表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アタシの愛美に手を出すな!〜百合子が初恋した話〜  作者: 碧木美月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/48

13.星に願いを



はあ……。

力が出ない。


愛美をコッソリ校門まで見送った後の帰り道。

なんとも言えない寂しさに見舞われる。


明日の朝にはまた会えるってのに、ずっと隣りにいたから心がキュウ……って、苦しくなる。

こればっかりは、何度繰り返しても慣れることがない。


恋煩こいわずらいがこんなに切ないものなんて……まいったもんだぜ。



あ……赤信号。

ここの信号、長いんだよな。



……携帯でも見よ。

なにかで気をまぎらわせねえと、時間の流れが10倍スローモーションに感じちまう。


ポチッ(携帯画面をタップすると、そこには時間と共に7月7日の表示)


お、7並び。

ラッキーセブン。


あ……。

つーか、七夕じゃん、今日。


七夕といえば。

短冊に願いごとを書く日ーー。



つっても。



アタシ、冷めたガキだったから今まで願いごとなんてまともに書いたことねえけど。


……ふふ、思い出すな。

毎年、親が商店街の七夕セールに行くのに付き合わされるのがすんごいイヤだったな。

駄菓子を買ってもらえるから仕方なくついて行ってたけど。


そういえば……。


あの商店街、いつも笹の葉を飾ってたな。

誰でも願いごとを書けるようにって、街ゆく人に短冊も配ってたっけ。




……今でもやってんのかな?




やってたら、気晴らしに書いてみよっかな。

初めて。

まともに。


アタシの、願いごとーー。




◇◆◇◆◇




ピンポンパンポーン♪(百合子、地元の商店街に

到着)


ふーん。

昔ほどじゃねえけど、まだそれなりにセールはやってんのな。


……おっ。


あった。

まだ毎年出してんだな、笹の葉。

短冊もご丁寧に配ってる。


「はい、皆さん自由に短冊へ願いごとを書いてくださいね〜」

「……あの、1枚もらってイイっすか?」

「どうぞ、どうぞ。そこの机にペンを置いてるから、ゆっくり書いてください」


……もらった。


よし。

書くぞ。

願いごとを!


えっと、なにを書こうかな。

そうだな、たとえばーー。





「愛美と深い愛で1つに結ばれますように。 百合子」




…………。


うん……。


重いな。


なんというか……字面が、めっちゃ重い。

これはもう、お星様も胃もたれすること必至だ。


ならば、もう少し言い回しを変えてみるか?

ええっと、じゃあ……。




「愛美と両想いになれますように。 百合子」




う〜ん……。

だいぶ後味スッキリした感じにはなるな。


でもなあ……。

なんかこう、パンチに欠けるというか……。

もっと、気持ちのままに直球的な内容にしてみるか?




「愛美と一緒にお風呂に入れますように。 百合子」




…………。


……ふふっ(苦笑)


アホか。

どんだけドスケベなんだ、アタシは。

直球を通り越して、もはや超豪速球だわ。

こんなの、お星様も受け止められねえっつーの。


……いや。


でも。


お星様がめちゃくちゃキャッチングが上手くて、見事にこの超豪速球を受け止めた場合……どうする?




『ガラガラッーー』




ええっっっ⁉︎

だ、誰だ、勝手に風呂に入って来たのはっ⁉︎



『ゆ、百合ちゃん、私も……入っていいかなーー?』



な、なにぃぃぃーー⁉︎

ままっ、愛美ぃぃぃ⁉︎


いや、ちょちょ、ちょっと待って!

ど、どうして愛美が風呂に⁉︎


『あっ、その……百合ちゃんの背中、流して……あげたくて(ポッ♡)』


えええっ⁉︎

な、なんで、そんな、急にっ……?


『だ、だって、変な男子が寄ってこないよう、いつも私を守ってくれてるでしょ? だから、そのお礼がしたくって……』


き、気づいてたのか?

アタシが変な虫から愛美を守ってたこと……。


『うん……当たり前でしょ?』


ま、愛美ーー(※注 みなさんお察しのとおり、百合子は妄想の世界へとフライトいたしました。しばらく願望爆発の妄想にお付き合いください)


『じゃ、じゃあ、背中、こするね?』


お、おう、そしたら……頼む(カアァァァ)




ゴシゴシ……。




『い、痛くないかな?』


だ、大丈夫だ。

ちょうどいい(ドッキン、ドッキン⭐︎)


『あ……! ど、どうしよう、背中が少し赤くなっちゃった……! ちょっと、力が強かったみたい』


そ、そうか?

