おせっかい
クロたちが黄魚を連れて囲炉裏部屋に行くと銀河が先にいた。
黄魚の姿を認めて、銀河が目を丸くする。
「なんだ黄魚……戻ってきたのか?」
「違う」
即、否定する黄魚。
「クロに、おせっかいしに、戻ってきた」
「え、俺?」
続く黄魚の言葉にクロは驚く。
おせっかいの対象が自分だとは思っていなかった。
「長くは、いない。そわそわそわそわ、するから、すぐ帰るよ」
「そわそわ?」
「ここ」
眉をしかめて、黄魚は胸を両手で抑える。
そんな黄魚を見てアオは「ああ」と頷く。
「家離れると、すっげえ不安になるよなぁ……。そわそわそわそわ…って、よくわかる」
「そういうもんか?」
「ならんかったか?」
「わからん……」
黄魚に共感しているアオにクロが首を傾げていると、逆にアオに問われるが……。
「あの時まで、家から出たことなんてほとんど無かったからなぁ……」
あの時…華子が命を失いそうになったあの事故を回避するため、無理やり力を振り絞って門から出た時だ……。
「あーなる……。家から離れることが無かったから、あのそわそわ感がわかんないのかぁ」
「だって、門から一歩でも出ると、強烈な脱力感感じるよな?力が周囲に吸い込まれていくような、いやーな感じあるだろ?」
あれがあるのに、あえて外に行こうって気になるわけないと、顔をしかめてクロは言う。
「座敷童のわしらは、家からでたらほとんど力使えん……。ま、当たり前だがな」
「家の子について外出てー。もーしなんかあってもー、助けられないよねー」
「それに、家から離れると、自分の居ない間に家になんかあったらどうしよう?とか思って落ち着かないんだよな…」
「それで、そわそわか……」
黄魚とアオのそわそわとは、自分(座敷童)が留守にしている間に、守護家に不幸が起きたら大変!――という不安感のことのようだ。
「てか、みんな家から出たことあるってこと?」
クロ的にはそこが気になったので聞く。
「外にー興味あったしー」
座敷童として家についていた時に、ちらっとだが出たことがあると紅は認める。
「家の子にーくっついてー、出たことあるー。すぐ戻ってきたけどねー」
「オレは結構あるぞ」
アオが口を挟む。
「あ、アオはいいや」
「何が?」
「聞かなくたって、外に出てたんだろうなーって予測ついたからさ」
「なんだと!……ま、出てたけどさー。座敷童としての務めはちゃんとしてたぞ!」
興味のむくまま出歩いていそうなイメージがある……とクロに言われて、アオは抗議する。
「てか、外に出たら、そわそわ不安になるんだろ?どうして外に行こうって思うかねぇ……」
力だって使えないのに…と、クロは思う。
「クロは置いて行かれそうな不安を感じたことはなかったのか?」
銀河にそう問われる。
「置いて行かれる?」
「そうだ。人は家移りすることもあろう?」
「そーいうのにはついて行くよね?俺たちは付喪神みたいにモノについてるわけじゃないんだから」
座敷童は人の和の意識――家(家族)についているのであって、建物としての家についているわけではない。
長い時の中で、クロもなんどか家移りは経験していた。
「だが、家の者が皆出かけて、一人になった家の中は寂しい。家人がちゃんと戻ってくるか不安になって、様子を見に行きたくなったことはないか?ワシはなんどかある……。ついて行ったところで、何もできはせんかったがな……」
「うーん……」
銀河の問いに、しばしクロはうなるが……。
「俺は、なかったな……」
「そうか……。クロは人を信用していたんだな……」
不安を感じるということは、相手を信じ切れていないとも言える。
「でも、ま……。今はここに居るんだけどな」
苦笑いを浮かべながらそう付け足したクロに、銀河もそれもそうかと似たような笑いで答えた。
