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自業自得?

「ふーん、事故だよねー、それってー。祟りじゃ無ーい!」


 クロから紫鏡とその所持家の話を聞いた紅はそう言って、ぱくん!と大きな一口で黄金色の茶巾絞りを頬張る。


「ん~、美味しいっ!イモ最高っ!」


 今日のおやつはサツマイモの茶巾絞り。

 滑らかで滑りも良いので、多少大きく口に頬張っても喉に詰まることはない。

 素朴で優しい甘さが、座敷童たちの舌を楽しませてくれていた。

 話題は若干殺伐系ではあったが……。


「今紅が食べたのは、基本の茶巾絞りですね…。刻んだ栗を混ぜたのと、ミルク餡を巻き込んだのもありますよ」


 にっこり笑って白波が言う。


「え、三種類も作ったのか……。面倒だったんじゃないか?」


 クロはそう言って白波を気遣うが、白波は茶巾絞りは見た目は手が凝ってそうに見えるが、実はとても簡単にできるのだと言った。


「茹でて裏ごした芋に砂糖を混ぜ、硬く絞ったさらしで包んできゅっと絞るだけですから。中に入れる栗の甘煮は、お正月前に沢山作って余ってましたし、ミルク餡も作り置きしていた白餡に練乳を混ぜればできあがりです」


