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もしかして、カナヅチ?

 アオが紅に連れられて二階の自室へと引き上げたあと、クロは黄魚と河原へ来ていた。


 黄魚と――と言っても、示し合わせて連れだって来たわけではない。たまたま行先が一緒だっただけだ。

 黄魚は河原についた途端、変化して川へと飛び込んでしまった。

 

「マイペースなヤツ……」


 黄魚が飛び込んだ時に跳ねて額にかかった水滴を片手で軽くぬぐうと、クロは大きめの石を見つけてそこに胡坐をかいて座り、泳いでいく黄魚に目を向ける。


 黄魚の金色の背びれは、ぐんぐん川を泳ぎ登って行く――。

 が、川上へ向かって行ったはずの背びれは、しばらくすると今度は川下から泳ぎ上がってくる――。

 

 一見すると、何度も上流へ果敢にアタックしているように見えるが、黄魚は何も考えずただただ泳いでいるだけだ。


『川…に、イヤなこと、全部…流す。泳いでると、流れていく……』

 

 悲しいこと、苦しいこと、悔しいこと、難しいこと…色々あっても、川の流れの中で泳いでいれば、そのうち少し気持ちが楽になるのだと黄魚は言っていた。


「ホントに川に流せるんならいいけどな……」


 ぼんやりつぶやいて、川の流れを見つめる。


 これは空間がよじ曲げられ、上流と下流が輪になっている偽りの川――。


 嫌なことを流したところで、結局はぐるぐる回ることになるんでは?

 ――なんてことを思ってしまう。


「全部が全部偽りと言うわけではないぞ。元は外にあったものを持ってきたんだからな……」

「銀河……」


 気がつけば銀河も河原にやってきていた。


 クロが見上げると、クロに合わせて横に座って胡坐をかく。

 

「ふーん…。じゃあ、黄魚の言う通り、川で泳いだらちょっとは気持ちが楽になるのかな?そういや、人は良く『嫌なことを水に流す』とかいうよなぁ……。流れに逆らって泳ぎ続けるのは俺にはできないけど、流れに沿って川下に向かうなら出来るかな?」


 が――。


「やめておけ。あれは元が河童だから出来ることだ」


 クロのなんとなくな思いつきは銀河に却下された。

 ちなみに黄魚はその時の気分で、川下方向に泳ぐことも有る。


「溺れることはないと思うんだけどなぁ……」


 言いながら、クロはキラキラする川面に目をやる。


「泳げるのか?」


 銀河に問われ、クロは首を傾げた。


「うーん……」


 山童のころに沢で足を水につけて遊んだことはあるが、泳げるほどの水に入った記憶はなかった。


 泳げるか?泳げないか?と言われると、泳げない可能性のほうが高いかもしれない。


「もし溺れたらどうなるんだろう?」


 人間のように溺れ死ぬことはないと思うが、何かペナルティがありそうな気がしてきた……。


「しらん。ワシは泳いだことなどないし、そんな気になったこともない。溺れた座敷童がいたとも聞いたことはない。……が、人でないとはいえ、泳ぎを知らぬものが水に入るのは、何か違う気がするぞ?」


 なにしろ元は巨石の精霊。水に入って泳ぐなんて、思いもしないのは当然と言える。

 銀河の返答に、クロはうなる。 


「うーん……。なんか、そう言われると、溺れてスズメに川から引っ張り上げてもらう羽目になって、思いっきり嫌味を言われそうな未来が見える気がしてきた……」

 

 今まで溺れた童がいないからと言って、この先もいないという保証はない。

 やっぱり川で泳ぐのはやめたほうが良いのかなぁ…と、思ったクロに、先の問いの返答が返った。


「力…が、減るよ」


 いつの間にか魚への変化を解いた黄魚が、河原に戻っていてそう告げる。


「そっか…やっぱりそういうペナルティがあるんだな…」

「うん…あたい、昔溺れ、て……スズメに、助けてもらった……」

「は?」

「おいおい……」


 意外な告白に、銀河も声を上げた。


「おまえさん、河童だろうが……」

「魚にも変化できるくせに、なんでそんなことになったんだ?」


 元河童が溺れるなんて思いもしないのは、先輩童も新入りも同じだ。

 二人に呆れ声を出され、少し黄魚は頬を膨らませるが、すぐにしようがないな…と言う諦め顔で事情を話す。


「流したい…こと、いっぱい……ありすぎ…て、ずっ…と……泳いで、たら…ぶくぶくって沈んで……。スズメ……に、引き上げられた……。そした、ら…力が、減ってて……年を、取ってて…白波が、『お馬鹿ですね……』って…鮎菓子、作ってくれたよ」


 鮎菓子とは、柔らかいカステラに求肥を包んで鮎の形に仕立てたものだ。


「白波にお馬鹿って言われるなんて……」

「よっぽどだな……」


 クロと銀河は顔を見合わせる。

 

「……俺は川に入らない方が良さそうだな……」

「だな……」


 クロは黄魚の真似をして川で泳ぐことを諦めた。


鮎菓子の作り方 (だいたい8個分)


皮:卵 2個  上白糖 100g  薄力粉 100g  水 50cc


中身(求肥):餅粉 100g 上白糖  200g  水  80~100㏄  片栗粉適量 

 ※求肥は白玉粉を使えば電子レンジでも作れます。


求肥の作り方


1.餅粉の中に水を入れ混ぜる。

2.耳たぶより柔らかめの固さにする。

3.生地を三等分くらいにして平べったくする。

4.熱湯に入れゆでる。(透明感が出てくるまでしっかりゆでる)    

5.浮いてきたら一呼吸おいてから浅めの鍋に移す。

6.粘りが出るまで木べらで練る。

7.上白糖を三回くらいに分けて加えながら練る。

8.白っぽくなるまでしっかり練る。

9.指チョンと突いて生地がくっいてこなけばOK。

10.片栗粉をふった流し缶に流す。

11.表面にも片栗粉を振る。(乾燥防止のため)

12.冷めたら流し缶から出して8等分に細長く切る。


 皮を焼く


1.上白糖と薄力粉をしっかりふるってからボールに入れ、卵と水を混ぜる。

2.ボールにラップをして1時間くらい冷蔵庫で休ませる。

3.フライパンで1枚づつ楕円形に流してきつね色に焼く。

4.求肥を包んで、熱した金串で目、ひれ、尻尾、の模様を焼き付けたら出来上がり。


※模様が無いと鮎にならないけど、普通に求肥饅頭として美味しいです(;^_^A


求肥が結構手間かかるし、失敗もしやすい(><)

(私だけ?)

配合や手順は色々あるようです。


お読みいただき大変ありがとうございますm(__)m

(月)(金)を目安に更新しております。

よろしければまた続きを読みに来てください(o_ _)o))




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