21.遊園地パニック!(みんなドッキリ⭐︎お化け屋敷編)
「それでは次でお待ちのお客様、こちらから中へお入りくださぁい」
……き、来た。
ついに、この時がーー!
も、もう後戻りはできない。
でも。
後戻りしたひいぃぃぃ!
「……ここのお化け屋敷ね、全国の遊園地の中でも怖いって有名らしいよ」
え。
…………。
なにいぃっっっっっっーー⁉︎
こ、ここでえっっっ⁉︎
ここで、そんな情報ぶっこんでくるうぅっっっ⁉︎
ま、愛美お嬢様!
それは、もはやSMプレイの領域でございますぞ!
震える子犬状態の私目に、なぜそんな強烈なムチを⁉︎
……え。
待って。
SMプレイで、ムチって。
そうなると。
当然、愛美お嬢様は網タイツを履いて、パッツンパッツンのボンデージに身をまとわれているワケで。
そして。
鋭利なヒールで、四つんばいの私目を踏みつけておられるワケで。
そんなこんなで。
愛美お嬢様は、愛美女王様に変身されたワケで。
愛美、女王様に……。
愛美女王様にっっっーー!
あ、あ……あっ……!(※注 皆さんお察しのとおり、百合子は妄想の世界へとフライトいたしました。しばしお付き合いください)
『ほらぁ! どうなんだいっ? この欲しがりのメスイヌがっ! こういうギリギリの場面で痛めつけられるのが興奮するんだろっ⁉︎(パシィィィンッ!)』
は、はいぃぃぃぃぃぃ!
そのとおりでございますうっ!
ど、どうか、この罪深き超ド変態な小娘を、その黒くしなやかなムチでもっと戒めてください!
『あん……? 誰に指図してんだい? この薄汚いメスイヌがっ! お前なんかにこのムチをこれ以上くれてやるワケがないだろう』
えっ……?
『お前にくれてやるのは……コレだよっ!』
トロオォォ〜リ(真紅のロウソクから、たっぷりのロウが百合子の首すじにぽたぽたっ!)
うわ熱っちゃあああああっっっ!!!
『はあっーはっはっは! こりゃあイイ、珍しい鳴き方をするメスイヌだよ! さてはお前、新種のワンちゃんかい? さあ、その珍しい鳴き声でもっと私を楽しませてごらんっ!(再びたっぷりのロウをぽたぽたっ!)
うわ熱っちゃあああああっっっーー!!!
っちゃあああっーー!
ちゃああーー。
ちゃあ……。
…………………。
ん……。
ちゃんーー。
りちゃんーー!
「百合ちゃんーー!!!」
ーーはっ!!!
「だ、大丈夫⁉︎ 百合ちゃん!」
「あ、ああっ……」
ヤ、ヤバイ!
つい快楽の園にぶっ飛んじまった!
あ、あっぶねえ……。
つ、つーか。
お化け屋敷にイン直前であるこの状態で、こんなとんでもない変態的妄想をするとか……。
も、もはや、自分が怖い。
実は、お化けよりも怖いのはアタシ自身の方なんじゃねえのか?(※注 そうですね)
「じゃ、じゃあ、入ろうか?」
「おおぉ、おおおおう……!」
◇◆◇◆◇
ピンポンパンポーン♪(百合子&愛美、ついにお化け屋敷内に突入っ!)
う、うぅぅぅ……!
なんだ、この世のものとは思えないオドロオドロしい空気感は……!
そ、それに、腹立つぜ!
イチイチ恐怖感を数億倍に増幅させるような不気味なBGMを流しやがって……!
どういうつもりだっ⁉︎
遊園地の運営陣さんよおっっっ!(※注 お化け屋敷とは、そういうものですが……)
と、とにかくっ。
怖すぎて耐えられなひぃぃぃ!(泣)
「お、思った以上に……なんか、怖いね」
ーーはっ!
な、なにをいつまでおびえてるんだ!
いついかなる時も、愛美を守ることがアタシの指命!
こんな調子で怖がってちゃ、愛美にもそれが伝わっちまうじゃねえか!
「そそ、そうかっ⁉︎」
「ゆ、百合ちゃんは、大丈夫なの?」
「ま、まあ、別に……(ヒクヒク)」
「そうなんだ……頼もしい、な」
ウ、ウソですうっーー!