「へぇ…。それって簡単そう!」


 紅がチャレンジしそうに言うが…。


「いやいや、白波が言うと簡単に聞こえるけど、実際やったら面倒だぞ、絶対」


 アオがそう言って、周囲は大きく頷く。


「紅がやったら、大きさとかがばらっばらになりそうだよな?」

「あと、砂糖混ぜるときに横着して、甘い所とそうじゃないところとかが出来そうだ……」

「うむ…あり得るな…。紅は絶対手を出さないように!」

「なーんでよー!」

「てか、腹壊しそうな気しないか?」

「クロ、さすがにそれは紅に失礼だと思う」


 にぎやかな座敷童達だが……。


「で、紫鏡はその男の死が、自分の祟りによるものと言ってるのか?」


 話しながらも三種をしっかり平らげ、湯呑を手にした銀河が最初の話題に戻す。


 クロは頷く。


「そー。俺がいくら違うって言っても、その紫って娘が祟りだって言ってるんだから、祟りなんだって譲らないんだよね……」


 違うのになぁ……と、クロは天を見上げる。


「あのロクデナシは、賭場にいたことを、妹に知られたくなかったんだ。何しろ、紫鏡の探宝の鏡としての力を試す……って、出まかせ言って持ち出してるからさ……」


 宝探しの実験と言われた紫は、兄は鉱脈があると言われる山々に行っていると思っていたはずだ。

 だが実際は違う。

 通は警察の賭場への手入れに巻き込まれ、そこで足止めされてしまった。


 捜査は賭場での違法取引に対してのもので、そこに関与していない通は、事情聴取さえ大人しく受ければ無罪放免となっただろう。

 だがその場にいたことで、身元は警察に確実に確認される……。

 玉石の家に連絡が行くのは必至だ。

 そうなれば玲にうるさく言われるのは目に見えているし、紫にも賭場に居たことが知られてしまう――。


 なので、取り調べられる前に逃げようとした。


 警察に取りあげられた紫鏡をこっそり取り戻して逃げようとし、船から足を踏み外して、水――夜の川に転落した……。


「ワシに言わせれば、自業自得としか言いようがないな……」

「オレもそう思うなー」

「あたしもー」


 クロも同感だ。


「あの場において紫鏡は、通に対して何も力を使ってなかった。警察に捜査のきっかけを与えて、呼び込んだだけなんだ……」


 紫鏡は通にさらしで巻かれてしまって、自力で通の懐から出られなかった。

 だからその状況から逃れる手段として警察を利用しようとしたのだ。

 鏡を使い、賭場で行われていた違法行為の様子を警察の高官に見せたという。


「白昼夢――みたいなもんだよ。けど、なんか捜査に行き詰まってたらしい……」


 朝起きて顔を洗いひげを剃るとき、まだ少し寝ぼけている時に、鏡に映った賭場における違法取引――。

 それを一人ではなく複数の警官が朝の鏡の中に見た。

 誰もそのことを他人に話すことはなかったそうだ。

 だが、その日の捜査会議で賭場への立ち入りが即決され、その夜、警察は一気に賭場へと踏み込んだ。


 紫鏡としては、警察に通から紫鏡を取り上げさせ、そこからまたワンコリレーなり、ニャンコリレーなりで玉石の家に戻る心づもりだったらしい。

 通を死なせ、警察の手で戻させようとは思っていなかった。

 だから……。

 そう、祟ってはいない。

 通の死は紫鏡のせいではない――。


「いや、祟っておらぬとしても、その者の死は紫鏡のせいであろう」


 スズメがそう言った。


 ぱたた…と羽ばたき、紅の肩に止まる。


「えー、なんでー?」


 紅が不服そうに言う。


「紫鏡はその者に力を貸してやった。賭けの当たり目を教えてやった。それは本来人の身に余る力だ」

「それはー…。でもー祟りってわけじゃないもーん!」

 

 紫鏡は悪くないという紅。


「その者は紫鏡の力を切っ掛けにして身を持ち崩した。それは、紫鏡のもたらした祟りともいえる」


 仕舞われっぱなしでその境遇に飽きた紫鏡が、下心から自分を持ち出した通に、暇つぶしをさせてもらったご褒美として力を貸した。

 紫鏡にしたら、ただ()()()()だった。

 けれどそれが切っ掛けとなり、通は賭博にのめり込み、結果として死に至った――。


「そう言われたらー、確かに紫鏡がーそいつにー力を貸したことでー、そいつが死んじゃったーって、言えなくもないけどぉー……」

「言えないではなく、そうだ。確かに愚かな者ではあっただろうが、紫鏡の力なくばそこで死に至ることは無かったろう」

「でも!祟ってないだろ?!紫鏡は、あのロクデナシだけじゃなく、あの家の他の人間のことも祟ってはいなかった!」

「祟ろうが祟るまいが、家族の死を悲しむのが人で、そこに救いを見ようとするものではないか?」

「救い?」

「その妹は、兄の死が紫鏡の祟りであると思うことに、救いを見出したのではないか?」


 通はロクデナシだったが、妹の紫にそのことを知られていなかった。

 紫にとって通は優しい兄で、唯一の家族。

 その兄が、賭場の手入れを逃れようと、足掻いた挙句に溺死だなんて、そのまま受け入れることなんて出来なかったのだろう。


「だから祟りだと?」

「……その娘の兄の死は紫鏡が力を使ったためだ。紫鏡無くば、その者の死は無かった」


 自業自得による通の事故死。

 だけどそれは、紫鏡が探宝の鏡と呼ばれる所以(ゆえん)となった力を使った為にもたらされた――。

 残された者がそれを祟りと呼ぶのなら――。


「そう、受け入れるしかない……ってこと?」

「そうだ」

「なんかー、理不尽だ―」


 嘆くように言う紅に、座敷童たちは肯定のため息をつくのだった。


〈サツマイモの茶巾絞り)

  サツマイモ(皮を厚めにむいて輪切りにしたもの)300g

  白砂糖 100g

  塩 少々

〇サツマイモは1時間くらい水にさらす。

 ➝串がスッと通るくらいまで柔らかく茹でる。

 ➝裏ごしする。

 ➝裏ごししたサツマイモに砂糖と塩をよく混ぜる。

 ➝1人前づつ固く絞った布巾(ラップでもOK)で包んで絞る。

  ※中に餡を入れるときは、サツマイモを少し平たくして中に包み込む。


〈ミルク餡)※手抜きです(;^_^A

  白餡 300g 練乳 20g

〇鍋に白餡を入れ、弱火で温めて緩めながら練乳を加えて良く混ぜる。

 冷めたらOK。

 無塩バターを少し加えると、ちょっと洋風風味になります。


スイートポテトを作って、生地が残ったときに良く作ります。

ミルク餡が優しい風味になって好きだけど、こし餡でも美味しい。

餡はあまりたくさん入れない方が芋の風味を邪魔しなくて美味しい気がします。


お読みいただき大変ありがとうございますm(__)m

(月)(金)を目安に更新しております。

よろしければぜひまた続きを読みに来てください(o_ _)o))

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