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奇怪な境界  作者: 間和井
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 序章  ~白黒〈モノクロ〉~

稚拙な文章かもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。

 夢へと、墜ちてゆく感覚。

 浮遊感、前も後ろも分からない。

 胃の中がかき回されるような感覚。


 白黒(モノクロ)の世界でただ一つ、何所とも言えぬ場所を見つめる。


    ━━ あぁ、またこの夢か ━━


 意思もなく、ただただ宙を凝視する。

 身体(からだ)さえ無く、されど意識は宙向へ向く。

 無意味な夢。


 宙に在るのは白と黒の二つだけ。

 混ざり合う二つは混沌。

 常に二つは動き続け、渦を巻く。

 ただ、それだけ、毎夜視る夢はいつもこれで終わり。

 だからこの幻想も、唯それだけの筈だった。



    ━━ 違う ━━


 白黒の混沌の中に小さな影が混じる。

 影は人影。  

 人影は少女。

 その髪は短く、深い海を連想させるような藍色。

 瞳もそれに似た深海の色をしている。


 いつの間にか、その少女は此方の目と鼻の先いる。

 少女は、此方の手を痛いほどに握り締め、口を開く。


 『た』


 その動作は緩慢(かんまん)で、声量は小さく、けれど、力強く聴こえた。


 『す』


 必死に、一つの事柄を伝えようとして、


 『け』

 

 歪むその顔を見ていると。


 『て』


 その少女を笑顔にしたい、と思えてくる。




 

  ━━ 何処か、おかしい ━━

 

 そう、何かが、おかしくなっている。

 

 幼い頃から見続けていた同じ夢。

 

 身体など、有る筈のない幻想。


 有る筈のない右腕、それを掴んだ深海色の客人。


 


 有る筈の無い物と入る筈の無い者。


 今この世界には、実体を持つ存在は二つ。


 この身と、目前の少女。


 夢を視始めてから、一度もなかった状況。


 視るだけだった夢で感覚がある。


 それは、きっと目前の少女のおかげ、そんな気がする。


 だが、何故この少女が此処にいるのかが分からない。


 〝たすけて〟その言葉が自分に発せられた理由も、


  ━━それと共に握られた━━


「━━痛っ‼」

 

 意識した瞬間、激痛が走り抜ける。

 痛みを感じた場所は右腕。

 少女に握られた場所。 


『貴方━能力(ちから)━━与え━━。

━の━━で、━━を━って‼』


 痛みが鈍くなり、身体が浮いていくような感覚に変わる。

 浮遊感と共に、聞き取れなくなっていく言葉。

 理解しようとしても、所々抜け落ちた言葉の羅列は意味を成さない。


 意識が鮮明になっていく。


 右腕を始点にして確かな自分を意識する。

 

 閉じていた(まぶた)は浮上する意識とともに開いてゆく。


「……何、だったんだ」


 起き上がり自身の身に起きたことへの感想を呟き自らの額を右手で抑える。


 「それに……何処だ、此処」

 

 起きた際、目に映った光景はいつもの汚い自分の部屋ではなく、

心地良く木漏れ日の射す森の中だった。


「いや、マジで何なんだよ……」


 起きてそうそう頭痛が起きそうな状況にため息をつく少年。


 彼の名は明宮(あけみや) 壬空(みそら)


「何なんだよぉぉぉぉぉおおおおおお‼」


 高校に通う16歳のごく普通の少年である。


読んで頂き、ありがとうございます。

感想などを頂けたら、ディスプレイの向こう側で作者が小躍りをするかもしれません。

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