第壱章 少年の幻状 第一話 出会いとは、ストレスである
途中、書き方が変わっていますが、これから
書き進めながら色々直していこうと思います。
お許しください。
先刻、雄叫びをあげ、冷静になった壬空は今、木で出来た小屋の中で
股間を抑えてバタバタと転がていた。
「いってぇぇぇえええ‼」
やはり自分が男なんだということを実感している壬空である。
なぜ壬空が無様に床に転がっているかを知るには少々、時間を戻さねばならないならない。
†◆†◆†◆†◆†
「朝起きたらそこは、光の差し込む森の中」
現実味がなさすぎる状況。
周りを見回せど、目に映るのは木、木、木。
明らかに森の中。しかも何かギャアギャア鳥のような鳴き声が聞こえてくる。
「そういや、ここどこだ?」
森、ということだけは分かっているが、どこの森なのかまでは分からない。
「人に聞きゃわかる、か?」
ずっと此処にいても仕方がない、現地の人を探して此処がどこか、
聞いてみよう。でもって家に帰ろう。
「よし、そうと決まれば実行だな」
何時までも此処にいても仕方がない。
というより、誰がどうして此処に連れてきたのかさえ分からない状況で、
ずっと同じ場所にい続けるなんてことをしていたら、どうなるか分からない。
もしかしたらどっかの悪い奴が、金目的で此処に連れてきたのかもしれない。
「うえっ、考えただけで寒気がしてきた」
早く、どこぞにいるであろう現地の人────連れてきた犯人かもしれないけど────に会って此処がどこなのか
聞かなければ。
そういった考えのもと、太陽の方向に向かい、歩き出す。
「明日へ向かって~」
レッツ ゴー
……壊れなきゃやってらんねぇよ、へっ
そんなこんなで適度かどうかは分からないけれど、壊れながら森を進むと────
「クマの一家でも住んでいそうな、
木造建築の前に立っているのでした」
〇のくまさん? 森〇くまさんか?
「と、まぁボケは置いといて、入ってみようかね」
取りあえず、最近建てられたかのように綺麗な日本屋敷の扉をトントンと叩く。
すると……
ドタッ
バキッ
ゴロゴロゴロゴロゴロ‼
「きゃぁぁぁあああっ」
こける音。
壊れる音。
転がる音。
「どうしたんだっ!?」
いろいろな音が聞こえ、心配になった俺は目前の扉を勢い良く開く。
そして、開いた扉の向こうにいたのは、空色の髪と髪と同じ色の瞳の少女。
「ひっ」
扉を開けて突っ立ているこっちの姿を見つけ、空色の髪の少女は目を見開く。
少女は何故か、(と言うか、原因は少し前の段差だとは思うが)床に転がっていた。
そして、なんと言っていいか、服が、服が……
あり得ないほどに。
そう、普通あり得ないほどに乱れている。
まるで、着替えの途中で急いで走っててきて、
そこを途中で転がり落ちたかのような乱れようである。
「いやぁぁぁあああ!」
目前の少女は涙目で、絶叫と共に右手を振り上げ、その手を強く握りしめ、突き出した。
その手の先からは、振りぬいた拳と同じか、はたまたそれ以上かの速度で≪何か≫が飛び出してきた。
進行方向を辿ってみるとそこはなんと、まさかまさかの我が息子、聖水の蛇口である。
「は?」
風を切るその音が聞こえた時にはもう既に男の急所は押し潰されて……。
アハッ☆、お父さん、お母さん俺は女になるようですよ。
「っ────痛ぁぁぁあああ‼」
自身の一物に直撃した一撃に痛みの叫びを上げるなんてことは案外余裕があるってことなんだよな、
等と訳の分からん思考を行いながら、自ら開いた扉の中に前かがみに倒れこみ、転がりまわる壬空であった。
『おいっ、そこな男‼
妾に謝罪せよっ 汚らわしい物に触れさせよってぇ‼』
ついさっき釣り上げられた魚のようにピチピチ動いている壬空に、頭に直接響くような
声が聞こえてくる。
「……んな、無茶な」
が、そんな事よりも痛みをこらえることに力を注いでいる壬空に、そんな事が出来る訳もなく、
頭に響く謎の声の主は怒り出してしまう。
『クッ この男……
ミズハ、ミズハよ、こ奴のアレを回帰してやれ』
軽蔑の視線をヒシヒシと感じながら、憐みの(ほんの少し)こもった言葉がかけられたことに
安心を感じながら、力尽きている壬空であった。
「うっ、うん。
あの、その、ごめんなさい」
ミズハと呼ばれた少女は申し訳なさそうな顔で、
謝りながら壬空に近ずいてきた。
その顔は近くで見れば見るほど可愛らしいのだが、
地に伏す壬空は気づけない。
『ミズハ。このような者に我が主が謝罪を述べるな』
先程の思考を撤回しよう。
憐みさえももないようだ。
「でも、撃ったは私だよ……?
謝るのは、やっぱり当然のことだと思うんだ。
だから、ごめんなさい」
罪悪感のにじむ声で〝撃った〟等と物騒な単語を口にするミズハ。
「それと、【動かないで】ください」
今のいままで転がったり、ピチピチ動いたりしていた壬空は、【動くな】という一言で、不壬空の体は自然に停止する。
まるで、ミズハの放った言葉に操られるかのように。
その体は、心身から温まるような優しい光に包まれていく。
身体の末端、手足の指先から【動かなく】なって行く。
肉体の停止は、それと共に思考さえ止めてしまう。
故に、壬空の思考も、肉体と共に、緩やかに停止していく。
そのかすんでゆく視界いっぱいに広がる空色は、緩やかに停止する思考の中で、
かすかに懐かしさを感じさせてくれていた。
ありがとうございました。
投稿に時間のかかる私ですが、
生温かい目で見てやってください