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ゴジラからジェームズ・ディーンって

作者: 蒼井真之介

「おい、サトシ。サトシだろ?」


突然、後ろから呼び掛けられた。


「うん? 誰?」


「俺だよ。川上だよ。お前、サトシだろ?」


「川上?」と僕は言って首をひねった。さて誰だったかなぁ?


「ほら、同じ高校の同級生の川上だよ。柳沢中央高等学校だろ? ゴジラに似ているって、よく言われてた川上だよ。皆の前でさゴジラの物マネをしていたじゃんかよう。覚えてない?」


「うーん」そんな奴いたっけ?


「後にジェームズ・ディーンに凄く似てきてさ、皆からジミーって呼ばれていた、あの川上だよ!」


「うーん」


俺は悩んだ。はっきり言って勘違いだと思う。ゴジラからジェームズ・ディーンって。ゴジラからジェームズ・ディーンって。ブフフフフ。そんな極端に変貌を遂げて顔が似る事なんかあるかよ。ゴジラからジェームズ・ディーンって。ブフフフフ。


「俺ってさ、益々、ジェームズ・ディーンに似てきただろう? 俺の前世はジェームズ・ディーンであり、俺はジェームズ・ディーンの生まれ変わりなんだと思うんだよね〜」


「ふーん」


「俺の服装を見ろよ。赤いジャケットにブルージーンズに革のバイクブーツ。まさにジェームズ・ディーンだろ? このファッションでね、ママチャリに乗って大学に通ってんの」


「ふーん」ジェームズ・ディーンのファッション・スタイルでママチャリなんか乗りやがって。ブフフフフ。川上って奴はめちゃくちゃバカだな。


「サトシは理由なき反抗を見た事ある? めちゃめちゃジェームズ・ディーンがカッコいいんだぜ。家の婆ちゃんがさ、俺とジェームズ・ディーンは瓜二つだって叫んでたよ」


「ふーん」


「俺さ、大学卒業したらさ、ジェームズ・ディーンって名前に改名しようかと思っているんだよ。『痔永難電院』って名前にするからヨロシクね」


「こちらこそよろしく」


「聞いてもいい? エデンの東と理由なき反抗なら理由なき反抗だよな。サトシはどっち?」

 

「エデンの東かな」全く見たことないけれどね。


「なかなかやるな」川上は俺を抱きしめて揺さぶった。


「サトシ、じゃあ、またな。また今度会ったらさ、一緒にジェームズ・ディーンのジャイアンツを見ようぜ。サトシ、俺さ、今さ、未多賀沢区みたがさわく北72条西29丁目19−77パルテノン・マンション8階に住んでるんだよ。今度さ、遊びに来いよ。いつでも良いからさ。じゃあな、サトシ」


「ああ、またね」


川上はイヤホンをすると信号機のボタンを押して信号の色が青に変わるのを待っていた。


俺は全く知らない川上の後ろ姿をスマホで1枚写真を撮ってみた。俺は写真を確認した。ピントがズレた川上の写真を一旦削除してから、もう一枚、川上の後ろ姿を撮り直した。


ありがとうございます。

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