ちょうどよかったけど……。


『ゴ、ゴメンね、もっと優しくしなくちゃ……! えっと……これなら、どうかな?』






フニッッッ♡(百合子の背中に、愛美の()()()()()()がピトッ♡)






パリーーーーンッッッッッ!!!(あまりの衝撃に、百合子の両目が飛び出して目の前の浴室鏡を破壊っっっ!!!)






えっ!


えっ!!!


えええっっっーー⁉︎


せせ、せっ、背中に! 背中にっ!

ま、愛美の、愛美の!

オオッ、オオッ、オオッ、オッパ、オッパ、オッパ、オッパッッッーー!!!(※注 百合子は完全に壊れました)


『こ、これなら、痛く……ないよね?(カアァァァ&ゴシゴシ♡)』


ハハッ、ハッ、ハゥ、ハゥ?(※注 極度の興奮と快楽により、百合子は謎の動物と化しました。ご了承ください)


『せ、背中はこれぐらいでいいかな? じゃ、じゃあ……ついでに前も洗うね。前……向いて?』


ハッ、ハウゥゥゥッッッーー⁉︎(※注 繰り返しますが、百合子は謎の動物と化しています)


『前に向いてくれないなら、私が……前、行くね?』




スッ……チョコン(一糸まとわぬ愛美が、百合子の前に回り正座っ♡)




ドブッッッシュウッッッッッッーー!!!(※注 百合子の両鼻穴から、鼻血がジェット噴射っ!)


『じゃ、じゃあ、前……洗うね?』






フニッッッ&ピトッッッ♡






パリーーーーンッッッッッ!!!(あまりの衝撃に、百合子の両目が飛び出して目の前の浴室鏡を破壊っっっ!!! part2)






『あはっ……なんか……照れる、ね……?(カアァァァ&ゴシゴシ&ポッ♡)」






☆%$√◇→♫#¥◎ッッッ……!(※注 百合子の思考は、宇宙の遥か彼方へと吹っ飛びました)




さん……。


えさん……!


お姉さんっ……!


「ちょっと、お姉さんっーー!」




ーーはっ⁉︎




「ちょっと、お姉さん大丈夫? 変な声出して目が飛んじゃってたけど⁉︎」

「えっ⁉︎ あ、いや、だ、大丈夫っす!」


や、やべえっ!

アタシとしたことが、つい妄想を膨らませすぎてしまった!

ナ、ナイス引き戻しだぜ、商店街のオバチャン!


ふうう……。

あまりにも刺激的な妄想で、なんかグッタリ。


でも。

愛美のオッパ……やわあああったあ……。


お、おっと!

ピンク色の余韻に浸ってる場合じゃねえ。

気を取り直して願いごとを書かなければ!



いや……。


つーか。



よく考えてみたら、どれもこれも己の欲にまみれた願いごとばかりだな。

そもそも、こんな欲深い願いごとを書いてもイイのだろうか?


…………。


きっと今の時代、願う内容にカチッとした決まりなんてもんはない。

なにを願おうが個人の勝手だ。


……でも。


アタシがホントに願うことはこんなのでいいのか?




アタシがホントに願うこと。


それは。


それはーー。






「…………(机の上のペンを取り、雑念が取り除かれたように落ち着いた表情で願いごとを書き書きっ)」






……よし、できた。


うん。

アタシの願うこと。

これが、1番しっくりくるーー。


さあ、それじゃあ飾るとするか。

このなるべく高いトコにすっかな、よいせ……っと。


まあ、こんなもんでいいだろ。

お星様。

どうかアタシの願いごと、叶えてくださいーー。




◇◆◇◆◇




ピンポンパンポーン♪(翌日、帰りのホームルーム前)


「ねえ、百合ちゃん」

「あん?」

「昨日の七夕はさあ、なにかお願いごとしたの?」


ドッキーン!


