2・いじめの実態
いじめと言っても暴力などといった痛みを伴うものは今の所一切ない。
姫は成長が遅いのか見た目はあまり変わってないが、
性格や口調は結構変わっていった。
中学二年生だが見た目は小学生みたいだ。全体的に小さい。
何がとは言わないがとても平坦である。
そんな小さい姫がよく罵倒してくるようになったが、忠誠心は全く変わらない。
ボクが格好いいポーズをしながら
「右手の封印が解かれし時、黒き龍が全身纏いて暴れだす」
それに合いそうな格好いいセリフを言うと、
姫はすかさず
「何よ封印て、バカじゃないの?
そんなことばっかり言うならその口を封印するわよ」
などとボクの中二的仕草に対しては、いつも辛辣な言葉をくださる
最近本当に右手が痛むことがたまにある。そんな時は右手を押さえつつ
「くっ!右手が疼く」
と呟く
「はあ?何それ、ただ単にケガでもしたんじゃないの?」
いつも通りの姫からのお言葉
すると横から
「何だ腕が痛いのか?それなら皮膚科か整形外科か・・・
いや、お前の場合精神科かもな ガッハッハ」
と笑うこいつは武田豪
ガタイもよく、姫の取り巻きのリーダー格をやっている。
「精神科ならパパの知り合いに、腕の良い医者が居ますので紹介しますよ ぷぷ」
んでこいつは古川頸
いっつも武田に引っ付いてる金魚のフンみたいなやつだ。家が金持ちらしい
あともう一人、浦秀影敏という姫の親戚だとかいう
めっちゃ頭の良いやつも居て、無口であまり喋らないが
不定期に輪に入ってくる感じだ。
主にこの三人が姫グループの一員だ
んで、昼休みは空き教室で過ごすことが多い。
姫にみんなが付いてくる感じなので、
なんだかんだこのメンツで飯食ったりおしゃべりする。
そこでたまにパシリ的なこともやらされる事がある。
「伸ちゃん、ジュース買ってきてくれない?ミルクティーね。
500円渡すから伸ちゃんもなにか買っていいよ。お釣りはあげるわ」
「んじゃ俺も、コーラ頼むわ。釣りはやるよ」
と武田は200円渡してきた。
「では僕も便乗して、野菜ジュースなんかを頼みますね、お釣りはあげますよ」
と古川も500円渡してきた。
「え、お釣り多くない?こんなに貰っちゃ流石に悪いよ」
とボクは言うと、すかさず武田が
「はあ?何いってんだお前!
労働に対して報酬を渡すのは当たり前のことだろが!」
とまくし立ててきた
「え、まあそういうことならありがたく頂いておくよ。
あと浦秀は買わなくていいのか?」
「ああ、僕は必要ない。それよりも買ってくるものはちゃんと覚えてるのか?
お前あまり頭は良くないからな」
と皮肉を言ってきた
こいつはボクのことをあまり良く思ってないらしくて、
たまに鋭い目つきで睨んで来る時がある
「だからこれでも持っていけばいいさ」
ぽいっとメモを投げてきた。注文のあったジュースが書かれていた。
こいつはほんとよくわからん
ボクはジュースを買いに教室を出る
すると皆の表情がすっと無表情になり、何やらボソボソと話し合っているのは
伸太本人は知る由もない