11・魔法少女 マジカル アンズ爆誕
(これは・・・今、どうなってるんだ・・・)
(体の言うことが効かない・・・)
(精神の、乗っ取り、洗脳?・・・あるいはバーサク状態?)
(精神系の状態異常回復は光魔法で作ってあったはず)
(dir コマンド、中身一覧 光のフォルダ ・・・あった、これだ)
(cd で光に移動、『精神異常状態回復』)
(マインドリカバリー!)
杏子の体が光だし、辺り一面に漏れていた魔力が収まる
ガクンと前のめりにうずくまりハアハア息を荒げている
「ふう、成功、したのかな?体は、動くみたい」
杏子は意識を取り戻したが、徐々にまたモヤがかかる感覚がした
「これ、なんとかしないと、また意識が乗っ取られる?かも」
心の奥底に湧いてくる力のみなもとに集中する
魔力で脳をコーティングして何者にも侵害させないような設定、
あとはアンチウイルスソフトみたいに撃退機能と定期的な診断も加えよう
『精神異常対策魔法』 マインドガード.magi 作成
「マインドガード!」
すっかりモヤは晴れたので成功したようだ
「・・・これで大丈夫、かな?」
少し離れたところで頼子が華子に手をかざして光を当ててるのが見えた
「よりちゃーん、今なにが起きたかわかる?私、なんかの力が目覚めたみたい。
てかこれ光ってるけど何やってるの?」
「きょ、きょーちゃん!気がついたの!?
暴走は?今意識はしっかりしてるの?」
頼子は近寄ってきた杏子に驚き、
華子は恐怖で顔がゆがむ
「ひ、ひぃっ!や、やだ、こ、こないで、殺さないでぇ・・・うう」
華子は歯をガチガチ鳴らし、逃げようとズリズリ後退していく
「だ、だめだよ、まだ動かないで、きょーちゃんも暴走してないみたいだし、
ほら、ね、落ち着いて、大丈夫。」
いいこいいことなだめる
「あ、これもしかして、この傷、私がやっちゃったのかな・・・?」
「う、うん言いにくいけど、きょーちゃんさっきまでその力が暴走してね、
華ちゃんの腕、切っちゃって・・・私が治してるの」
「うわ、まじか・・・あやまって許してもらえないかもだけど、ごめんね
お詫びに私も手伝うよ」
回復魔法は絶対必要になると思い、医学書や人体構造の本を読んで、
治癒の解像度を高めるためにある程度勉強してきた。
骨、神経、血管、筋肉といった組織を魔力で縫い合わせるイメージ
加えて魔力で患部を活性化。再生能力を高めて自然治癒を急速に促す
テキストの中身は更に詳しく書かれている。
カレントは光のままだからそのまま唱えるだけでいけるはず!
「ヒール・・・う、あれ、くらくらする」
魔力が足りない?魔力が足りなくて効果がなかったのか?
本来回復などの光に属する能力は、聖力側の力のため魔力だと燃費が激しい
暴走して魔力が漏れ出してしまった所で
光に属する魔法を続けざまに二回も唱えたので
ヒールを使うほどの魔力が残っていなかったのである。
杏子は、ふと頼子の周りを漂う凄まじい何かの力を感じ、じっと視る
「よりちゃんの周り、凄い魔力が視える」
「私のはね、魔力じゃなくて、聖力って言うの。
元は殆どきょーちゃんの魔力なんだけどね。
定期的にきょーちゃんの魔力奪って、聖力に変換してたの
これしてなかったら今頃もっと大変なことになってたかも」
「ふえーそうなんだ。じゃあ逆に返して貰うこともできるかな?」
「え?どーだろ、ちょっとやったこと無いからわかんないかも」
試しに杏子は頼子の聖力に手をかざしてみる。僅かだが吸収できてる気がした。
「うーんできないこともなさそうだけど、
すごーくちょっとずつしか戻ってない気がする」
「私は直接体に触れると効率よく貰えたよ。一番効率いいのは粘膜・・・
えっと、ちゅ、ちゅーとかするといっぱい奪えるって、は、話を聞いたよ」
と、何かを期待するようにチラッチラッと見ている
「へー、なるほど!」
杏子は頼子あごをくいっと持ってチュッとキスをする
「んんっ!」
まさかこんなにあっさりとキスしてくるとは思わず、意表を突かれる頼子
突然目の前で行われた百合所業に、
華子はピタッと泣き止み、目をカッと見開いた
杏子は、具体的なイメージをすることで効率よく奪えるかもと、直感で感じた
よりちゃんの力を奪うイメージ。聖力を吸い取るイメージ?がいいかな?
