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アタシの愛美に手を出すな!〜百合子が初恋した話〜  作者: 碧木美月


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24.ハチミツと大根



アタシは今、猛烈に動揺している。




なぜなら。


そう。


隣りに。






愛美がいないからだっーー!!!






ど、どうしたんだっ⁉︎


いつも必ずアタシより早く登校しているというのに、まだ愛美が来てないじゃないか!

早く来ないと、朝のホームルームが始まっちまうぞ⁉︎



「ねえねえ(クラスの女子A)」

「ん?(クラスの女子B)」

「松城さん、なんか今日ヤバくない?」

「えっ? 松城さんならいつもヤバいでしょ」

「そうじゃなくて、ほら、あれ……」



あわあわあわあわあわっ……!


まな、まな、まな、愛美ひぃ〜!(オロオロオロッ)



「うわっ!」

「……ねっ、ヤバいでしょ?」

「メ、メチャクチャわかりやすくうろたえてる……」

「なんかよくわかんないけど、とりあえず目を合わせない方がいいよ(額から汗ツ〜)」

「ぎょ、御意……(ゴクリ)」



はわわわわっ……!

愛美ぃ、ああ、愛美ひぃぃぃ〜!(オロオロオロッ)




◇◆◇◆◇




「えー、凛咲は風邪のため今日は欠席です。それじゃあ、今朝の連絡事項だが……」


へっ……?

ま、愛美が、風邪?






…………。






い、いやあああああっっっーー!!!






そそ、そんなあああっっっ!


愛美が、かかっ、かっ、風邪だなんて!

どどっ、どうしよう⁉︎


き、緊急事態!

緊急事態発生っーー!!!


もし愛美の体になにかあったら、アタシはこれから先どうやって生きていけばいいんだよぉぉぉぉぉ……!(机に顔を伏せてガクブルッ)



「ねえ見て……あれって、泣いてるのかな?(クラスの女子A)」

「さ、さあ……でも、なんか震えてない? 泣いてるんじゃなくて、実はメチャクチャ怒ってるとか……(クラスの女子B)」

「とりあえず、今日は後ろを振り向かないほうがいいかも。目が合ったら、たぶんヤられるよ?(額から汗ツ〜)」

「ぎょ、御意……(ゴクリ)」




◇◆◇◆◇




ピンポンパンポーン♪(下校の時間)



はああ……。


愛美のことが気になりすぎて、今日一日なにがあったかまったく覚えてねえ。


愛美がいない学校なんて、もはや重力がない地球と一緒だよ……(※注 百合子はちょっと意味がわからない例えをしております。ご了承ください)


明日は来るかなあ? 




……大丈夫。

きっと来る。


入学式の時も、休んだのは1日だけだったし!(※第1話参照)




うん、明日は絶対に来る!

よーし、なんか希望がわいてきたぞ!




……けど。




明日が来るのをタダ待つだけってのも味気ねえな。

愛美のために、なんかしてあげたい。


そうだな、たとえば風邪に効きそうな食べ物を作ってあげるとか?

う〜ん、風邪に効きそうなものといえば。




…………。




サッパリ思いつかん(チーン)


そりゃそうだ。

アタシは生まれてこのかた料理などしたことがない。


つーか、家庭科の調理実習ですら完全に放棄してきたからな。

料理に関する知識など皆無と言っても過言ではない。




ーーだが。




それでも、アタシはやってやるぜえっ!!!


太陽よりも熱くて大きい、この愛美へのLOVEさえあれば不可能などない!


松城百合子、愛する女のために人生初の料理にチャレンジするんだあっーー!




◇◆◇◆◇




ピンポンパンポーン♪(百合子、帰宅っ)



よし、材料は買ってきた。

ネットで調べまくって1番ビビッと来たやつ。


そう。






ハチミツ大根ーー!






材料はハチミツと大根だけ。

このシンプルさよ!

これなら料理経験がないアタシでも大丈夫なはずだ。


作り方は熟読した。

大根を1センチ角に切って、ハチミツにつけるだけ!


まずは、大根の皮をこのよくわかんねえアイテムでいて……っと(※注 百合子の辞書に、ピーラーという文字は存在しません)


んで、上と下を適当に切る。


そして、1センチ角に切りやすいように、まずは1センチの輪切りを作る。




えっと……で。


1センチって、どれぐらいだっけ?


