16.ドキドキ花火大会(正義のジャッジ編)
「あっ、スーパーボールすくいだ! 私、コレめっちゃ好きなんだ〜」
「確かにそういうの好きそうやなあ、さくら」
「ねえねえ、一緒にやらない? アサミ」
「えっ⁉︎ ヤダよ、なんかちょっと、はずいやん?」
「いいじゃん、いいじゃん! やろうよアサミ〜!」
「だ、だから巻き込むのヤメてよ〜!」
「……じゃあさ、こういうのはどう?」
ピクッーー!
なんだ……?
今度はいったい、どんなゲスいこと思いついたんだ?
ロールキャベツくそ野郎っーー!
「男子チームと女子チームで、どっちが多く取れるか勝負する……っていうのは?(ニコオッ……)」
ピクピクッーー!
「いいじゃんそれ、面白そう! やろやろ! ねっ、いいでしょ? 女子チームのみんな!」
「は〜、わかった、わかった。さくらのために乗ったげるわ」
「やったあ! それじゃあ、さっそく女子チームからいこうよ!」
「あ、待って!」
ピクピクピクッーー!
いったい……。
なにを……。
待てと……。
いうんだ……?
ロールキャベツ……!
くそ野郎っっっ……!!!
「よかったら、1対1ずつでやらない? 先鋒戦、中堅戦、大将戦みたいな感じでさ」
ピクピクピクピクッーー!
「なるほど、いいわよ! 受けて立ちましょう!」
「まったく……軽いんやから、さくら」
「……でも、女子チームの方が1人多くて余っちゃうよ?」
その通り!
さすが愛美、冷静な指摘だ!
……ただ。
なんか、よくわかんない。
わかんねえけど。
とりあえず。
アタシの第六感が、1対1の方式はやばいと言っているーー!
「ああ……じゃあ、わるいけど女子チームの1人に審判をしてもらうってのはどうかな? コッソリ手を使って不正をしてないか、とか」
し、審判……だと?
「まあ、それしかないよね。どうする? 女子チームのみんな」
「さくらはプレイヤー確定として、愛美っちはどうする? やる?」
「わ、私は審判でいいかな」
「……いや、凛咲さんはやりなよ?」
ピクピクピクピクピクウッッッーー!!!
「だって、食べられる物も少ないし、こうところで楽しまないと……ねっ?(ニコオッ……)」
こ……。
こっ……。
こっ……!
こっっっ!
こおっっっーー!
こおおおおおのおっ、ロールキャベツくそ野郎があああああっっっーー!!!
なにを勝手に、愛美をプレイヤー側に引き込んでやがんだあああっーー!!!
「そうだね、愛美っちはやった方がいいかも」
ちょ、ちょっと待て、小野寺アサミィィィ!
お前も変に納得して援護射撃とかすんじゃねえ!
「じゃあ、審判はウチがしよっか……?(アサミ、百合子をチラ)」
「ダメだっーー!」
「ひいいいいっ!(アサミ、ビクウッ!)」
「それはアタシの役目だ。お前はやれ、小野寺!」
「えっ⁉︎ ああ、うん……!」
くそ……!
アレよアレよの内に、1対1の方式が決定してしまった!
ロールキャベツくそ野郎がなにを企んでいるか、まだわからない……。
で、ある以上。
ここは常にフリーで動ける審判をやるのが得策だ!
「じゃあ、私さっそく先鋒でいくね! あとの方ってプレッシャーかかってヤダし!」
「あっ、ずるい、さくら! じゃあ、ウチは中堅でいく!」
「えっ⁉︎ ちょっ、わ、私が、大将……⁉︎」
ま、愛美が大将ぉっっっ⁉︎
おいおい、勝手に決めてんじゃねえぞ!
愛美が困ってんだろうが!
……でも。
大将を任されて困ってる愛美も可愛いすぎて、壊れるほど抱きしめたいぃぃーー!
「ははっ……じゃあ、男子チームの大将は僕がいこうかな。この勝負を持ちかけた責任もあるし、1番プレッシャーのかかるところでいくよ(ニコオッ……)」
ブブッブブッチィィィィィィィィンッッッーー!!!
ロンロロロロロロロロロッ、ロオゥゥゥルキャベツくそ野郎っっっーー!!!
なんだっ⁉︎
その率先してイヤなポジションを引き受けます的な発言はぁぁぁーー!!!
「おおっ、オットコ前〜、草中!」
ちっ、違うぞ、藍川さくら!
こいつは愛美との勝負を楽しみたいがために、わざと大将を引き受けたんだあ!
くそっ、イチイチ頭にくる野郎だぜ……!
アタシの爆弾処理発言(※前話参照)を逆手に取るだけでなく、周りに好印象を与える言い方までしやがって……!
……だが。
このまま思い通りにいくと思うなよ、ロールキャベツくそ野郎!
ここに正義の審判、松城百合子がいることを思い知らせてやるぜっーー!
◇◆◇◆◇
「やったあ! 私6個だから1個勝ち〜!」
「ありがとう、アサミ〜! これで一勝一敗の五分だあ〜!」
ふん。
どうでもいい先鋒戦と中堅戦だったぜ。
つーか。
申し訳ねえけど、審判らしいことなど一切してない。
なぜなら。
アタシの仕事は。
ここからの大将戦が本番だからだあっーー!
「さあ、それじゃあ僕たちで最終決戦だね、凛咲さん!」
「あ、う、うん……」
ちっ、嬉しそうに言いやがって……!
もし愛美になんかしようとしたら、神のイカズチのごとく、とびっきり厳罰なジャッジを下してやるぜっっっーー!