「あーんして」
先ほど頼子の顎を持ってた手で、口をぐっと開いて、杏子は舌を侵入させた
「ふぁえ、ひょ、ひょーひゃん、なにひて、んぐっ、んん」
杏子は舌を絡ませ、頼子の舌を自分の舌で掴むと、
杏子の口の中へと引っ張っていき、その舌をチュウチュウと吸い始めた
「ひぃゃ、ぁ、んんっ、んっ、んっ、はぁっ、んっ、んんん」
頼子は舌を吸われる度に、体がビクンビクンと反応している
直ぐ目の前で行われる濃厚な百合振舞。
華子はハァハァと息を荒げ一切の瞬きもせずに見入る
頼子はキスで回復に集中できず、聖力も不安定になり、
華子の傷口から、時々血が吹き出している
しかし華子はそんなことも一切気にせず、目の前の行為を
いっときでも見逃すまいと、目に焼き付けるように集中している
「こ、こんなことが、目の前で、生で、これ、タダで見ていいんでしょうか、」
華子はさっきまで腕が取れて泣きじゃくってたことすら忘れている
みるみるうちに頼子のちからは杏子のちからへと変換されていく
「よし、こんなもんかな」
杏子は口を離し、軽くペロッと舌なめずりした
「華、ごめんね今治すよ・・・ヒール!」
華子の腕に光が集中すると、みるみる傷が塞がっていく
「え、あ、痛っ!いたたたた、なんかチクチクして、いた、痛い!」
まるで無数の針に刺されている感覚
魔力で傷口を縫ってるイメージなので、麻酔無しで縫合手術してる事になる
「え、痛い?、あ!麻酔!そうだ麻酔の効果付け足さなきゃ駄目だったか!
うーん、脳内物質・・・神経遮断?痛覚を麻痺させ・・・
すぐに修正は厳しいかも。よりちゃん!痛みを抑えることできる?」
頼子は先程のキスの余韻で、まだポケーとしてる
「よりちゃん!聞いてる?おーい」
「ふぁ、あ、ごめん、何?どーしたの?」
「痛みを抑える力かなんかない?あれば華の腕にかけてほしいんだけど」
「わ、わかった、大丈夫。聖力で痛みも治まるの」
すぐさま華子の腕に光を当てる
「わ、うわ、凄い。どんどん腕が繋がってく。感覚も戻ってきた。」
すっかり落ち着いた華子は治ってく腕をまじまじと見つめ、指を動かしている
「二人の共同プレイで私の腕がくっつく・・・ああ、いいよこれ、すばらしい」
華子はかなり余裕も出てきたようだ
「ちょっと痕が残っちゃってるけど完全にくっついたかな?」
「な、治りました。ありがとうございます!ごちそうさまでした。」
「え?ごち?てか私のせいで怪我したんでしょ?
お礼なんてされたら申し訳ないよ」
「いえ、もう気にしないでください。
腕が取れたからこそ得られたものもあります」
「ん?なんかよくわからないけど、華が許してくれるならよかった。ありがと」
「いえいえ。」
「それよりも頼子ちゃん、っと、もうここには関係者しか居ませんね」
華子はこほんと一呼吸置く
「頼子様、今回の件はどう報告いたしましょうか。杏子さんも完全に安定し、
無事覚醒したようですし、軽く暴走した程度で被害なし、
とかこんな感じにいたします?」
「そうねー、実害を受けた華ちゃんが、それでいいならそうして欲しいかな。
てか、学校以外でも、くだけてお話してねって言ってるじゃんー」
「いえ、すみません。母が、隊長が規律にうるさいもので、すみません。」
「え、なになに?もしかして秘密結社とか裏組織とかそんな感じ?ねえねえ」
杏子は目を輝かせて、とてもワクワクしている様がわかる
「えー、まあそんあとこかなー?帰ったらちゃんと説明するね」
「う、うん、絶対だよ!」
そこに見慣れた黒猫がこちらに近づいて来た。
杏子の飼い猫のキキに瓜二つである
「やあ、杏。君も力に目覚めたんだね」
「しゃ、しゃべったー!!!き、君はキキ、なのかい?」
「うん、そうだよ。ボクのこと忘れてしまったのかい?」
「いや、見た目はそっくりだけどさ、私の知ってるキキは普通の猫なの」
「それはね、君が目覚めたのと同時に、ボクも覚醒して、
言葉が通じるようになったからさ」
「それじゃあ、ほんとにキキなんだね。黒猫が使い魔って魔法使いっぽい」
「使い魔ではないよ。同じ根源の魔力から覚醒した、
いわば分身のようなもの。主従関係はないよ」
「分身?同じ根源ってどういう事?」
「ボク達は伸太様の魔力を分け与えてもらって、覚醒したのさ。
伸太様の魔力は君の眼に宿り、それをボクも間近で当てられてたから