「今日はみたらし団子です」
白波がおやつを持って囲炉裏部屋にくる。
黄魚が来ていることをわざわざ伝えてはいないのだけどで、しっかり座敷童の数分の皿がお盆に乗っていた。
「みたらし団子は…川の、おやつ……」
白波から皿を受け取るとき、ニコニコしながら黄魚がそう言う。
「は?」
「意味わからーん」
「なんで?」
「そういえば、聞いたことあるな……」
クロ、紅、アオは首を傾げたが、銀河は知っていた。
「昔の帝が神社に参拝に訪れ、お清めの川で手を洗う際にたったあぶくを表しているとか……」
「なーにそれー?なーんで、あぶくー?」
どうしてあぶくを団子であらわすんだ?と首を傾げる紅。
「お清め……御手洗ってことか。手は川の水でお清めし、腹ン中は団子でお清めしろってことか?」
「さぁ、そこまではわしも知らんよ。人の世のことだからの」
アオの説に銀河は肩をすくめる。
「俺、団子は神事の際の生贄の人間の代わりだって、何かで見た気がしてたんだけどなぁ……」
「それ……怖い……」
ぽつりと挟んだクロの話に黄魚は身を震わせ、顔をしかめながらしっかり団子はほうばっている。
「人間の五体を表してるから、五個の団子が正しいって――あれ?なんで見たんだっけか?」
「思い出さんでいい!」
首を傾げるクロにアオが叫んだ。
座敷童たちは殺伐とした話題を嫌う。
「この場はー、黄魚と銀河のー、川のあぶく説をー採用しまーす!」
「うむ」
紅の意見に頷く銀河。そんな銀河を見ながら、クロは黄魚に聞く。
「で、黄魚……。俺へのおせっかいってなんなの?」
クロに問われ、黄魚はハッとした表情を浮かべる。
「そうだった……。帰らなくっちゃ……」
そう言いながら、団子を持っているのと反対の手で胸を抑える。
そわそわ感をまた思い出したらしい。
「いや、だから帰る前にだな……」
「うん」
苦笑いで促したクロに告げられたのは、思いもよらない事だった。
「クロんちの、下の女の子…。うちの上の子と、一緒のところでリ…ハ、ビリ?来てる」
「は?下の子ってぇ……っ?華子か?!」
「そんな、の……」
思わず聞き返したクロに、黄魚はそんな名前だったと頷く。
「あの子…ダメな子…。あの、ままじゃ…歩けるようにはなれないよ」
続けて言われた黄魚の言葉に、クロはただ愕然とした。
みたらし団子の作り方(4人分:8本) 簡単です!
材料
団子
・白玉粉 160g ・水 約160ml
・団子串 8本 (団子用の串はあまり先がとがっていません)
タレ
・醤油 60cc ・みりん 60㏄ ・砂糖 120g
・片栗粉 60g ・水 300㏄
①タレをつくります。
材料を鍋に入れてよく混ぜ、照りが出てとろみがつくまで弱火にかける。
(固くなり過ぎないように注意!)
②団子を準備します。
1)鍋に白玉を茹でるためのお湯をたっぷり沸かす。
2)白玉粉をボウルに入れて、少しずつ水を入れながらこねる。
※水の分量は目安。
3)耳たぶくらいの固さになったら、棒状にころころ伸ばして32等分にする。
(半分に切ってから16個分に切ると合わせやすい)
4)丸めて、沸騰したお湯で浮いてくるまでゆでる。(だいたい3~4分)
5)浮いてきたら穴あきお玉ですくって冷水に入れてしめる。
6)ザルにあけて水気をよく切ってから串にさす。
※本式は5個(1個を少し4個から離して串にさす)だそうですが、4個くらいが食べやすいと思 う。
③串に刺した団子をフライパンで焼いて軽く焦げ目をつけて、タレをかけたら出来上がり。
※焦げ目は特につけなくてもOK。
お読みいただき大変ありがとうございますm(__)m
よろしければぜひまた続きを読みに来てください(o_ _)o))