ホントは、今すぐ口から心臓が飛び出るぐらいドキドキしてますぅ〜!
ガサッ……。
っっっーー!!!
なな、なんだっ?
今なんか変な音がしなかったか⁉︎
き、気のせいかな……。
「ゔぅあああああっっっーー!!!(暗闇から、お化け役のスタッフがジャジャーンッ!)」
っっっっっっっっっっっーー!!!(百合子の両目、衝撃で10センチ飛び出しっ!)
「ぐぅおらあああああああっっっっっっーー!!!(※注 百合子は魂の叫び声を放った!)」
「ひいぃっっっーー⁉︎(愛美&お化け役のスタッフ、超絶ビクウッ!)」
ふぅ、ふぅ、ふぅっっっ……!(※注 百合子は荒すぎる鼻息で、お化け役のスタッフを威嚇している!)
「ぐ、ぐうぅぅ……!(お化け役のスタッフ、緊張感あふれる汗が額からツ〜&ジリジリ後退して暗闇の中へ消えっ)」
…………。
はあぁ……(肩の力、ガクッと抜けっ)
な、なんだ、今のは。
あんなの出てくるなんて、聞いてないんですけど⁉︎
しかも。
すんげえ至近距離まで近づいてきたぞ、あのお化け!
ただでさえ怖いっつーのに、余計なことしてきやがって……。
いったいどういう教育してんだ⁉︎
遊園地の運営陣さんよおっっっ!(※注 ですから、お化け屋敷とはそういうものですが……)
「ゆ、百合ちゃん、大丈夫……?」
「お、おう、興奮してアドレナリンが出るぜ!」
「そそ、そっか……」
そう。
あくまでも愛美の前では毅然と振る舞うんだ!
間違っても実は怖いってことを悟られちゃイケナイ!
……ん?
なんだ、これ。
道がふた手に分かれてるぞ。
…………。
と、どっちにいけばイイんだあっっっーー⁉︎
なな、なにこれっ?
どういうことっ⁉︎
どっちかが正解で、どっちかが不正解ってこと⁉︎
くそっ、こんな小細工してきやがって……。
イチイチ腹が立つぜっ!
「ど、どっちに行く? 百合ちゃん」
「えっ? ア、アタシは別にどっちでも……」
「う、う〜ん……じゃ、じゃあ、左……?」
す、すみませぬ、愛美お嬢様〜!
なにからなにまであなたに決めさせてばかりで……。
ですが、こんな重要な選択など私目にはとてもできませぬ〜!
◇◆◇◆◇
スタスタスタ……(百合子&愛美、左方向にゆっくり進行開始っ♪)
ど、どうなんだ?
左方向に来たけど、正解なのかっ?
つーか。
もはや。
なにが正解で、なにが不正解なのかがわからん。
どっちにしても、とにかく怖いんだよおっ!(泣)
ガサッ……。
っっっーー!!!
ま、まただっ!
またなんか変な音がしたぞ⁉︎
こ、今度は気のせいであってほしい……!
「ゔ、ゔぅあああ……!(暗闇から、お化け役のスタッフがジャジャーンッ!)」
っっっっっっっっっっっーー!!!(百合子の両目、衝撃で20センチ飛び出しっ!)
「どぅわっしょおおおおいっっっっっっーー!!!(※注 百合子は魂の叫び声を放った! part2)」
「ひいぃっっっーー⁉︎(愛美&お化け役のスタッフ、超絶ビクウッ! part2)」
ぐるるるるっっっ……!(※注 百合子は獣のごとく喉を鳴らし、お化け役のスタッフを威嚇している!)
「ぐ、ぐむうぅぅ……(お化け役のスタッフ、おじけづきながら後退して暗闇の中へ消えっ)」
…………。
はあ……(肩の力、ガクッと抜けっ)
やっぱり、今度もお化けだった。
……も、もたない。
アタシの心臓が、そろそろもたないぞおっ!
「あ、あの、百合ちゃん、だだ、大丈……夫?」
「ああんっ? 当ったりめえだろ! さあ、次はどんなヤツが来るんだっ……⁉︎」
「は、はは、は……」
ダ、ダメだ。
完全に、頭が、酸欠、状態、なんです、けど……。
まだ、ゴールに、たどり、着かないん、ですかぁ?
