17.ドキドキ花火大会(大輪の想い編)
「はあ〜、食べた、食べた! 焼きそばにポテトにカキ氷。お祭りを満喫してるって感じで幸せ〜!」
「そやなあ、さくらにつられてウチも食べすぎたわ」
「あっ、射的だ。懐かしい〜!」
「ホントだ〜、最近あんまり見なくなったよね」
「やろやろ! 今度いつできるかわかんないよ?」
「……やば、さくらの童心をあおってしまった」
「ねえ、愛美ちゃんもやろうよ! 1人3回まで撃てるって!」
「えっ? ああ、うん」
「あ、よ、よかったら、松城さんも、ど、どうっ?」
「……興味ねえ」
「で、ですよねっ〜!(さくら、汗ぶっわ〜!)」
「あと、男子と女子でどっちがたくさん景品取れるか勝負しようとか……そんなの、いらねえからっーー!(草中君に視線をギンッッッ!)」
「えっっっ⁉︎ ああ、うん! もう、いいよね、そういうのは!」
……ふん。
どうせ、またやろうとしてたんだろ。
同じ手はくわねえっつーの!
◇◆◇◆◇
パンッッッーー。
「はあ……全然だめだ」
「どれ狙ってるの? 凛咲さん」
「え? あっ……草中、君」
ピクピクピッッックウウウーーン!!!
なに……。
勝手に……。
愛美に……。
話しかけてんだ……?
ロールキャベツ……!
くそ野郎おおおっっっ!!!
「あ、えっと……あの、ペンギンのキーホルダーを」
「ああ、あれか。小さいけど重量がありそうだね……よかったら、狙いやすい構え方を教えてあげるよ(愛美の腕に自分の腕をナチュラルにスゥ〜)」
「えっ⁉︎ あ、でも、もう、弾は……!」
ズバッキュウウウウウゥウウウウンッッッーー!!!
「っっっーー!!!(草中君の目の前を、高速の弾丸がビューンッ!!!)」
チ、チラ……(草中君が、弾丸の飛んできた方へ怯えながら顔をソロ〜)
ズウゥゥゥンッッッーー!!!(そこに、銃を構えた百合子が仁王立ちでドォンッッッ!)
「あ、あれえっ……⁉︎ ま、松城さん、射的、興味、なかったんじゃ?」
「それが出たんだよぉ……急になあっ!!!」
「そ、そう、なの?」
「なんか……文句でもあんのかっ⁉︎(ギロッ!)」
「い、いや、別に!」
「……邪魔だ、どけっ!」
「は、はい〜!(ピュ〜!)」
ふうっ……。
ったく、油断も隙もありゃしねえ。
本当なら、てめえのこめかみに向けて弾を撃ち込んでやりたかったぜ!
……つーか。
もう。
ゲーム系のやつに食いつくのは勘弁な、藍川さくら……。
◇◆◇◆◇
「アサミ、今何時?」
「ああ、えっと……7時半」
「そろそろ花火を見る場所を取りに行こっか。私、いい場所を知ってるんだ!」
「そういえばさくら、毎年来てるってゆうてたなあ」
「うん。ちょっと人ゴミを抜けないといけないんだけど、綺麗に見える穴場スポットがあるんだ。そこでいいかな?」
「もっちのろん! だよね、みんなも!」
はあ……。
やっと花火までたどり着いたか。
長かったな。
でも、ここを乗り切れば終わりだ。
安心しろよ、愛美。
この松城百合子、最後までお前を守りきってみせるぜーー!
◇◆◇◆◇
「うわあ、すっごい人ゴミ……! アサミ、いる?」
「うん、愛美っちも一緒! でも、ほかのみんなは、ちょっと、わかんない……!」
「場所はみんなに伝えて共有したから、はぐれても合流できるはず! とりあえず、進もう!」
「了解……愛美っち、こっちな!」
「ま、待って、小野寺さん……! ああっーー⁉︎」
「あれ? 愛美っち、どこ……⁉︎」
「っっっ……!(ど、どうしよう、小野寺さんと、はぐれ、ちゃった……! うう、苦しい……!)
ガシイッッッーー!(何者かが、アサミとはぐれた愛美の腕をつかんで、グイッ!)