「そ、そんなの、するわけねえだろ⁉︎ ガキじゃあるまいし……」


ウソ。

ホントはがっつりお願いしました。


つ、つーか、まさか願いごとを書いてる現場を見られてたとかじゃないよなっ⁉︎


「そうなんだ。私はちょっと……お願いしちゃった」

「そ、そうなんだ?」


ホッ。

どうやら昨日の現場を見られたとかじゃないらしい。

あ、焦ったぜい!


「ちゃんと短冊に書いたワケじゃないんだけどね。でも、昨日は空もよく晴れてたでしょ? だから、天の川の方に向かって目一杯にお願いしたんだ」

「へ、へえ、いいじゃねえか」


ああ、愛美の願いごと、いったいなんなんだろう?

そして、星が瞬く夜空に願いごとをする愛美が尊すぎるぜえ〜!


「……気になる?」

「へっ?」

「私の……願いごと」


…………。


そ、そんなの。




気になるに決まってんでしょうがあっっっ!




な、なに? 

その思わせぶりな質問!

もしかしていたら教えてくれるの⁉︎


「べ、別に……?」




ばっ、ばっかやろうーー!


アタシの、ばっかやろうっーー!!!




なんでそこは気になるって素直に言わないんだよ⁉︎

もしかしたら教えてくれたかもしれないのにいっ!


「そ、そっか、そりゃそうだよね。私の願いごとなんか、気になるはずがないよね(少し寂しげに苦笑いっ)




ち、違うんだっーー!


ホントは、気になって気になって仕方ないんだあっ!




ああ、神様っ!

なぜあなたは、アタシをこんなにも素直じゃない小娘に創り上げたのですかっ⁉︎


こんなことなら昨日の願いごと、素直になれますようにって書いときゃよかったあ……(泣)


「ま、まあ、言いたいんなら聞くけど?」




アホかあっっっーー!




なんなんだ、その上から目線の返しはあっ⁉︎

ひねくれすぎにもホドがあんだろっ!

どうして素直に「やっぱ教えて?」と言えないんだ、アタシは〜!


「……ううん、もういいの。ごめんね、変な質問しちゃって」




っっっ…………。


お。


終わったーー。


もう、なにもかもお終いだ。


完全に、愛美に愛想を尽かされてしまったーー。




「……ねえ」

「……えっ?」

「百合ちゃんは……今、幸せ?」

「は、はぇ……?」

「いや、どうかな……って」




しっ。


幸せですとも〜!




いつも愛美お嬢様の隣りにいれて、私目はこの上なく幸せですとも〜!


今はちょっと、素直になれない自分にヘコんでるけど。




……でも。




でも。


ホントにアタシは幸せだぜ、愛美。

だって、世界で1番好きな人がそこにいるんだから。


毎日が……。

毎日がさ、奇跡みたいにーー。






「幸せだよ」






「えっ……?」

「アタシは……幸せだよ、毎日」

「っ…………」


あれ?

なんだ、コレ。

アタシ今、めっちゃ素直になれてる。


……ふふ。

神様、アタシの愚痴を聞いてたのかなーー。


……って、あれ?






「ぐすっ……」






ま、愛美いっっっーー⁉︎


なぜか、愛美が泣いているぅっっっーー!




どど、どうした⁉︎

どうした愛美っ⁉︎

なぜゆえに泣いてるんだ?

アタシ今、変なこと言った?(超絶オロオロ)


「お、おい、どうしたっ?」

「ううん、ごめん。ちょっと、嬉しくて……」

「……へっ?」

「百合ちゃんが毎日幸せだって聞いて、なんか安心したというか……よかったって、思って」


えええ⁉︎

そ、そんな風に思ってくれるんすかっ?

しかも、な、涙つきでっ?


「だって、私の願いごとは……」

「へっ?」

「あっーー! や、やっぱ……内緒っ!(あぶない、あぶない、つい言いそうになっちゃった。でも、最初に願いごとは気にならないって言われたから、教えてあげないんだからねっ? 的に舌をベッと出してエンジェルウインク♡)




ドボフンッッッーー!(※注 百合子の頭の中が爆発しました)




ーーその後、百合子が昇天したのは言うまでもない。




そして、2人は知らなかった。

七夕の願いごとが、くしくも同じであったことを。






『1番大切な人が、いつも幸せでありますようにーー』






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