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アタシの愛美に手を出すな!〜百合子が初恋した話〜  作者: 碧木美月


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27/48

27.クールなアイツ(後編)



ーーチラ。



はい、18回目ぇ。




ーーチラ。



はい、19回目ぇ。






…………。


え〜。

これ、なんの回数かというとですね。



なんの回数かというと……!






そうっーー!






つめたい やさが、今朝から愛美のほうをチラ見した回数だあっっっ!!!






朝からずっと、チラチラ見てきやがって……。


まだ2時限目だというのに、その回数はすでに20回間近だ!


周りにバレないよう最小限の動きでチラ見してるつもりだろうが、アタシにはバレバレだぜっ!




ーーチラ。



はいぃぃっ!

20回目に到達ぅぅぅっ!




…………。


わかる。

わかるぜ、爪大河。


お前にいったい、なにが起きたのか。




そう。


なにを隠そう。


お前は。


愛美に。


愛美にっ……!






愛美に、恋をしてしまったんだあぁっっっーー!!!






普段は自分を恐れて誰も寄りつかないのに、愛美は親切にもハンカチを拾ってくれた……(※前話参照)


その優しさに胸を撃ち抜かれ、あっという間に愛美を好きになっちまったんだろ!


ちなみに、ぶつかった後の愛美の発言も胸キュンポイントが高かったと見る!


普通ならぶつかった相手に「大丈夫?」ってくトコロ、愛美は「痛くなかった?」って訊いてた。


自分より小さい華奢きゃしゃな妖精の少女からそんなこと言われて、胸がキュンとしないヤツなどいない。

 





ーーだがっ!






残念ながら、お前のそのあわい恋が実ることはないだろう。



なぜなら。


アタシが。


絶対にっ……!






絶対に、愛美に手を出すことを許さないからだあっ!!!






つーかよぉ、爪大河!


お前は硬派なヤンキーだと思っていたが、実はそうじゃなかったようだな!


残念ながら、お前の正体はこうだったようだ。


誰に対しても冷徹なクセに、惚れた女にだけはなぜか優しいという恋愛漫画の定番キャラ……。




そうっ!


お前の正体はっっっ!






恋愛不器用ツンデレ野郎だあっっっーー!!!






……そして、かぶってる。



かぶってるんだよ、そのキャラはアタシとよおっ!




同じキャラはクラスに2人もいらない!

不器用ツンデレキャラとして、愛美と結ばれる運命にあるのはこのアタシなんだ!


……たぶん(願望っ)




と、いうことでっ!


お前は愛美に寄ってきた変な虫と認定して、完全排除させてもらうぜーー!




◇◆◇◆◇




ピンポンパンポーン♪(2時限目、終了っ)




で、結局。


現時点で恋愛不器用ツンデレ野郎が愛美をチラ見した回数は27回。

これはちょっと、見すぎですねぇ……お兄さん!



ーーなのでっ!



松城百合子、ただ今より厳重注意に向かいます!

さあ、覚悟しろよぉ……!(首、ポキポキィ!)



「ん……?(爪大河くん、なにやら気配を察知っ)」






ズズイッッッ!(百合子、爪大河くんの横に仁王立ちして眼力ドォォォンッ!)






「ひっーー!(爪大河くん、驚きっ!)」

「よぉ……ちょっとイイか?」

「あ、あんっ……?」

「テメエ、今朝から何回もこっちをチラチラ見てっけど……どういうつもりだっ? ああんっーー⁉︎(さらにプラスで眼力ドォォォンッ!)」






「っっっーー!!!(クラス全員、ビクウッ!)」






「ゆ、百合、ちゃん……?(愛美、目を丸くしてポカ〜ン)」



驚かせちまってすまねえ、愛美。

だが、これもお前を変な虫から守るためーー!



「べ、別に、お前なんか見てねえよっ!」

「ほぉう……じゃあ、いったい誰を見てたんだ? 27回もよぉっっっ!」

「っーー!(か、数えてたのぉぉぉ⁉︎ 的に爪大河くん、赤面っ!)」






シ〜ン…………。






「へ、変な言いがかりつけてきてんじゃねえ! 誰がンなことするかっ!(爪大河くん、焦っ)」

「…………(百合子、超絶眼力で圧っ!)」

「ぐっ……!(爪大河くん、がんばって対抗の眼力ドォン!)」






ゴゴゴゴゴッッッ……!(2人のメンチ切り合戦に、クラス全員ガクブルッ&生つばゴクリッ!)