「準備はいい? 凛咲さん」
「あ、うん……」
「よし、じゃあ、スタート!」
「(愛美がポイの先を水にチョピ)わわ、えっと、どうしよう……!」
はああああ……!
お、おぼつかない!
おぼつかない愛美の手さばきが、超絶可愛いぃぃぃ!
可愛すぎて、アタシのポイはとっくに破れちまってるぜえぇぇ!(※注 百合子は意味不明なことを言っています。ご了承ください)
「ああ……結構難しいな、どこが取りやすいかな?(ジリッ)」
ピキィンッーー!(百合子の目がキラッ!)
い、今、ロールキャベツくそ野郎の足が愛美の方に1センチ動いたぞ?
ぐ、偶然か……?
「ああ……やっぱり、こっちの方かな?(ジリジリッ)」
ピキピキィンッーー!(再び百合子の目がキラッ!)
こ、今度は、愛美の方に2センチ動いたぞ?
これは、もしや……!
「やっぱり、こっちの方が取りやすそうだ!(ジリジリジリーンッ!)」
10センチッッッーー!!!
…………。
なるほど。
そういうことか。
単純に愛美との勝負を楽しむことだけが目的だと思ってはいなかったが……。
ようやく、てめえの真の目的がわかったぜ。
まず、スーパーボールすくいに熱中していると見せかけて、周りに不自然だと思われないように愛美へと近づく。
そして……。
タイミングを見計らい……。
あたかも……。
自然な形を装って……!
愛美にボディタッチをすることこそが、てめえの真の目的だあああっっっーー!!
な、なんて野郎だ……!
愛美の気高く尊い身体を、そのギットギトに油ぎった肉汁で汚すつもりとは……!
ゲ、ゲスいぃぃぃ!
ゲスすぎて、頭がおかしくなりそうだあぁぁぁ……!
もしもこの世にゲス力発電があったなら、こいつのゲスさだけで全世界100年分の電力が一瞬にして確保できるレベルだ……!
「わわ、半分破れちゃった!」
ああっ!
そうこうしてる内に、愛美のポイが半分破れた!
なのに、まだ1個も取れてないぃぃ!
はああ……可愛い!
そんな愛美が、可愛いすぎるよ〜!
「よし、ここが1番取れそうだ!(草中君、愛美の方へガバッ!)」
はっっっーー!
だめだっ、今はそんな恍惚に浸ってる場合じゃない!
ロールキャベツくそ野郎が一気にボディタッチを狙いにいったぞ!
だがっ!
そいつはちょっと!
ルール違反なんだよおおおおおっーー!
ドスンッッッーー!!!
「うわっ! え、えっ……⁉︎(なにかにぶつかり、そちらの方を見上げる草中君っ)」
ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッーー!!!(そこに、腕組みした百合子が仁王立ちでズゥゥゥンッッッ!)」
「ひいぃぃ! まま、松城さんっ⁉︎(草中君、ビックリ仰天!)
「ちょっと……近いですねえ、お客さんっっっ!!!(超絶ギロッーー!)」
「あああっ⁉︎ ご、ごめん! つ、つい、熱中しちゃって……!」
「てめえの陣地は……そっちだ!!!」
「ああ、うん!(ソソクサと元の位置にヨコヨコ)」
……ふん。
誤算だったな、ロールキャベツくそ野郎。
アタシが今までボールすくい場の端っこで動かなかったのを見て、今のゲスプランを考えついたんだろ。
だが、よく覚えておくんだな。
アタシは愛美を守るためなら、光よりも速く動けるということをーー!!!
◇◆◇◆◇
「最終結果は、1勝1敗1引き分けの勝ち負けつかずか〜。まあ、楽しめたからオッケーだね!」
「さくらはいつでもポジティブやな〜。いっとくけど、ウチの1勝に感謝しなよ?」
愛美、結局1個も取れなかったな。
でも。
そんな愛美が可愛いすぎて、余計に好きになっちまったよぅ!
それに、責任なんか感じなくていいぞ。
ロールキャベツくそ野郎も、横にいるアタシに手がブルって1個も取れなかったから!
ああ……。
ゲッソリしたロールキャベツくそ野郎の顔が、最高に心地いいぜえ……!
「ごめんね、百合ちゃん」
「あん? なにが?」
「私、1個も取れなくて」
「気にすんな、あんなのただの遊びだ。それに、参加賞でスーパーボールも2個もらえたじゃねえか。よかったじゃん」
「うん……」
真面目だな、愛美。
……でも。
そういうトコも、好きだよなあ。
「あのさ」
「ん……?」
「これ、あげる(スーパーボールを1個つまんで百合子にスッ)」
「えっ? コレ、お前がもらったやつだろ?」
「うん……でも、1人だけ審判してくれたお礼」
「(クスッ)……いいよ、そんなの。審判らしいことなんか特にしてねえし。とっとけ」
「っ…………」
……ホント。
優しいな、愛美。
お前のその優しさだけで、アタシはーー。
「……えい(愛美が百合子のジーパンのポケットにスーパーボールを1個グイッ)」
「えっ? あ、おい!」
「えへへ……なお、返品は受け付けておりません」
あ、赤と白のマーブル模様のスーパーボールだ……。
スッーー(愛美が同じ色と模様のもう1個のスーパーボールをつまみ、百合子に見せっ)
「おそろい……へへっ(そうなるように選んだものの、言葉に出したら意外と照れちゃった、的なエンジェルスマイルでニコッ♡)」
ドボフンッッッーー!(※注 百合子の頭の中が爆発しました)
ーーその後、百合子が昇天したのは言うまでもない。
って。
果たして、百合子は最後まで愛美を守りきれるのかーー⁉︎(次回、最終編へ続く)