ボクと君は全く同じ性質の魔力を分け与えてる状態なんだ」
「え、ししょーの魔力?ししょーも何か特別なちからがあるの?」
「ああ。ボクは覚醒前から人の言葉は理解はできてたから、
たまに家を抜け出し、伸太様の様子を伺いつつ、色んな情報も仕入れてたんだ
伸太様も一度暴走して頼子ちゃんのお姉さんに助けてもらったらしいよ」
「うーん何がなんだか・・・」
杏子が混乱してると頼子が間に入ってくる
「それも含めて後で説明したほうがいいね」
「それはそうと杏、ボクと契約して魔法少女にならないかい?」
「え、魔法少女?もう私魔法使えるよ?てかそのセリフあれだよね」
「前にきょーちゃんと一緒に見た、バーベキューだかキューピーだかみたいな
なんか危険なやつじゃなかったっけ?」
「何を言ってるんだい?あれは白いけどボクは黒い。全然違うじゃないか」
「その理屈はなんかおかしいけど、危険はなさそう。」
「君の魔力はまだ完全じゃない。ボクと一つになって初めて完成される。
いつもの『正装』にも魔力が残ってるはずだから、ボクと契約すれば
瞬時に移動させて装着させることも可能さ」
「え、まじまじ?あの格好、瞬時に着脱可能になるってこと?」
「ああ、そうさ。あの格好しながら、いつも練習してるあの名乗り、
やりたくはないかい?」
「や、やりたい!私、契約する!」
「きょ、きょーちゃんだめだよ、そんな簡単に・・・」
「邪悪な気配は感じないし、プロテクトも掛けてるから多分大丈夫そう」
「君のその願いは聞き届けられた。それじゃあ杏!これを受け取るんだ」
目の前が光って、ポンッと化粧品のコンパクトケースみたいなものが出てきた
猫の形で可愛らしい
「おお?なにこれ?ニチアサでよく見かける変身アイテムみたいだね」
「さあ、君もそれを使って変身するんだ!」
「わかった、へんし、え?変身?」
「ボクの魔力を通してやり方は頭に流れてくるはずさ。
あとは流れに任せるんだ!」
「え?わ、わかった。」
目を閉じ少し集中する、すると勝手に体が動き出した
「にゃんだふるパクト!」
コンパクトを開けて中のファンデーションをまぶたに塗る
杏子の全身が光だし、ポンッとトンガリハットが装着される
右手、左手と、どんどん衣装が変わっていく
赤くて可愛らしい服に、ひらひらのスカート
眼帯が装着され、最後にマントがフサァっと肩に現れる
ステッキをくるくる回し左手でピタッと止めると
「愛と堕落の魔法少女、マジカル アンズ!」
ガシッと戦隊モノのポーズを取る
「言うこと聞かない悪い子は、私の爆裂魔法で~、おしおきよ!」
右手でピースしてプ◯パラの、かしこまポーズを取る
キキはうんうんと頷き、頼子と華子は「おおー」と言いながら拍手してる
「・・・って、ちがーう!キキ!これどーなってるの?
私の考えてたセリフと全然ちがうじゃん!」
「それはね、変身ベースはボクの魔力だから、
ボクの願望が表に出ちゃったかな。ニチアサのあれ、ボク好きなんだ」
「服もなんかひらひらしてて、私の考えてた魔法使いのイメージとちがうよ!」
「それはボクの願望が」
「もういいよ!ある意味邪悪な存在だったね!
てかニチアサのあれって、魔法少女じゃないらしいよ?」
「君は何を言ってるんだい?
少女が変身して魔法のちからを使ってるんだ。立派な魔法少女じゃないか」
「私はどっちでもいいと思うんだけど、世間では戦隊モノって扱いらしいよ?」
「わけがわからないよ」
「まあ、私、これもそんな悪くない気がしてきた。私もニチアサ好きだし」
ニコっと笑う
「それはよかった。それじゃあ街の平和は君に任せるよ」
「え、この街に敵とか居るの?」
「・・・ボクはお腹が空いたからそろそろ帰ろうか、アンズ」
そう言ってキキはマジカルアンズの肩に乗る。
魔法で制御してるのか、いつもよりキキの体は軽かった
「あ、ごまかした?よりちゃんは心当たりある?」
「まあ無いことはないけど・・・あまり危険なことはやって欲しくないな」
「んー、よりちゃんがそう言うならやらないけど、
危険じゃない範囲で手伝えることがあれば何でも言ってね」
「うんわかった。それじゃ帰ろっか」
変身が解除され、猫のコンパクトが腰に装着された
いつの間にか来てた応援の方は、華子が対応して説明してくれていた
帰り道、頼子は巫女の事や覚醒の事を杏子に説明してあげるのであった。




