表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/379

諦めない大バカ者

諦めない青羽君。

「残ってしまった?」

「ああ、そうだ。力を使い果たして座敷童として家を護れなくなった……。なのに、座敷童となっていたから、本体が壊れたのに存在が残ってしまった……」

「……」


 何と言ったら良いのかわからずクロが黙り込むと、銀河は自分で答えを告げる。


「つまり力を取り戻したら、また家に戻って良いということなんだろうが……」

「あ、そっか……そのための療養所(ここ)なんだ……」


 銀河は頷き、そして言う。


「だがな……あれからもう2、3百年は経った……。ワシが護った家はもう無くなっとるだろう……」

「銀河は井戸で確認してないってこと?」

「前に話したことがあったろう…来てしばらくたったころ、気になって井戸を覗いて……動けなくなった」


 苦笑いの銀河の言葉にその話を思い出す。


「そういえば、俺が井戸に飛び込みかけたときに、そんな話してたね……」

「ああ…。それにな、力がまだこの程度にしか戻っとらんのに家を探してどうする?たとえあの家の血脈が残っていたところで、座敷童としての力が振るえんワシが戻って何の意味がある?」

「そういや、俺もそうだったな……。この姿で戻ったところで、家に運を呼ぶなんてできないんだから、意味ないよな……」


 力を失い、家に幸運を呼ぶことのできない座敷童なんて、家に戻ったところで何の意味もない……。


「力が戻ったってー、人間のところなんかー、行くことないーーっ!」


 落ち込むように考えに浸りかけたクロだが、大声を出されて思考が止まる。


「紅?」


 紅は泣きそうな顔で、眉をへの字にしてクロを見ていた。


「クロ、力をー取り戻したアオに会ったことあるよねー?せっーかく力取り戻したのにー、こんなんなってー!人間がー、家を大ー事ーにしてないのにーっ!なーんで、あたしたちがー!」

「紅…。いいから!」


 アオが紅を抱きかかえるようにして、その言葉を止める。

 そんな紅とアオをみていた銀河が、ため息を吐くように言う。


「ワシら座敷童の力の元は、護る家の者が互いに互いを思いやる良の気だ。お互いを家族として労わりあって暮らしてくれれば、ただそれだけでワシ等の力になる」

「……うん」


 座敷童はそれ以上を望まない。

 ただ仲睦まじく暮らしてゆく様を見ていられれば、それが幸せ。もしその中で、家の発展が得られれば、望外の幸せ――。そして、その中にわが身を置けたら……。


「あたいらは、人外…だから、何もしたらいけない……」

「いいのよー、それで!あたしたちはーそこに居るだけでー、幸運が寄って来るんだーかーらーっ!」


 黄魚と紅の言葉を聞いていたアオがふいに顔を上げた。


「オレ、でも何もしないでいられなかったんだ……」


 しょんぼりと言う。


「まぁ、だからその姿なんだろう」


 見ればわかると銀河に言われ、アオは苦笑する。


「だよなぁ…見ればわかるよな……。オレが馬鹿なんだって」

「そうよ!大バカ者よー!」

「わかってるよ……。でも、見捨てられなくて……」

「見捨てるわけでは無いぞ」


 紅に言い訳しようとしていたアオの言葉に、反応したのはスズメだった。


「人には人の決まりごとがあり、その身の程と言うものがある。なのに人外のものが人に関わりあうと、人はいとも簡単に己の身の程を忘れ、道を踏み外し罪を犯す切欠になる。故にそなたらの力には制限があって、そこを外れると罰が下る――」


 白波の肩からアオの前に飛んできたスズメがアオを諭す。


「座敷童が来たと言うだけで、その家には幸運が約束されている。それ以上を望むのは不幸な事だ」

「……わかってる……。わかってたんだけどっ!あの子があんなことしたのは、オレが家に来たことで運がついてきて、それを失いたくなかったからだから、そう思ったら放っておけなくてっ!つい、隠さなきゃって……」


 言いながらアオはだんだん俯いていく。

  

 どうやらアオは、何かしらの罪を犯した家の者の罪状を、隠ぺいするために力を使ったということらしい。 


「悪いこと、して…それ、償わないと…よけいに、悪くなるよ……」

「うっ……」


 とつとつと言った黄魚の言葉を聞いて俯いていた顔を上げたアオは、いきなり目の前にあったおはぎを丸のまま口に入れた。


「うわっ!おい、喉つめるぞっ!」

「きゃあっ!」

「ア…オ…、むちゃ、し過ぎっ!」

「馬鹿者っ!」


 慌てる童たちをしり目に、白波は困ったものを見る目をしてから、少しぬるめのお茶をアオに渡す。


「いつも言ってますが……。たくさん食べたところで、力が早く戻るってことではないですよ?」


 口の回りを餡子で汚しながらアオは頷く。

 そして、白波から受け取ったお茶でおはぎを流し込むと言った。


「…知ってる……。けど、これはオレの気持ちなんだ……」

「気持ちですか?」

「そうだ……。馬鹿だってわかってるし、紅が言うように人間がどうしようもないのも知ってる。特に…オレの一族は……」


 最後の方はうつむいて、クロには良く聞こえないほどの小声だったが、すぐにアオはまた顔を上げて言う。


「オレは力を取り戻したら、またあいつらのところに行くよ。あいつらの座敷童に戻るために力を取り戻すんだ!」

「ちょっ…!アオっ!」

「勢い込むのはいいが、そこまで力を無くしては、よほどのことがない限り、()()()に戻るのは難しいぞ?代が変わる」


 決心を告げるアオだが、スズメは淡々と状況を教える。


「それでも……頑張る。オレは座敷童だから!」

「そうか」


 スズメは羽ばたくとまた白波の肩に戻り、そこで羽繕いをゆったり始め……。


「アオの大バカ者ーーーーーーーーーーっ!」


 紅は両の手を握りこぶしで腰だめにし、大声で叫ぶのだった――。


銀河は座敷童として人界に戻ることを七割諦めています。

でも三割くらいはまだ希望を持っている(;^_^A


お読みいただき大変ありがとうございますm(__)m

(月)(金)を目安に更新しております。

よろしければ、ぜひまた続きを読みに来てください(o_ _)o))

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