「ヤ、ヤバイ、まさかのクラス内バトル勃発……⁉︎(クラスの女子A)」

「ど、どっちが勝つかなっ?(クラスの女子B)」

「えっ? そ、そりゃ松城さんでしょ。だって、この学校最強のヤンキーだよっ?」

「でも、絶対零度ウルフににらまれたら、さすがの松城さんでも……」



なかなか粘るじゃねえか、恋愛不器用ツンデレ野郎さんよぉ。


……だが。


実はチラ見してたのがバレてうろたえてるんだろ?


その真っ赤な顔と、微妙に揺れる目ん玉がなによりの証拠だぜ!



「……ちっ!(爪大河くん、ついに耐えきれず席を立って教室から出ていきっ)」






「おおおっーー!!!(クラス全員、どよめきっ)」






「つ、爪大河のほうが先に折れた!(クラスの女子A)」

「あ、あの絶対零度ウルフに睨まれてビクともしないなんて……お、恐るべし、松城百合子!(クラスの女子B)」



ふん。

シッポを巻いて逃げたか。


結局、愛美をチラ見したことは認めなかったな。


まあイイ。

この松城百合子がいる限り、何人なんびとたりとも愛美に近づくことはできないぜ!




◇◆◇◆◇




ピンポンパンポーン♪(昼休憩)




……うむ。


恋愛不器用ツンデレ野郎のヤツ、あれから愛美をチラ見しなくなったな。


だが。

油断は禁物だ。


ああいう硬派な一匹狼タイプは、なんせ人付き合いに慣れていない。


ゆえに、相手との距離感がわからず突っ走って暴走する可能性大だ。


……アタシみてえにな(汗)


とりあえず、まだまだ要注意に変わりはない。






ーーガタッ(愛美、席立ちっ)






んっ?


愛美が席を立ったぞ。

こうしちゃいられない、後ろからコッソリ見守らなければ!






ーーガタッ(爪大河くん、席立ちっ)






はっっっっっっ!!!




な、なんだっ?

恋愛不器用ツンデレ野郎も席を立ちやがったぞ⁉︎


ぐ、偶然かな……。






サササッ!(爪大河くん、音速で廊下に出て行きっ)






な、なんだ⁉︎

あの動きはっ!


いつもかったるそうにノソノソ歩いてるヤツが、めっちゃ素早く教室から出て行ったぞ⁉︎


それも、先に席を立った愛美よりも早く!


い、いったいなにをしようとしてるんだ?

恋愛不器用ツンデレ野郎め……!




ダダダッーー!(百合子、光速で廊下に出て行きっ)




す、すでにヤツの姿はない……!

だが、向かって行ったのは愛美と同じくトイレの方向だった。



トイレの方向……。




…………。






はっっっーー!!!






わ、わかったぞ!


恋愛不器用ツンデレ野郎の目論見もくろみがーー!




お前、あたかも偶然を装って、昨日と同じ場所でまた愛美とぶつかるつもりだろぉっっっ!




な、なんてことだ……。


愛美をチラ見できなくなったがゆえ、その代替手段として再度のボディ接触を狙うとは!


好きになった可憐な少女と、どうしてもコミュニケーションを深めたい。


でも、どうコミュニケーションを取ったらいいかわからない。


だから、好きになったキッカケと同じシチュエーションを再現しようってことか!




……わかる。


わかるぞ、恋愛不器用ツンデレ野郎。




不本意だが、アタシとお前はキャラがかぶっている。

だから、考えてることも手に取るようにわかる!


人付き合いが苦手なうえに口下手だと、どうしてもそういう思考回路になるんだよな……。


お前の境遇に立たされたら、きっとアタシも同じことを考えただろう。



ーーだが!



た、体育会系すぎる!

小説が好きな文化系少女に、その方法は体育会系すぎるんだよ〜!


偶然起こった出来事にこそロマンスは生まれるワケであって、何度も同じ手を使っちゃ逆に引かれるだけなのさぁ……(※注 百合子は意外と乙女心がわかる女です)




……はっ!




い、いかん。

そんなことを考えてる場合じゃない。


このままじゃ、あの廊下の曲がり角でまた愛美が恋愛不器用ツンデレ野郎とぶつかってしまう!