アタシの小指の爪ぐらい?


いや、微妙に違うような気がする。






…………。






うん……。


わからん。


わからんぞ、コレはーー!




ど、どうする?

アタシが熟読したランキング1位のレシピには、大根を1センチ角に切るって書いてあったぞ⁉︎


ランキング1位になるぐらいだ、きっとその大きさがハチミツ大根における黄金比に違いない!(※注 いまだかつて、1センチ角がハチミツ大根の黄金比だと提唱した人はいません)


やはり、ここはきっちり正確な1センチ角に切っていくことはマスト!


そうとなれば、あれが必要だ!




◇◆◇◆◇




ピンポンパンポーン♪(愛美、文房具を持って再見参!)



よし、三角定規を持ってきた。

これで1センチを測っていくぞ!


えっと……ここだな。

ちょうど1センチ。

でも、どうやってココを大根にマーキングしよう?



……爪で押して、印をつける?



いや、ダメだ!

愛美への愛情込めた一品に、そんな雑で乱暴なことはできない!


ならば、どうする⁉︎




…………。




そうだ、爪楊枝つまようじ


爪楊枝でマーキングしよう!

いいぞ、冴えてるぜアタシ!


1センチの所に爪楊枝で印をつけて……と。


ふう、これでよし。

それじゃあ、1センチの輪切りに切るぞ!




ザッ……ク。




う〜む、まっすぐ切るのもなかなか難しいな。


よし、それじゃあこの輪切りをさらに1センチ角のブロックに切っていくぜ!




◇◆◇◆◇




ピンポンパンポーン♪(20分後)



ザッ……ク。

ふううう……(額の汗グイッ)




ザッ……ク。

ふううう……(額の汗グイッ)






……………。






つ、疲れたあぁぁーー。




やっと、最初に切った輪切りを1センチ角のブロックに切り分けられた。



……でも、ですね。






チラッ(これから切る残りの大根が、ドンッーー!)






ま、待って。

ちょっと、待って。


これ、あと何回繰り返せばゴールにたどり着くんだあっっっーー⁉︎




ひ、1つの輪切りを1センチ角のブロックに切りわけるだけで、こんなに時間がかかったんですけど。




……なのに。




大根は、まだめちゃくちゃ残ってるーー!




も、もう大体でいいかな?

今切ったのを見ながら、あとはもう大体の目測でイケばいいかな?






ーーいや、ダメだ!






目測じゃあ、ちゃんとした1センチ角にならない!


正確な1センチ角という黄金比を実現してこそ、愛美に提供する価値が生まれるんだ!(※注 繰り返しますが、いまだかつて1センチ角がハチミツ大根の黄金比だと提唱した人はいません)


幸いにも、今日は親の帰りが遅い。

ここは妥協せず、全部正確な1センチ角に切ろう!


待ってろよ愛美、人類史上で最高のハチミツ大根を作ってやるからな〜!




◇◆◇◆◇




ピンポンパンポーン♪(3時間後)



ザッ……ク。

ふううう……(額の汗グイッ)




ザッ……ク。

ふううう……(額の汗グイッ)




で、できたあ……!

ついに、全部1センチ角のブロックに切り分けられたぞ〜!!!(感涙っ)




……で、でも。


これ、なんかボリュームすごくねっ?




大根まるまる1本って、細かく切ってもこんなボリュームになるもんなのか⁉︎(※注 そうですね)


ま、まあイイ。

このボリュームは、アタシの愛情の大きさと一緒ってことで。


あとは、この大根をタッパーに入れて、ハチミツをたっぷり注ぎ込んで1日寝かせる!


そして、明日になったら百合子特性の愛情たっぷりハチミツ大根を食べてもらうんだっ!


待ってろよ、愛美ぃぃぃ〜!




◇◆◇◆◇




ピンポンパンポーン♪(翌朝)



「えー、凛咲は今日も風邪のため休みです。それじゃあ、連絡事項に移ります……」




チーン。




ーーその日、百合子が獲物を待ち構えるハシビロコウの如く、無と化して動かなかったのは言うまでもない。






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