかけてて、前髪はモサモサのパッツン系あたりで、オシャレとは程遠いおさげだったのかな?」




えぇぇっーー⁉︎


な、なんでっ?

なんでわかるのっ?


名探偵、愛美お嬢様が爆誕っーー⁉︎




「い、いや、どうだったかなあ……?」

「…………(意味深な微笑みを浮かべながら、それでたぶん間違いないよねっ⁉︎ 的な圧でゴゴゴッ!)」

「あ、あぁ〜……そ、そうだったかな? たぶん」

「……っで、百合ちゃんがあののメガネをさっそうと外して、前髪をワシャワシャして、おさげをほどいたら、ああなった、っと」

「そ、そういうことに、なるの……かな?」

「……なんか、アイドルプロデューサーみたいだね。なんで……そんなこと、したのかなあ?(戦慄の無表情で小首をかしげっ)」

「い、いや、アタシにも、サッパリ……」

「ふ〜ん、そうなんだ……不思議だね!(ニコッ)」




で、ですよね〜?(額から汗ダッラ〜!)




「……何回?」

「え?」

「だぁから! 何回したの⁉︎ 前髪ワシャワシャとか!」

「い、いや、そんなの1回だけに決まってんだろ⁉︎」

「…………(真顔で百合子の目をジ〜ッ)」



な、なんか。

すっごい見られてる……!


心を丸裸にされるかのごとく、すっごい見られてるぅ〜!(緊張感を含んだ生つばをゴクリッ)



「……ふふ……じゃあ、もう教室入ろっか?」

「お、おう……」



ま、愛美お嬢様っ……?

いったい、どうなされたのですか?


な、なぜゆえに!

なぜゆえにそんなに怖いのですっ⁉︎


この百合子、なにか粗相なことでもしたのでしょうか〜⁉︎




◇◆◇◆◇




ピンポンパンポーン♪(百合子&愛美、教室にINっ)




……こ、怖い。


着席しても、なお。


引き続き。


愛美が怖い。



頬杖ついて無言で外をガン見するなんて……。

そんな所作、本来はアタシがやるやつだぞ⁉︎




シ〜ン…………。




ち、沈黙が重い。

そして、愛美のほうを見れない。


い、いったいどうしたんだ⁉︎

愛美はアタシを優しく包み込む天使かつ妖精さんのはず!


ワルい魔女に変な魔法でもかけられちまったのか?

ああ……早く、早く元の愛美に戻ってくれ〜!



「百合ちゃん」

「は、はいぃ⁉︎(ビクウッ!)」

「なんか、前髪に虫が止まっちゃったかもしれなくて……ちょっと、確認してくれない?」

「い、いや、なんにも止まってねえぞ(百合子、席に座ったまま確認っ)」

「ふふ……!(鼻で呆れ笑いっ)」

「え?」




「違うでしょっーー⁉︎」



「ひいいっ!(ビクウッ!)」




「そんな所からじゃなくってさぁ……! もっとこう、近くでよく見ないとさぁ……わっからないんじゃないのかなあっ⁉︎(愛美の声&両腕、ふるえっ!)」

「お、おぉう……!」



こ、怖い!

だから、怖いって愛美〜!


松城百合子、怖すぎてチビりそうなんですけどっ⁉︎



……で、でも。



ここは、愛美お嬢様の言うとおりにしよう。

なぜだかわからないが、愛美お嬢様はそれを望んでいらっしゃる!(百合子、愛美の目の前に近づいて前髪をジ〜ッ)



「や、やっぱ、なにも止まってねえぞ」

「あ……じゃあ、髪の中に入り込んじゃったのかな? 前髪の生え際あたりを、ちょ、ちょっと……ワシャワシャ、して、くれる?」

「あ、ああ……(愛美の前髪を優しくワシャワシャ=頭ナデナデ)」

「はっ、はうぅぅぅ……(キュン☆)」

「やっぱり、なんにもいねえわ」

「う、うん……ありがとう」



ふう……(百合子、疲労MAXで席にストンッ)


やれやれ。

本来なら、愛美の髪に触れられるなんて即昇天モノのプレミアムイベント。

なのに、全然至高の時間を味わえなかった。



……で。


また、愛美お嬢様が外を見出したぞ(汗ツ〜)



あ、でも……。



頬杖つくの、やめてる。

雰囲気も、ちょっと柔らかくなった……?



「百合ちゃん」

「はっ、はひっ⁉︎(ビクウッ!)」

「百合ちゃんは、誰かに前髪をワシャワシャされたこと……ある?」

「は、はあ? そんなもん、あるわけねえだろ!」

「ふぅん……そっか」


え?

な、なんだ?

愛美がおもむろにアタシの前に来たぞ?




はっーー!




つ、ついに、なにかお仕置きをされるのか⁉︎


特に身に覚えはないけど!


でもっ!


愛美にお仕置きされるなんて、逆にご褒美だぜえっ!(百合子、変態的な期待を込めて目をギュッ)






ワシャワシャ……(愛美、百合子の前髪をナデナデ)






「……えっ?」

「あ、頭にホコリがついてたから。とってあげたよ」

「は、はあ……(百合子、キョトン&赤面っ)」

「……へへ。これで、百合ちゃんの前髪を最初にワシャワシャした人は……私に認定だね?(あなたの前髪をワシャワシャした1番目をゲットしたから、今回はギリ許してあげるんだからねっ? 的な照れ顔エンジェルスマイルでニコッ♡)」




ドボフンッッッーー!(※注 百合子の頭の中が爆発しました)




ーーその後、百合子が昇天したのは言うまでもない。






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