なんとしても、それを阻止せねばっ!






シュババババッ!(百合子、光速で愛美の目の前に移動っ)






「えっ⁉︎ ゆ、百合ちゃん……?」






ドンッーー!(百合子と爪大河くん、廊下の曲がり角でぶつかりっ)






「あっ、わ、わりぃ(爪大河くん、しらじらしく頭をかきながら謝りっ)」

「……いてえじゃねえか」

「えっ……?」

「どこ見て歩いてんだ? この、クソ野郎……!」

「っっっーー!!! ま、松城ぉぉぉぉぉ⁉︎」




……ふん。

このリアクション。


やっぱり愛美にぶつかろうとしてたんだな。

そう簡単に愛美とボディ接触ができると思うなよっ!




「……ジャマだ、とっとと失せろ!(百合子、眼力ドォォォンッ!)」

「あっ、ああ……!」




スタスタ……(爪大河くん、思わぬ展開にポカ〜ンとしながら教室の方へ戻りっ)






「ま、待ってーー!」






えっ⁉︎


な、なにっ?

愛美が恋愛不器用ツンデレ野郎を呼び止めたぞっ⁉︎




「な、なんだよ……?(爪大河くん、ドッキドキで振り返りっ)」

「あの…………」




あ、あの?


あの、なにいぃぃぃーー⁉︎




まさか、2人の間にラブロマンスが生まれようとしているのかっ⁉︎


そ、そんなのイヤっっっーー!






「あ、あの……危ないから、ちゃんと前を見て歩いてね!(注意っ)」




「ーーへっ?(爪大河くん、ポカ〜ン)」






……え?


あ、あれ?


ちゅ、注意?


まさかの……注意?






プシュウゥゥ……(爪大河くん、意気消沈して魂が半分抜けっ!)






おわあっっっ!

れ、恋愛不器用ツンデレ野郎が灰色になったーー!



こ、これはヤバいぞ……。

ヤツの受けたダメージは、もはや計り知れない。



愛美から呼び止められた瞬間、恋愛不器用ツンデレ野郎はきっと根拠もなく甘酸っぱい展開になることを期待したはずだ。



だが、しかしーー!



そんな期待をあざ笑うかのように、かけられた言葉はまさかの注意。

なんなら、チョット怒り気味のトーンで。



……たぶん。

恋愛不器用ツンデレ野郎はこう思ったに違いない。




あ。


俺、嫌われたーーと。




だって、アタシだったら絶対にそう思うもん。

そんでもって、そのまま数年は立ち直れないだろう。


……な、なんか。


あの魂が半分抜けた灰色の背中を見ると、チョット同情しちまうぜ。




とりあえず。


愁傷しゅうしょう様です(チ〜ン)




「百合ちゃん」

「はは、はいっ⁉︎」

「あ、あの、大丈夫? ぶつかったの、痛くなかった?」






ドズッキュウウウウウウンッッッーー!!!(※注 ただいま、百合子の胸を桃色ハートの弾丸が貫いていきました)」






「っ…………(百合子、胸を押さえてプルプル)」

「ゆ、百合ちゃんっ? どうしたの⁉︎」

「……い、いや、なんでもない。大丈夫だ」



な、なんという破壊力だ……。

愛美の「痛くなかった?」マグナムーー!


これにヤラれたんだな、恋愛不器用ツンデレ野郎よ。


同じ胸を貫かれた者同士、改めて失恋した心中お察しします……。




「なんか、昨日から2人して爪大河くんにぶつかっちゃったね」

「そ、そうだな」

「廊下の曲がり角には気をつけなくちゃ、ダネ」

「あ、ああ、お互いにな」

「でも……」

「……でも?」

「百合ちゃんとだったら、毎日ぶつかりたいな……な、なぁんて!(冗談っぽくはぐらかしたけど、実はホントにそう思ってるんだからねっ? 的な照れ照れエンジェルスマイルでニコッ♡」




ドボフンッッッーー!(※注 百合子の頭の中が爆発しました)




ーーその後、百合子が昇天したのは言うまでもない。







……そして。




実は、これが人生初めての恋だった爪大河くん。


あっけなく2日で散った、寡黙かもくで不器用な男の初恋よ。


フォーエバー……。






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