「っっっーー!(イ、イヤッ、誰⁉︎ ヤダッ……怖いっ! やめてっ……やめてぇぇぇ!)」
「大丈夫かっーー⁉︎」
「えっ……?」
「よかった、無事か?」
「百合……ちゃん……」
「すっげえ人ゴミだな。ケガ、なかったか?」
「う、うん」
「どうする? がんばってもう1回抜けてみるか?」
「……ううん。ここで……いい」
「そ、そうか? まあ、お前がいいなら……」
よかった〜!
こんな人ゴミ、華奢な愛美には無理ありすぎだぜ。
つーか。
焦ったぜ。
アタシとしたことが、人混みの圧にやられて愛美を見失ってしまうとは!
……それにしても。
愛美を助け出したのがアタシでよかった。
もしこれが、ロールキャベツくそ野郎だったと思うとゾッとするぜ。
それに。
花火を見る場所なんて、愛美と一緒ならどこだっていいんだようっ〜!(ルンルンルン♪)
◇◆◇◆◇
ヒュウウウウ……パ〜〜〜ンッ!
は、始まった。
人ゴミから少し離れた木の下。
愛美と。
2人きり。
ド、ドキドキ。
しすぎてっ。
アタシの……。
アタシのっ……!
アタシの花火の方が、乱れ打ち状態なんですけどおおおおおっっっーー!!!(※注 百合子の絶妙にフワッとした例えをご了承ください)
「キレイだね……」
「お、おう……」
……って。
愛美の方がな!
花火の光がキラキラ反射するその横顔が美しすぎて、もはや直視できないよ〜っ!
ああ、だめだ……。
破壊力がすごすぎて、頭がクラクラしてきた……!
はっーー!
いかん、いかん!
そういえば、大切なミッションを忘れていた!
邪魔者がいないこの絶好のタイミングで、今こそ「アレ」を渡さなければ!
「あ、あのさ……」
「ん?」
「コレ、やる」
「えっ……⁉︎ コレ、射的の景品の……」
「そのペンギンのキーホルダー、狙ってたんだろ?」
「あ、うん……」
「なんか、たまたま取れたから……やる。アタシも、スーパーボール1個もらったし」
「っ…………」
あ、あれ?
なにもリアクションがないぞ?
…………。
や、やばいっっっーー!
なんか!
なんか、重たかったですか⁉︎
こういうの、しない方がよかったですかっーー⁉︎
「グスッ……」
な、泣いてるっっっーー⁉︎
まま、愛美が泣いてるうううっーー!
や、やっぱり重たかったんだ!
こういうの、重すぎたんだあああ!
どどっ、どうしよう⁉︎
どうしようっつったって、どうしようっ⁉︎
と、とりあえず謝ろう!
今日のこと、トータル的に謝っておこうっっっ!
「……わ、わるかったな、今日は」
「えっ?」
「いや、その……アタシ、色々とわけわかんねえこと言ったり、やったりしただろ? だから……ごめん」
「…………」
なにも言ってくれない……。
嫌われちまったのかな、アタシーー。
「……百合ちゃん」
「えっ?」
「…………(クスッ)」
「……?」
「××××(愛美の声をかき消すように、花火の音がパ〜〜〜ンッ)」
「あっ……ごめん、なんて言った?」
「……ううん、なんでもない」
な、なんだよ、花火のヤツ。
こんなタイミングで大きな音を立てやがって。
愛美、なんて言ったんだ?
気になる、じゃん……。
あっ……。
でも……。
少し、笑ってるーー。
ん?
愛美が空の花火に向かって、銃を撃つように手をかざした……?
「……ばーんっ」
へっ……?
な、なんだ?
それ……。
「今のは、ちゃんと的の真ん中に当たったかなーー」
「えっ?」
「……ううん、こっちの話」
「は、はあ……」
「ねえ、百合ちゃん」
「ん?」
「これが終わったら……2人だけで、帰っちゃお?(下まぶたに意味深な涙のあとを輝かせ、おねだりするようなエンジェルスマイルでニコッ♡)」
パパンパパパパアァァァンッッッーー!(※注 百合子の頭の中の特大尺玉が炸裂しました)
ーーその後、百合子が昇天したのは言うまでもない。(花火大会編、これにて完結♪)




