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「やっぱ楽するなら文化部だよなー。美術部とか楽そうじゃね?」
僕も、そうだよねー。って頷こうとしたら、後ろから肩を叩かれる。
何かなって振り向いたら、髪をたくさんのピンで留めた、背の高めな女の先輩が立っていた。
先輩って分かったのは、リボンのライン。僕らよりも数が多い。
そんな人がどうしたんだろう。なんか僕ら気に障る事やったかなぁ。
僕らが固まっていると、その人はにこやかに言った。
「四名様、ご案内ー」
へ?
僕らがボケッとしているのを良いことに、首根っこを掴まれて引き摺られる。っていうかいつの間にかもう一人増えて、その人は千秋くんと千春ちゃんの背中を押している。
僕らは首絞まって苦しいのにぃ!
「何すんのよ!離しなさいよ!」
千秋くんが怒鳴るけど、先輩たちは全く気にしないでマイペースに僕らをどこかに連れていく。
一緒に引き摺られている夏鳴くんを見ると、なんか諦めた風におとなしくしている。
僕も疲れちゃった・・・。ていうか本当、どこに連れてかれるの?
というか、この先輩たちが行こうとしている方向から、物騒な音がするのですが・・・?
えっと、銃声とか、叫び声とか、爆発音とか・・・。
正直怖いです。
何で学校なのに銃声が響き渡るんですか?
まさか家族なのにこの学校の実体を知らなかったとか?
悶々頭に浮かんでくるのは嫌な想像ばっかり。
あぁ、何か更に音が大きくなって、声もはっきり聞こえてくるや。
「さっさと沈みな!このソファはあたしが使うんだから!」
「何言ってんのー?このそふぁはぁ、私の!だよ?牛は黙って草の上で寝てなよー?」
「だぁれが牛ですって!この二面性女!」
・・・女の人って怖いんだね。
叫びと一緒に聞こえてくる戦闘音に、ビクビク震える僕。
先輩は感じ取っているはずなのに、全く気にしてくれない。
・・・むしろ楽しそうにしてるなぁ。
夏鳴君は寝てるし、千春ちゃんも千秋君も気にしてない。
ただ、態勢が嫌なだけみたい。
恐がってんのが僕だけってのが、何だか嫌。
何か弱虫みたい。
一人で思考をめぐらせてたら、先輩の足がピタリと止まった。
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