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シロウと冒険者ギルド   作者: 梅よん
1/5

シロウと魔王の杖 1

受付レポートは依頼書の消化率や冒険者毎の成長と課題を記入。

「補佐、こちらが今月のレポートです」

「補佐、ん」


笑顔でレポートを渡してきたアイナと無表情で差し出すミイ。2人のレポートを見ると、文字がびっしり書いてあるアイナのレポート。文字数こそ少ないが箇条書きで要点が書いてあるミイのレポート。二人の個性が文字面からも伝わる。


冒頭にある受注数や達成率、受注冒険者の怪我の内容にサッと目を通した。

「お疲れさま、今月も問題なさそうだね。詳細は後で読ませてもらうよ。今日は遅くまでお疲れ様でした」


「お疲れ様でした。補佐はまだ帰らないのですか?」


「帰りたいけどね。今日来た通達の処理をナットがやってくれているから、ナットを待つよ」


「補佐がやれば、すぐ終わる」


「ナットが何故かやる気になってね。ポーション系の報酬調整は種類が多いから大変なんだよ。期日が明日までの変更通達が今日くるなんて事はなかったんだけどね。こういう時のためにも、ナットが出来る様になってくれたらありがたい」


「やる気の理由は下心」


「下心?」


「そう、アイナに・・」


「ミイッ、駄目」


言いかけたミイの口をアイナが手で塞ぐと、2人でわちゃわちゃしだした。当冒険者ギルドの看板娘である2人がじゃれ合う姿は見ているだけで癒される。

元は2人組の冒険者であったが、いろいろあってギルドの受付になった。見た目がよい上に、自分の経験を活かしての受付はとても評判が良い。


「シロウ、出来たぞー、確認しにこーい」

ナットの声。

「あいつが来るべき、礼儀知らず」

上司に『ん』とレポートを出すのは、ミイ的には問題ないらしい。


「いや、いいんだ。どうせ下に降りて掲示板の確認もしないといけないしね」


「アイナがナットに言うべき」

アイナはまだ言うかと苦笑いするが、ミイがこんなに喋るようになった事が嬉しい。

「何でとは言わないけど、それにしてもね」


「何がそれにしても?」


「異名とだいぶ変わったなと思って」


「昔のこと。今は違う」


「昔って一年も経ってないじゃない」


「歳取ると、時間の流れ遅い」


「歳同じだよね、あっ補佐、私達も行きます」


受付嬢同士の関係性はギルドの雰囲気を作る。このギルドの雰囲気はこの二人が作ってくれた。

ミイは物騒な異名もあるし、最初の頃は無口に苦労したもんだ。冒険者に説明もせずに依頼書を突きつけるのは今も変わらないけど。



「おせーよ。早く見てくれよ。終わらせて飯に行くぞー」

ナットが急かす、シロウは自分でも考えた報酬を思い浮かべながら、ポーション系の依頼報酬を確認していく。ナットが変更したものは自分の算出したものとそう変わりはない。


「良く出来たね」


「だろ、シロウに出来る事は直ぐに出来る様になるからな。じゃあみんなで飯食いに行くぞ」


「三人で行きなよ。もう少しだけ仕事があるんだ」


駄目()(です)」


「じゃあ、後から行くから先に行ってて」


「それならいいかな?アイナちゃん行こうぜ」

そう言うやナットは、アイナを強引に引っ張りギルドを出て行く。


「早く来る?」


「なるべく早く行くよ」


「わかった。待ってる」

ミイも二人の後につづいた。



ナット凄いな、変更箇所の確認するとそう思った。元々がバリバリのBランク冒険者だ、頭も悪くないし要領もいい。

少しだけ手直しすると、他の依頼書を確認していく。本部から来た通達は各ポーションの元となる薬草の買取価格の値上げであったが、その依頼のみ報酬を上げれば、薬草集めより、難易度は高く報酬が低いという依頼が出来てしまう。

ポーションの計算も面倒だが、他の依頼とのバランス調整がとてもややこしい。


「依頼をお願いしたいのだが」


「あっはい。あれ?」


依頼調整に集中し過ぎたのか?いつの間にかおじいさんがいる。ドアが開く音もしていないはずだ。


「ここに来れば、依頼が出来ると聞いたのだがな、報酬も考えてきておる」

見た目はただのおじいさん、でも不思議と威厳がある

いつからいたのですか?と疑問を挟む事ができない。

依頼受注の時間外であるが、そう言い難い何かを感じる。

「では、依頼書にお書き下さい」


「文字は苦手でな」


「では、私が代筆します。依頼は何でしょうか?」


「魔王の杖じゃ、魔王の杖を破壊して欲しい」


完結が目標です。評価による支援を何卒宜しく頼みます!

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