ガサッ……。
っっっーー!!!
おいおいおいっ……!
も、もう次のお化けさん登場ですか⁉︎
なんか、前回からインターバル短くねえっ⁉︎
い、いやっ。
今度の今度こそ、ただの空耳であってほしい……!
「ゔ、ゔぅあああーー、あ、う……(暗闇から、お化け役のスタッフがだいぶ控え目にジャジャーンッ!)」
っっっっっっっっっっっーー!!!(百合子の両目、衝撃で30センチ飛び出しっ!)
「はあぁいやああああああっっっっっっーー!!!(※注 百合子は魂の叫び声を放った! part3)」
「ひいぃっっっーー⁉︎(愛美&お化け役のスタッフ、超絶ビクウッ! part3)」
シャアアアアッッッ……!(※注 百合子は化け猫のごとく、八重歯を光らせスタッフを威嚇している!)
「ふ、ふみゅうぅぅ……(お化け役のスタッフ、おびえる小動物のようにソッコーで暗闇の中へ消えっ)」
はあ……(肩の力、ガクッと抜けっ)
げ、限界。
ギブアップ。
許しておくんなせえ……。
つーか。
今気づいたけど。
襲いかかってくるお化けの勢い、段々弱くなってね?
それに、最初はあんだけ至近距離まで近づいてきてたのに、どんどんアタシたちから距離を置くようになってるような……。
……って、そんなワケねえか。
きっと、あまりの怖さに感覚がおかしくなってんだな(※注 百合子の魂の叫びと威嚇が、後続のお化け役スタッフを震え上がらせたことを本人は知りません)
とりあえず。
もう。
そろそろ。
勘弁して……。
◇◆◇◆◇
ピンポンパンポーン♪(百合子&愛美、お化け屋敷から無事脱出っ)
「はい、お疲れ様でした〜。こちらから出口のほうへお通りくださぁい」
…………。
お、おわつた。
ようやく、おわつた。
な、長かった……(ゲッソリ)
なんか。
あれからお化け、全然襲いかかってこなかったな。
やっぱ、左方向に進んで正解だったのかな?
なにはともあれ。
愛美お嬢様。
楽しんでくれたかな?
「ど、どうだった……?(遠い目で愛美に質問っ)」
「え? あ、うん……楽しかった……よ(同じく遠い目で回答っ)」
……あれ。
なんか。
言葉とは裏腹に。
不満足感がダダ漏れなんですけど。
やっぱ。
アタシが無理してたのモロバレだったのかな。
トホホ……(泣)
◇◆◇◆◇
ピンポンパンポーン♪(百合子&愛美、帰りの電車に乗車っ)
はあ……疲れた。
あんだけ楽しみにしてた遊園地デートなのに。
終わってみれば、ただの疲労感しか残ってないって……どういうこと?
メリーゴーランドで辱めを受け。
ジェットコースターで失神し。
そのまま空気を読まず良質な睡眠をとり。
そして。
お化け屋敷で無理した結果、愛美を呆れさせる。
……なんじゃ、これ(苦笑)
夏休み最後の思い出づくりだったのに、愛美もきっと残念な感じしかないだろうな……(ガックシ)
今だって、せっかく2人用の席に隣り合って座れてるのに、申し訳なさすぎて全然この状況を楽しめない……。
とりあえず、愛美に謝っておこう(ショボン)
「あ、あのさ」
「ん……?」
「今日は、すまなかったな」
「え? な、なにが……?」
「いや、ほら……色々と、みっともねえトコ見せちまって。それに、土産コーナーに寄る時間すらなくて……楽しむにも楽しめなかっただろ」
「っ…………」
いいんだぜ?
思ってること、正直に言ってくれてーー。
「そんなこと、ないよ」
「えっ……?」
「私は、とっても楽しかったよ? 今までで、1番最高の夏の思い出になった」
っーー。
ま、愛美……。
「それに……お土産なら、ここでちゃんともらってるよ」
「こ、ここで……?」
「うん。百合ちゃんの……トナリ(百合子の肩に自分の頭をピタッ……と、優しくエンジェル預けっ♡)
ドボフンッッッーー!(※注 百合子の頭の中が爆発しました)
ーーその後、百合子が昇天したのは言うまでもない。(ドタバタ遊園地編、これにて完結♪)




